デジタルでもリアルと同じように“ヒアリング”を
Conversation Techとは、デジタルを介したコミュニケーション履歴に基づく会話データを活用し、顧客一人ひとりに対して適切な情報やより良い体験価値を提案するための技術。つまり、デジタルでもリアルと同じように“ヒアリング”を行うことを可能にするものだ。
ここでのポイントは、ユーザーに情報を探させるのではなく、企業側から提案すること。そのためには、自社の顧客を深く知る、顧客を提案で導くという2ステップを踏むことになる。
自社の顧客を深く知るとは、ユーザー(サイト訪問者)は何に興味があるのか、なぜ興味があるのかなどを知ることだ。何に興味があるかは、Google Analyticsなどのマーケティングツールで得ることができるだろう。
一方、「なぜ」の部分を知るにはヒアリングが必要となり、ここでチャットボットが登場する。企業側から話しかけ会話を促すことで、ユーザーの状況を知り、なぜ興味があるのかをリサーチすることが可能になる。
こうして行動データと会話データから情報を収集しユーザーの温度感を把握した上で、ヒアリングおよびコンテンツの提案をし、企業側から顧客を導いていくのだ。
このようなステップを踏んでいない例として大熊氏は、サイト訪問者全員に対しキャンペーンを打ってしまうケースを挙げた。キャンペーンを使わずとも購入してくれる顧客にまでキャンペーンを提案してしまっていることもあれば、押し売りと思われることもある。
チャットボットは“会話データ収集ツール”である
ここまででわかる通り、チャットボットをFAQのツールとして使うのはもったいない。多くの企業がFAQで活用しているが、大熊氏は「見方を変えると、チャットボットはユーザーの背景を理解するための『会話データ収集ツール』として使うことができる」という。
その活用例の一つとして、大熊氏は“実名顧客の曖昧化の解決策”を紹介した。
名前とメールアドレスを入力すると、無料でサービスや製品を体験できるといった中間コンバージョン型のマーケティングはよく見られる。だが、メールを送信できるようになるだけで、それ以上の顧客データおよびニーズは何も得られず、困っている企業も多いのではないだろうか。
実際に、施策が行き詰まったり、費用対効果で悩んでいるといった声をよく聞くと大熊氏。その背景には「実名顧客の曖昧化」や「ユーザーの多様化」「チャネルの複雑化」といった要因があると大熊氏は分析する。
では、ここでチャットボットを投入するどうなるだろうか。会話データがプラスされることにより、ユーザーの背景・状況・ステータスを知ることができ、顧客へのコンテンツ提案が実現する。
ギブリーが開発・提供する顧客を知るためのチャットボット「SYNALIO(シナリオ)」は、すべてのサイト訪問者の行動に合わせて最適な会話を展開するため、データドリブンな1to1クロージングが可能だ。ユーザーの体験的価値が向上するのは言うまでもない。
このような効果が期待できることから、ローンチから1年半ですでに400社以上の導入実績があると大熊氏は胸を張る。