過去の施策の共通性から見えた商品開発のフレームワーク
村岡:ボタニカルライフスタイルブランドの「BOTANIST」は2015年の誕生以来伸び続け、美容家電ブランドの「SALONIA」は、ブラシ型のヘアアイロン『ヒートブラシ』などのアイテムを発売し、どちらのブランドも御社の売上に大きく寄与していらっしゃいます。2020年度の売上高では前期比で約10%成長という業績予想を出されていますね。御社がヒットプロダクトを生み出し続けることができるのはなぜでしょうか?
小松:「BOTANIST」と「SALONIA」の取り組みを振り返ると、施策に共通性があることがわかりました。それを改めて整理し定義付けしたのが、弊社独自のブランドマネジメントシステムである「IPTOS(イプトス)」です。
小松:IPTOSのIはIdea(アイデア)、PはPlan(企画)、TはTest(テスト)、OはOnline/Offline(EC/一部小売での販売開始)、SがScale(ECスケール/小売本格展開)と、それぞれがフェーズを指し、その頭文字を取っています。
このフレームワークに沿って開発を進めると、テストまで通ったものは、ある程度売れる見込みが立ちやすく、再現性が高いため、現在、すべての商品開発においてこのフレームワークを採用しています。
全社員、AIからアイデアを引き出す
村岡:テスト通過までに何をされているのか、詳しくうかがいたいです! まずはIdea(アイデア)のフェーズでの取り組みについて教えてください。
小松:まず、全社員がアイデアを出し、フォームから自由に投稿できる「アイデア原石プロジェクト」という取り組みがあります。
加えて、国内外のトレンドを得るために弊社で独自開発した最先端AI予測システム「インサイトスコープ"KIYOKO(キヨコ)"」(※)でトレンドを分析して、その中から再現できそうなヒントを抽出したり、社内のトレンドハンターチームが海外でのトレンドの萌芽を見つけてきたりと、様々なアイデアを収集・検討し、ある程度の商品コンセプトや、おおよそのターゲットを決めていきます。
※世界239カ国のニュースサイトや口コミサイト、SNSといった約2,000万件を超えるあらゆる媒体から消費者の潜在的ニーズを読み取り、消費者インサイトをビックデータから解析するI‐ne独自のシステム。
村岡:特定のチームだけでなく、全社員で取り組まれているのはなぜでしょうか?
小松:アイデアと一口に言っても、商品開発だけでなく、物流や販促など、プロダクトのサプライチェーンプロセス全体について、様々な着想を求めています。全社員で取り組むことで各々の現場の知見が生かされ、結果、商品自体のアイデアも広げることができます。
村岡:新しい商品を開発するだけでなく、ビジネスに還元できるエッセンスを全社員で考えて、回していこうという考え方なんですね。社員の意見以外に、顧客からの声をアイデアとして取り入れることはあるのでしょうか?
小松:もちろんあります。弊社のカスタマーサポートに日々お客様からいただいている「こういう商品があるといいな」といったご意見も参考にします。また、先ほどお話ししたKIYOKOや他のツールを使ったソーシャルリスニングからも着想を得ています。