高い品質だけでは届かない。チャネルごとに最適なコンテンツフォーマットを
FIREBUGがお手伝いさせていただいている内容を端的に言えば、タレント・アーティストが生み出した作品をターゲット層に届ける流通網を作ることです。
タレント、とりわけクリエイターやアーティストは、「売れる」ためにクオリティの高い作品を生み出さなければなりません。しかし、メディアが多様化した現在は作品が良いだけでは売れなくなってきています。
ここまでお話ししてきた通り、その課題を解決できるのがDXです。しかし、各タレント・アーティストに合わせて正確なプランニングをした上で取り組まなければ、コンテンツ制作もアカウント運用も徒労に終わってしまうでしょう。
デジタル領域を俯瞰すると、YouTubeをはじめとして様々なプラットフォームがあり、それぞれに独自のカルチャーが存在します。つまり、タレント・アーティストの魅力を伝えられるコンテンツを制作するのは当然として、各プラットフォームの視聴者に受け入れられやすい内容に仕上げる必要があるのです。
各プラットフォームで成果を上げるために重要なのは、ユーザーに受け入れられやすいコンテンツの制作、そして継続です。FIREBUGでは、各プラットフォーマーやインフルエンサーにアドバイスを頂いて知見を貯め、チャンネル方針やトレンドに合わせてコンテンツフォーマットを柔軟に転換しています。
たとえば、シンガーソングライターとして活動している姉妹デュオ「ゆりめり」は、TikTokのアカウントを開設して約半年で15万フォロワーを獲得しました。これはまさに、TikTokを運営するバイトダンスの方から頂いたアドバイスをもとにコンテンツを制作し、継続して改善してきた成果です。ゆりめりのTikTokを遡れば、我々が試行錯誤を繰り返してきたコンテンツの変容を見て取れると思います。

DXで変わるヒットコンテンツの生み出し方
DXで成果を上げるにはチームワークが重要です。現場では「プロデュース」ではなく「コーチング」という姿勢を大切にしています。
従来の芸能界では、プロデューサーが決定した方針に則って、その意図を理解しないままクリエイターやアーティストが作品を制作することもありました。しかし現在は、作り手本人がSNSなどで作品の意図やストーリーを語れなければいけない時代であり、偽りのストーリーを語っても視聴者に気づかれてしまいます。あくまで“リアルであること”が求められるのです。
そのため、DXの現場においても、タレント・アーティスト本人が本当に表現したいものを制作しなければ世間に受け入れられないと考えています。
ヒットコンテンツを生み出すためには、クリエイター・アーティスト任せでも、プロデューサー任せでもいけません。データ分析、プランニング、プロジェクトマネジメント、PRなどの専門スキルを持つスタッフを結集し、最良のチームを作ることが重要です。
その上で、クリエイターがゼロから生み出したアイデアに対して、プロデューサーが目的を具体化して戦略を立案。そうして制限が加わった状態でクリエイターがアイデアを研ぎ澄ませた後、制作に移行します。ヒットの確率を高めていくために、コンテンツ制作後の振り返りも大切です。

YouTubeチャンネル開設をはじめとするタレント・アーティストのDXは、今後、さらに活発になっていくでしょう。各チャネルを活用したビジネスが活性化することで、広告・タイアップ案件の増加も見込めます。その代表格でもあるYouTubeを活用し、タレント・アーティストや芸能事務所と広告主はどのように付き合っていくべきでしょうか。
次回は、タレント・アーティストのYouTubeチャンネル運用の裏側、そして企業広告への活用術を現場目線で具体的にお話しします。