5,400万人超のデータを活かしてマーケを支援
1997年に創業したクックパッドは、310万以上のレシピを保有するレシピサービスを運営。2018年12月末時点での月間アクセス者数は約5,462万人に達した。
また同社はサービスにおける検索データを活用してトレンドを分析し、企業のマーケティングを支援する事業も展開している。膨大なユーザーデータを読み解くことで、どのようなマーケティング施策が可能になるのだろうか。クックパッドの齋藤貴生氏が、メーカーとの取り組み事例を中心に解説した。
まず齋藤氏は「クックパッド」のユーザー属性を紹介。1ヵ月以内のアクセス者数のうち約7割が20~40代、女性の利用者が92%を占める。
また、このところの傾向として「スマートフォンからのアクセス増」「50~60代のユーザー増加」が見られるという。現在、アプリを含めたスマートフォンからの利用者数は約4,544万人と、全利用者数の8割を占める。齋藤氏は、50~60代の増加も、この層にスマートフォンが普及したことと関係があるのではないかと推察している。
検索1位のワードは?データから読み解く生活者のニーズ
クックパッドのビッグデータからは、生活者のその時々のニーズや困りごとを垣間見ることもできる。クックパッドでは年間16億回の検索が行われ、検索結果のバリエーションは12万語にも及ぶ。同社はこの検索データを分析し、マーケティング支援を行っている顧客企業に生活者のインサイトを伝えている。
2018年、最も多かった検索キーワードは「簡単」。クックパッドでは検索1,000回あたりの特定キーワードの検索頻度を「SI(Search Index)値」と定義し算出しているが、「簡単」のSI値は63.7と群を抜き、2番目にSI値が高い「豚」の20と大きな差がある。
「クックパッドの年間検索回数のうち、15回に1回は『簡単』が入った検索が行われている計算になります。今年も検索数は伸びているので、この流れはまだ続くでしょう」(齋藤氏)
ちなみに時系列データから「簡単」のSI値を追ってみると、2009年から2012年まで、16.7を下回るレベルで推移した後に、2013年から急激に増加し、2014年は66.7に。その後少し値を下げるが、2018年に再び伸びた。「簡単」は幅広いメニューや食材と組み合わせて検索されていることからも、時短・簡便への根強いニーズが読み取れる。