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JTBが挑むデータドリブン戦略 立ち上げから運用まで

セグメントを「なに」で切るか? 顧客構造を解明する分析とは

 事業をデータドリブンに変革するためには、どういった考え方や組織が必要になるのでしょうか。本連載では、体制づくりに悩む企業の担当者に向けて、JTB Web販売部戦略担当部長の福田晃仁氏が自らの経験をもとに解説していきます。第3回では施策のシナリオを作るための「顧客分析」についてお話しします。顧客の特徴をとらえてコンテクストを読み解き、1to1コミュニケーション戦略を実現する分析手法の概要について解説します。(写真は左から、分析チーム 鈴木瑠華氏、増原直美氏、保川一歩氏)

データを解釈するための2種類のアプローチ

 データを活用し、施策へ応用するには“データを解釈する”ことが必要になります。JTBのデータサイエンスセントラルの顧客分析チームはこの解釈の方向性として、以下の2種類のアプローチを骨子としています。

  1. 最適化に向けた”正解”を計算によって算出する
  2. 顧客の購買文脈(コンテクスト)を探る

 この2つのアプローチに従い、顧客分析チームを「量的分析チーム」と「質的分析チーム」の2チームで編成しています。

 それぞれアウトプットで整理するとわかりやすく、量的分析はパフォーマンス、質的分析はコミュニケーションを知見として導き出します。

量的分析チーム

 量的分析は、統計解析によるアプローチです。要因分析、クラスタリング、相関分析、各種検定、予測ロジック、シミュレーション、アルゴリズム開発など、様々な手法を用いて、JTBの顧客IDの行動ログが示す事象から、その方程式を導き出します。

 統計解析を扱う上で最も重要なのは、施策につなげる設計をあらかじめ描くことです。よくやってしまうのは、事実に終始する結論、活用しようのない知見、既知の事実のレポートです。それは活用できる事実なのか、それをテコにすると何に利用できるのか、といった観点で、分析設計する必要があります。

質的分析チーム

 質的分析は、お客様の旅行目的やモチベーションを、購買文脈(コンテクスト)として捉える探索型のアプローチです。なぜお客様はその旅に行くのか、何を重視しているのか、ペインは、デザイアは、といった観点で顧客像を浮き彫りにしていきます。

 こちらは、サブテーブルの高度な連携など、DBとBIの知識が必要になるものの、分析手法自体の難易度は高くありません。5~8次元程度のクロス集計による分析がベースになります。

 しかし、量的分析に対して質的分析の探索型分析は“見立て”になるため、正解がありません。データの向こう側を洞察とともに想像していくセンスが必要になります。

 さらに分析の観点として、事業から見た重要事項、施策に活用できる粒度感などを、バランスよく分析の観点に取り込むことが必要になります。

 JTBのデータサイエンスセントラルの1to1戦略は、この質的分析の顧客セグメントをもとに作られています。これらの量的分析、質的分析の具体的な手法や施策への活用方法については、別の機会にご紹介したいと思います。

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この記事の著者

福田 晃仁(フクダ アキヒト)

株式会社 学研ホールディングス CMO
株式会社 学研エデュケーショナル 取締役 / 株式会社 学研プラス 取締役 /
株式会社 学研教育みらい 取締役 / 株式会社 地球の歩き方 取締役

総合代理店 / ITベンダー / 事業会社のキャリアを持ち、一貫してマーケティングとTechの両面によ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/01/21 09:00 https://markezine.jp/article/detail/32692

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