クマベイスの山田太一氏が海外コンテンツマーケティングの事例を基に、業界問わず活用できる「型」を解説する本連載。第2回のテーマは、コンテンツ制作の要となるペルソナ設定です。その一つの要素である「年代・世代」に注目し、金融業界のコンテンツを事例に、ライフステージに寄り添ったコンテンツとは何か考えていきます。
ライフステージに寄り添う内容・配信の工夫
コンテンツマーケティングには「ペルソナ設定」が欠かせません。ペルソナとは、いわばターゲットとなる架空の人物像。まるでその人物が実在するかのように「名前」「年代」「性別」「職業」「家族構成」「ライフスタイル」などを詳細に設定していきます。そして「ペルソナの状況や心情に寄り添ったコンテンツとは何か」を考えることが、コンテンツマーケティングの成否のカギを握るのです。今回は、ペルソナ設定の一つの要素である年代・世代に注目します。
金融業界には、銀行、保険会社、証券会社といった業種がありますが、ビジネス面で共通するのは、人のライフステージごとで発生するお金の問題についてサポートすること。まさに「人生の伴走者」ともいえる存在です。
皆さんが初めて自分の銀行の口座を持ったのはいつでしょうか? 高校生、または大学生の頃という方も多いかと思います。このころになるとアルバイトを始め、自分の意思で使えるお金が増えます。その後、社会人として自立し、今までは漠然としていた「経済」「金融」についても学び始めます。
結婚や子育ての過程では、自分だけでなく、家族の人生について考える機会が訪れます。やがて子どもが独立し、仕事も退職。新しいことを始めたい、世の中の変化をキャッチアップという気持ちが生まれるかもしれません。このように、金融業界ではライフステージの変化に合わせたコンテンツが求められます。ではそうしたコンテンツを届けるために、どのような工夫がなされているのでしょうか。
学生向け:初めて生まれるニーズを逃さない
初めて開設した預金口座を、そのまま変更することなく使い続けている方は多いのではないでしょうか。海外でもその傾向は強く、各銀行は「いかにして学生に選ばれるか」を考えています。
その中でも、英国に本社を置く世界最大級のメガバンク「HSBC」は学生向けのコンテンツを用意し、一大キャンペーンを行いました。そのキャンペーンの名は「Your Future Self」。英国を拠点にマーケティング関連のニュースを配信する「The Drum」では、「HSBC encourages students to think of their 'future self' with social media-led campaign(HSBCはソーシャルメディア主導のキャンペーンによって、学生に「未来の自分」を考えるよう促している)」とのタイトルで、このキャンペーンについて報じています。
記事によると、キャンペーンは大学進学を控えた学生を対象に、キャリアをスタートさせる一助として始められたようです。マーケティング上の目的は「学生のコミュティで話題を生み出し、口座開設を促進させること」です。
このキャンペーンの特徴は2点あります。まずは、4つの動画を用意したことです。その中の一つでは、元スカッシュ選手が怪我で引退を余儀なくされ、その後オンラインスカッシュ学習ポータルを立ち上げたストーリーが描かれています。「How I found my future self(どうやって未来の自分を見つけるか)」との言葉で始まるこの動画は、これから新生活を迎える学生に強いメッセージとして届けられました。
もう一つの特徴は、学生が「未来の自分」をイメージした自撮り写真をアップロードするコンテストの開催です。最も独自性がある写真をアップロードした学生には、将来のキャリアプランの助けとして活用できる賞金が与えられました。このように、HSBCは「初めて自分で解説する口座」に選ばれるため、「学生の未来を応援する」というメッセージを持ったコンテンツを用意したのです。
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- この記事の著者
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山田 太一(ヤマダ タイチ)
エディター、コンテンツマーケティングコンサルタント。産経新聞記者、人材採用広告会社の営業を経て、クマベイスに入社。クライアントワークにあたるとともに、コンテンツマーケティングやコンテンツ戦略の海外事例を研究する。熊本県出身。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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