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芸能人YouTubeチャンネルを30以上開設したプロデューサーが教える、企業広告への活用術最前線

なぜ増える?タレントのYouTubeチャンネル エンタメ業界で始まるDXの裏側

 昨今増えている芸人や俳優、アーティストなどによるYouTubeチャンネルの開設。「YouTuberの成功を見て、芸能人がデジタルに進出してきた」という見方もあると思います。しかし、彼らはただ流行りに乗っているわけではありません。その背景には、タレント業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)、そしてビジネスモデルの変革を求める戦略的な動きがあるのです。本稿では、現在タレント・アーティストのDX支援を包括的に手掛ける「FIREBUG」で代表取締役 プロデューサーを務める佐藤詳悟氏が、自らの知見をもとに、エンターテインメント市場とデジタルコンテンツ市場の両面から、タレントビジネスの動向を解説します。

デジタル活用が進んでいなかった芸能事務所

 タレント・アーティストによるYouTubeチャンネル開設が目立つようになったのは最近ですが、この動向を遡れば、2008年のリーマンショックに行き当たります。

 世界的な景気後退を機に、国内でも企業の広告宣伝費が削減されてテレビ出演料が減少し、芸能事務所の収益は大幅に減りました。その後の景気回復により収益は改善しましたが、長期的な視点では、2019年に電通の「日本の広告費」で「インターネット広告費」が「テレビメディア広告費」を逆転したことが示すように、芸能事務所におけるテレビ局からの収益もゆるやかに減少していると見られます。

出典:電通「2019 年 日本の広告費」
出典:電通「2019 年 日本の広告費」

 リーマンショックが発生した2008年は、Googleが動画クリエイターを支援する「YouTube パートナープログラム」の提供を始めて間もない時期です。国内でもYouTubeの存在感は増していましたが、いわゆる「YouTuber」はまだ一般的ではなく、YouTubeでのマネタイズ事例はほとんど見られませんでした。

 ビジネスとして成立する保証がない以上、芸能事務所としてはデジタルコンテンツを積極的に制作することはできません。YouTubeに比べてライトに運用できるTwitterやInstagramを試すケースはあれど、やはりテレビが第一で、本格的なデジタル活用に踏み切れない状況が続いていました。

タレント・アーティストのDXが急速に進む根本的な理由

 しかし、ここ数年で状況が一変します。人気YouTuberが多数在籍するUUUMが株式を上場したり、「インスタグラマー」「インフルエンサー」と呼ばれるSNSの人気ユーザーが脚光を浴びたりと、場合によっては、テレビに出演しているタレント・アーティストよりも大きな人気を得て、収益も十分に確保できる事例が生まれてきたのです。

 こうした流れを受けて、テレビ番組・CMの出演や契約を収益の柱に据えていた芸能事務所も、デジタルコンテンツを活用した収益源確保に本腰を入れ始めます。現在、タレント・アーティストによるYouTubeチャンネル開設が急激に増えているのはコロナ禍の影響もあるでしょう。テレビ番組・CMの撮影が困難になったこのタイミングで、出演機会が減ったタレント・アーティストを活かすためにデジタル進出が加速しているのです。

 タレント・アーティストのDX、そしてビジネスモデルの変革を目的としたこの一連の動きを表面的に見たものが、「タレント・アーティストによるYouTubeチャンネル開設が増えている」事象と言えます。この流れは今後も継続し、来年、再来年はさらに活発になると筆者は推測しています。

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この記事の著者

佐藤 詳悟(サトウ ショウゴ)

株式会社FIREBUG 代表取締役 プロデューサー 1983年生まれ。東京都出身。大学卒業後の2005年、吉本興業に入社。ナインティナインやロンドンブーツ1号2号、COWCOW、ロバートなどのマネージャーを歴任。ロバート秋山の『クリエーターズ・ファイル』、COWCOWの『あたりまえ体操』などのコンテ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2020/07/21 08:00 https://markezine.jp/article/detail/33832

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