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JTBが挑むデータドリブン戦略 立ち上げから運用まで

変わりたいのに、変われない 組織変革の障壁と打ち手

変わりたいのに、変われない 分離する心と体

 組織を変えること、について考えてみましょう。 

「変わりにくい組織」があるのではなく、「特性を維持するための群」を組織と呼ぶとすれば、特性を変えることは、すなわち、その「群」の評価もろとも解体すること、を意味します。

 つまり組織は、特性を生み出すための装置だということです。

 組織を、追加オプションを加えるといった範疇ではなく本質的なレベルで変革するというとき、新しい特性を身につけることが必要になります。そのためには、元の群と違う特性を持った群を生み出す必要があります。

 この点について、変革をしようとしている人たちにも誤解が生じがちです。

 変革が必要という人たちには今まで積み上げてきたものがあり、それを解体することは意図していないのです。中に長くいた人たちが、行き詰まりを感じて変革の必要性を説く場合、往々にして、変革を自分のオプション=現業の延長線上にあると勘違いし、あるいはそうあるように求めがちです。

 しかし実際には、JTBのような高度に洗練された業務を安定稼働させる組織構造が強固な企業では「自分たちと違う組織」を生み出すことが変革ということになります。

 ではどうすればいいのか。構造的な維持バイアスと三つ巴の形は同じで、以下の3点が重要です。

  1. 専門スキルがある人材を配置(あるいは育成)
  2. 細かいトライアンドエラーを許す文化
  3. 新しい業務を創出し続ける(=ユーザーに問い続ける)

「正しいこと」に縛られず「お客様にとって大切なこと」を見極める

 変化の速いインターネット業界の最たる企業であるGoogleには、様々なヒットプロダクトがあります。しかしながら、その陰には実は非常に多くの停止したプロダクトがあるうえに、始めから利益にコミットして開発されたものはないといいます。

 彼らが優先しているのは、もっぱらエンドユーザーです。顧客体験にのみフルコミットして様々なプロダクトを開発し、リリースしバージョンアップし続けているのです。

 このようなアクションは収益構造の違いから完全に模倣できないとしても、Googleの文化に学んでトライ&エラーを繰り返すことは可能であり、必要なことです。

 注意が必要なのは、この仕組みは絶対的な正統ではない、ということです。これはユーザー主権における現代に開発された手法論であり、この手法すら柔軟に開発することを常に求められるのが現代ということです。

 一方、JTBはトライアンドエラーを繰り返してユーザーに問い続けることが難しい組織になっています。

 トライアンドエラーが許されず、正しいこと、あるべきことに縛られて、自分(企業)が何をしたいのかがわからなくなっている状態にあります。これは比喩的に言えば「長男長女」気質のようなものを感じます。

 この「長男長女」気質にあらがって、業務や慣習、既存の価値観に縛られずに、改めてお客様にとって大切なものを見極め、不必要なものはやらないという判断が必要です。

 「すべて正しいこと」を求められる傾向があるJTB。我々には、新しい購買文脈と対峙することと同時に、今までと違う世の中における立ち振る舞いを再構築することが求められているのです。

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インターネット事業は既存事業と地続きではない

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この記事の著者

福田 晃仁(フクダ アキヒト)

株式会社 学研ホールディングス CMO
株式会社 学研エデュケーショナル 取締役 / 株式会社 学研プラス 取締役 /
株式会社 学研教育みらい 取締役 / 株式会社 地球の歩き方 取締役

総合代理店 / ITベンダー / 事業会社のキャリアを持ち、一貫してマーケティングとTechの両面によ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/03/05 09:00 https://markezine.jp/article/detail/32940

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