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JTBが挑むデータドリブン戦略 立ち上げから運用まで

データの向こう側には人の心がある データドリブン戦略に舵を切ったJTBの挑戦


 事業をデータドリブンに変革するためには、どういった考え方や組織が必要になるのでしょうか。本連載では、体制づくりに悩む企業の担当者に向けて、JTB Web販売部戦略担当部長の福田晃仁氏が自らの経験をもとに解説していきます。

デジタル文脈にJTBの“魂”を乗せる

 日常生活にスマートフォンが欠かせなくなった現在、顧客の企業体験はデジタルとリアルの区別がなくなった、と言っていいでしょう。デジタルデバイスが、店舗などのリアルよりも、多くのタッチポイントを内包しているからです。

 様々なマーケターが議論を交わしてきているように、デジタル化は単なるチャネルの追加ではなく、我々を含めた顧客の生活環境の変化ととらえる必要があります。企業はこの変化に対する姿勢を問われており、老舗の旅行会社であるJTBも例外ではありません。

 JTBの強み。それは「感動のそばに、いつも。」というブランドスローガンに象徴されています。旅行プランのご提案から旅先のサポート、さらに帰宅するまでお客様に寄り添うという矜持です。これは街のJTBの店頭で培われ、お客様からの不動の評価を勝ち得てきました。

 JTBがこれまで大切にしてきたもの。これを “魂” と呼ぶならば、企業から見たデジタル化は、システムを構築することでも、ツールを導入することでもなく、生活基盤としてのデジタル文脈に “自社の魂を乗せること” に他なりません。

 本連載では、JTBの挑戦と銘打って、データドリブン戦略の計画~立ち上げ~実装~運用の概要を中心にお話しします。事業規模の大きい企業がいかにデータドリブンの事業変革を進めようとしているか。その過程をご紹介することで、体制を構築しようとしている企業や、計画が難行している企業の担当者にとって有益な情報になれば、と考えています。

 この第1回では「計画」に焦点をしぼり、JTBのデータドリブン戦略の要となる「データサイエンスセントラル」の立ち上げについて解説します。

着任当時の状況

 私がJTB Web販売部の戦略部長に着任したのは2018年4月です。当時Web販売部の中に立ち上がっていたデータサイエンスチームを母体として「データサイエンスセントラル」を立ち上げました。そしてその組織を、後方支援業務ではなく事業改革の中核組織として位置づけました。現在、SEO、SNSチームを合わせた30人程度の組織となっており、JTBのデータドリブン戦略の中心として活動しています。

 着任当時は以下のような状況でした。

  1. データドリブンを部門の最重要ミッションとして策定したが、1年間実現していない
  2. 上流工程がないために戦略がないまま、施策運用がいきなり走っている
  3. データの統合プロジェクトが2年計画で立ち上がった

 私が感じた印象は、”変革へ向かう意思”があるものの、何をしたら良いかわからず困っている、といったものでした。特に 「3」 については、カテゴリー違いのDB製品を導入寸前で、即日発注を見送るための手配をした記憶があります。

 これらはすべて、ビジョンのなさによるもので、インフラからツール、分析、マーケティングの実行までを俯瞰した全体方針が必要でした。この他にも人材不足、スキルセットのアンマッチ、業務をこなすだけというマインドセットといったものが初期の阻害要因でした。

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この記事の著者

福田 晃仁(フクダ アキヒト)

株式会社 学研ホールディングス CMO
株式会社 学研エデュケーショナル 取締役 / 株式会社 学研プラス 取締役 /
株式会社 学研教育みらい 取締役 / 株式会社 地球の歩き方 取締役

総合代理店 / ITベンダー / 事業会社のキャリアを持ち、一貫してマーケティングとTechの両面によ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/11/07 10:56 https://markezine.jp/article/detail/31578

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