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コロナ禍で生まれた、「持続的な欲求」と「一時的な欲求」を見極めよ 企業が応えるべき消費者の欲求とは?


 コロナ禍で変わる消費者に関して、さまざまな現象やデータが断片的に報じられています。一時的な現象なのか、持続性のある変化なのか、それを見極めるには、深い消費者理解が不可欠です。本稿では、デコムの大松孝弘氏がコロナ禍で明らかになった「消費者の新・欲求」を解説します。

コロナ禍で明らかになった消費者の「新・欲求」

 前編では、私が代表を務めるデコムが発表した「With/Afterコロナに企業が注視すべき消費者の新・欲求“ニューノーマル・プラネット”」のレポートから、「消費者は、コロナとの長期戦に腹をくくって、自分らしく価値あるニューノーマルを探す旅を始めていて、大きくは7つの旅路があること」と、「加速や減衰している消費者の欲求があり、その変化は自社ブランドにとってのオポチュニティにもピンチにもなりうること」をお伝えしました。

 本レポートでは、コロナの影響で変化した生活/消費行動(n=1の定性情報)をオンラインで収集し分析。緊急事態宣言下の調査時には1,005人、解除後の調査では1,138人の生活/消費行動を収集しました。具体的には、

  1. コロナ禍で変わった生活行動に関して、人はいつどんなときに(シーン)
  2. どのような要因によって(ドライバー)
  3. どのような感情をともなう価値や不満を感じて(エモーション)
  4. その背景にはどんな生活や価値観があるか?(バックグラウンド)

 といった、デコムが定義するインサイト4要素について分析を行いました。

 今回の中編では、7つの旅路の中身である「新・欲求」についてご紹介。40の新・欲求は、次の9つの情報で構成されています。

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1.【消費キーワード】

 ニューノーマルにおけるビジネス(マーケティング)機会を象徴するキーワードです。消費者の変化で生まれた新しい欲求に応えるために、With/Afterコロナにおいて企業がマーケティングを通じて提供すべき価値を表しています。

2.【7つの旅路】
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 緊急事態宣言下では、現代人が経験したことのないパンデミックの事態に“混乱し場当たり的に動く消費者の姿”が見て取れました。宣言解除後では、コロナ禍での生活が長引く中で、ある種冷静に“自分らしく価値ある新しい日常を模索する消費者の姿”に変化しています。

 消費者は、コロナとの長期戦に腹をくくって、自分らしく価値あるニューノーマルを探す旅を始めています。それは、世間一般に共通する正解を求める旅ではなく、コロナ前よりもまして“自分らしさ”を重視した旅路です。

 40の新・欲求は、7つの旅路のいずれかに該当します。

3.【共感スイッチ】

 コロナ禍で生活行動の変化を余儀なくされた消費者や、ニューノーマルにより良く適応しようとする消費者が、求めているが十分に充たされていない欲求です。消費者が、その“未充足の欲求”を充たしてくれそうだと感じれば共感が生まれます。共感の心のスイッチともいうべき、企業が応えるべき消費者の欲求です。

4.【共感度/持続度/未充足度】

 国内の一般消費者(全国15歳~79歳男女)600人を対象にした、共感スイッチの共感度、持続度、未充足度についての定量調査結果のスコアです。母集団(全国15歳~79歳男女)は、約1億人です。

 共感度は、“共感スイッチの欲求“に共感する(私もそう思う)人の割合。持続度は、“共感スイッチの欲求”がコロナ終息後も、その欲求は持続すると思う人の割合。未充足度は、“共感スイッチの欲求”が今の生活で充たされていないと思う人の割合です。

 充たされている割合ではなく、充たされていない割合を計る意味は、充たされていない方が企業にとってのオポチュニティになるからです。消費者は、既に充たされている欲求よりも、充たされていない欲求が充たされることに価値を感じます。それを充たすことで、企業は消費者に感謝されます。「前から、こういうのがあったら良かったと思ってたんですよ」という具合です。

5.【非共感ポイント】

 消費者の興味関心が薄く、スルーされてしまう可能性があることを示しています。場合によっては、消費者の反感につながることも考えられるため、企業が感じさせてはいけないことです。

6.【代表する消費者事象(n=1)】

 この消費キーワードを象徴する具体的な消費者の行動。共感スイッチを読み解く基となったn=1の定性情報です。

 凡例:性別/年齢/居住地/未既婚/子の人数/仕事の内容/世帯年収

7.【Beforeコロナの価値】

 ニューノーマルにおいて、消費者が重視する価値の変化を理解するための従前(Beforeコロナ)の価値です。

8.【With/Afterコロナの価値】

 ニューノーマルにおいて、消費者が重視する価値で、企業が提供すべきことです。

9.【定量的に共感度+未充足度が高い属性】

 定量調査の結果、各属性で「共感スイッチ」の共感度+未充足度がTOP10に入った欲求を白でハイライトしています。

コロナ禍で急変する消費者インサイトに対し、企業はどう対応すべきか?

9月1日~2日にかけて開催するMarkeZine Day 2020 Autumnでは、新時代を切り開く戦略と戦術のヒントを提供する様々なセッションをご用意しております。

本コラムの著者、デコムの大松氏が登壇するセッション「ニューノーマル時代の消費者インサイトに適応せよ ウエディングパーク、LIFULLの実践をデコムが説く」では、ニューノーマル時代の消費者インサイトの変化を読み解く定量&定性調査の結果と、実際の企業事例を照らし合わせ、ニューノーマル時代の消費者インサイトに企業が適応する糸口を探ります。参加は無料ですので、ぜひご参加ください!

日時:2020年9月2日(水)16:50~17:50
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この記事の著者

大松 孝弘(オオマツ タカヒロ)

株式会社デコム 代表取締役
大手広告会社を経て、2002年デコムを創業。2006年に日本初のインサイトリサーチに関する書籍「図解やさしくわかるインサイトマーケティング」を上梓する。株式会社デコムは、設立以来、一貫してインサイトリサーチによるアイデア開発を提供。著書に『「欲しい」の本質~人を動かす隠れた心理「インサイト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/08/28 13:19 https://markezine.jp/article/detail/34069

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