認知度でわかった2つの層
同調査は、日本の消費者1,000人を対象にデジタル体験の好みや企業への期待について調査したもの。ラウンドテーブルでは、アドビ システムズからカスタマーソリューションズ統括本部 プロダクトエバンジェリストを務める安西敬介氏、電通デジタルからは執行役員 データ/テクノロジー部門長の中津久美子氏が登壇した。
まず触れられたのは、企業が様々なデータを参照してマーケティング活動を行っていることを、消費者がどれくらい認知しているかがわかるデータだ。
今回の調査では、消費者の約6割が企業によるデータを参照したマーケティング活動を認知していることが明らかになった。また、世代別の結果では、30代の認知度が最も低く、60代が最も多く認知していることがわかった。
安西氏は、これを意外な結果としながらも、「若い方にとっては『データを使われること』がもはや当たり前のこととなっており、改めて意識していないという捉え方もできる」と自身の見解を述べた。
一方中津氏は、デジタルに慣れ親しんだうえで意識していない層がいるという同様の予測をしつつも、「自分のデータを使われているという意識をしっかりと持ったうえで企業と付き合っている層も一定数いるということが浮き彫りになった」と述べ、消費者のなかに認識の違う2つの層があることを解説した。
データ利用には「顧客との丁寧なコミュニケーション」が必要
続いて、「企業にデモグラフィック情報などの個人情報を参照されても構わないか」という質問に対する消費者の回答に注目。個人情報を「参照されても良い」と答える消費者は46.5%、「参照されたくない」という消費者は53.5%だった。会員登録情報やクレジットカードに登録した情報などの情報源については64.0%、購買履歴については68.4%、行動履歴については70.7%の消費者が「参照されたくない」と回答した。
この結果から中津氏は、多くの企業がデータ利用のパーミッションについて非常にナーバスになっていることを背景にしながら、「顧客とのコミュニケーションを丁寧にとっていくことが必要だと痛感した」と発言した。