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MarkeZine Day 2019 Spring

CX向上にテクノロジーをどう使う?パルコ、ヤマト運輸、LIFULLが最新事例と活用のポイントを語る

心地良い「受け取り体験」を提供するために

MZ:テクノロジーを活用することで、オンラインだけでなく、オフラインの行動も可視化できるようになったのですね。では続いて、ヤマト運輸さんのCX向上に関する課題と取り組みをお願いします。

中西:宅急便事業において、お客様と関わる機会のなかでも圧倒的に多いのが宅急便の受け取りです。ところが、この「受け取り体験」において、すべてのお客様にご満足いただける心地よさをご提供できていないのが課題でした。

ヤマト運輸株式会社 宅急便戦略部 宅急便戦略課長 中西優氏
ヤマト運輸株式会社 宅急便戦略部 宅急便戦略課長 中西優氏

中西:お客様が抱かれる不満点で多いのは、「荷物がいつ届くかわからない」「(日中は働いているので)平日に受け取ることができない」というもの。当社は宅急便事業を40年以上手がけていますが、お預かりしている荷物を安全かつ正確に届けるため、かなり早い段階からテクノロジーやデジタルを活用し、動いている荷物の位置やお届けに要する時間は、ほぼ正確に把握しています。しかし、「お客様がいつ届けて欲しいのか」ということは把握しきれていませんでした。

 つまり、「受け取り体験」の満足度を高めるには、お客様とのコミュニケーションをもっと円滑にする必要があったのです。アナログのコニュニケーションだけでは限界がある。そこで、この問題をテクノロジーで解消しようと開始したのが、「クロネコメンバーズ」という無料の会員制サービスです。

 荷物の受け取り手にとってのメリットは極めてシンプルで、「いつ荷物が届くかわかる」「都合が悪かったら、受け取り日時や場所を指定して変更できる」、そういったことができるサービスです。

情報を一方的に伝えるのではなく、教えてもらう

MZ:宅急便の受け取りに関し、企業と顧客の間でコミュニケーションをして情報共有しながら、受け取り体験を高めるというものですね。

中西:そうです。今日はそのなかから、2つ紹介したいと思います。

 1つは、最近よく使ってもらっているサービスで「Myカレンダーサービス」というものです。これは自分の受け取れるタイミングをあらかじめ登録しておくサービスで、たとえば「昼は出かけているので、19時以降なら受け取れる」「平日はほぼ自宅にいないので、営業所かコンビニ、あるいは宅配ロッカーで受け取る」ということを事前に知らせてもらい、それに沿ってお届けするサービスです。

 これまでは「何日ごろに届きます」という通知メールを送っていました。ただ、それを見て変更依頼をかけるのは手間も時間もかかります。そもそも最近は、メール通知に気づかない方も増えてきました。そこで、お客様の受け取れるタイミングを教えていただくことで、都合の良い時にお届けすることにしたのです。

 もう1つはLINEとの連携による会話AIによるコミュニケーションです。LINEの良い点は、リアルタイムでコミュニケーションが取りやすいところにあります。LINEならお届け予定などのメッセージをすぐ見てもらうことができ、お客様のほうで、いつどこに持っていけばいいかの指定も簡単にできます。会話AIにより、荷物がどこにあるかという質問にも、すぐにお答えできます。

LINEによる「通知メッセージ」
LINEによる「通知メッセージ」

中西:もちろんこれだけではなく、自宅外で荷物を受け取るケースが多くなっているので、主要駅やコンビニ、スーパー、ドラッグストアなどに置かれている宅配便ロッカー「PUDOステーション」を活用するなど、新たな受け取り体験を提案しています。

MZ:宅急便受け取りのCX改善は、どのように計測しているのですか。

中西:当社では「1回で受け取ってもらう」ということを重視しています。というのも、「1回で受け取ることが一番ストレスのない状態」という考えが根底にあるからです。不在票が何枚も入り、しかもそこからヤマト運輸に連絡するとなると、時間もかかってしまう。そのため1回の受取率を重視しており、その数値の向上に取り組んでいます。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/05/07 07:00 https://markezine.jp/article/detail/30778

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