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「主張と意義のないブランドは淘汰される」コトラーが語る、ブランド・アクティビズムの重要性

2019/11/06 08:00

 近代マーケティングの父、フィリップ・コトラー博士が10月9日、「World Marketing Summit Tokyo 2019」に参加するため、2年ぶりの来日を果たした。アンバサダーとして各種イベントに参加した筆者は、幸運にも約7分間に亘り、コトラー博士への単独インタビューを実施することができた。博士は「Common Good」の重要性について話してくれたほか、なぜ今「Brand Activism(ブランド・アクティビズム)」が重要なのか、その根拠を話してくれた。ほぼ全文を筆者の訳で公開する。

目次

「Common Good」の重要性

筆者(以下、江端):私は、コトラー博士の活動を通じて「マーケティング4.0」の意味を追求するグループ「Marketing 4.0 次世代マーケティングプラットフォーム研究会」をFacebook上で運営しています。設立から5年、現在参加メンバーは約7,000人で、これまで20回ほど総会を行ってきました。

コトラー博士:7,000人も? そのグループというのは、すべて日本人で構成されているのですか?

インタビューに答えるコトラー博士と動画撮影する筆者
インタビューに答えるコトラー博士と動画撮影する筆者

江端:はい、日本のグループでFacebookに7,000名登録されています。

コトラー博士:そんなにも大勢の方が私の研究を追ってくださっているのは、嬉しいことです。それならば、私はそのグループにぜひメッセージを送りたいと思います。

 私が今考えていて、みんなに知ってもらいたいのは「Common Good(すべての人にとって利益になること)」の重要性についてです。これは私の70冊目の著書となる『Advancing the Common Good』にも書いている内容です。

コトラー教授の70冊目の本『Advancing the Common Good』
コトラー教授の70冊目の本『Advancing the Common Good』

江端:(国連の推進する)SDGsのようなことですね。

コトラー博士:そのとおりです。私もSDGsのバッジを持っていて、いつもつけています。

 「Common Good」に話を戻しましょう。我々はなぜ「Democracy(民主主義)」を取り入れているのでしょうか。その理由は、基本的には民主主義が「Common Good」つまりより多くの人のためになると信じているからです。あるいは私たちはなぜ「Capitalism(資本主義)」を取り入れているのでしょうか。これもまた、基本的には資本主義が経済成長を促すことになると信じているからです

 しかし、近年ではその両方共があまりうまく機能しなくなってきています。現在は民主主義がかつてほど機能せず、資本主義では価値の配分がすべての人に分け与えられていないのです。

江端:先進国でも貧富の差は広がっていますね。

コトラー博士:そのとおりです。そこで私はこの本の中で、民主主義と資本主義を改善することで、最大の価値(Greatest good) をより多くの人たち(Greatest Number)に届けられるようにする方法について考えを述べています。時間のある時に、ぜひこちらも読んでみてください。

ブランドは自分たちが大切にする“価値観”を伝える必要がある

江端:ありがとうございます。ところで、博士は最近色々なところで「Brand Activism(ブランド・アクティビズム:企業やブランドが自分たちの価値観・スタンスなどを主張すること)」の重要性について書かれていますね。こちらについてもお話を聞かせていただけませんか?

コトラー博士:それも別の著書で書いている内容ですね。今日は「ブランド・アクティビズムがなぜ重要なのか」ということを、まずご説明しましょう。

 ブランドの多くは、常に自分たちの「Value Proposition(バリュープロポジション:自社にしか提供できない顧客に対する価値)」を宣伝したがります。たとえばWalmartであれば“価格が安い”ということ、Appleは情報機器システムにおける“最高のデザイン性”ということなどですね。

 しかし、最早「Value Proposition」を伝えるだけで顧客に選んでもらえる時代は終わりました。なぜなら企業の活動は環境に影響を及ぼし、それ以外でも我々消費者の生活に様々な影響を及ぼしているためです。当然、企業はそれらに対する責任も負わねばなりません。

 そのため、企業(あるいはブランド)は、自社の企業活動以外に「(世の中を良くするために)何をしているのか」を積極的に世の中に伝えていかねばならないのです。もちろん、すべての企業が同じではなく、それぞれの会社が別の「Cause(環境や生活に悪影響を及ぼす因子)」を取り上げ、それに立ち向かうことでも良いでしょう。

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