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イベントレポート

SMCC福田氏とRepro赤司氏に聞く、コンテンツマーケティング失敗の本質とその克服法10選

 2020年9月25日、CINCとTrendemonは共催でオンラインセミナー「コンテンツマーケティングの本当にあった怖い話~そこから学ぶ成功のためのヒント~」を開催。本稿では三井住友カードの福田保範氏、Reproの赤司氏、Trendemonの栗田氏によるトークセッションをレポートする。本音を交えながら、コンテンツマーケティングの本質に迫った。

三井住友カードが手掛ける、コンテンツマーケティング施策の全体像

栗田:本セッションでは、三井住友カードのコンテンツマーケティングをゴリゴリ現場で実践し、成果を出している福田さんと、Repro以前からも長年コンテンツマーケティングを支援してきた赤司さんをお招きしています。「本当にあった怖い話」、すなわち「失敗事例」も交えながら、そのご経験と知見を伺っていきます。まずは三井住友カードさんの事例から学びたいと思います。成功に至る過程での失敗談、そこから得た学びも共有してもらえるとのことです。

福田:これが、三井住友カードのコンテンツマーケティング全体像になります。

▲三井住友カードのコンテンツコミュニケーション全体図。すべて同じドメイン配下。
三井住友カードのコンテンツコミュニケーション全体図。すべて同じドメイン配下。

栗田:この全体像は、それぞれのチームに共有していますか?

福田:いえ、していないです。全体設計は私がしていますが、この全体マッピング自体はそれほど重要ではありません。それぞれのコンテンツが、しっかりと目的を持ったかたちで運営されることこそが重要です。各目的は、私が各現場メンバーにしっかり叩き込むようにしています。

栗田:三井住友カードでは、個人と法人、双方をターゲットにしていると思いますが、まずは個人向けカートではどのような戦略でコンテンツマーケティングを実行しているのでしょうか?

福田:ターゲットは「三井住友カードのことはなんとなく知っているがメリットは知らない」潜在層ユーザーと定義しています。潜在層にとって役に立つ読み物コンテンツを200ページ以上作っていて、毎月4記事ペースで新しい記事を更新しています。カードに関連するキーワード検索行動に幅広くアプローチできた結果、2020年8月で月間80万PV超にまで育てることができています。多いときは月間100万PVに届くこともあります。読み物コンテンツを入口として、直接・間接的に申込をしたユーザーは、提携カードまで含めると月間2,000件以上です。

栗田:すごいですね。一方で、法人向けカードではどのようなコンテンツマーケティングを実施しているのでしょうか。

福田:法人カードでも基本は個人カードと同じ発想・手法です。顕在層向けの「法人カード活用ガイド」は開始してから約2年、潜在層向けの「ビジドラ」も約1年半経っています。2020年8月時点で月間68万PV、そのコンテンツ経由で月間100件程度の法人カードのお申込みをいただいています。

栗田:ちなみにコンテンツマーケティングの手応えを感じ始めたのは、開始してどれくらい経ったときでしたか?

福田:個人のほうはスタートしてから8ヵ月ぐらいはずっと、闇の時代でした。社内から「なんでやってんの?」と言われたこともありました。個人のほうがうまくいってから、法人にも取り組み始めましたが、法人は1年2ヵ月ぐらい、成果がでない時期がありました

栗田:なるほど。コンテンツマーケティングの成果が出るまでの期間については、後でまた触れたいと思います。ところで、ナーチャリングに効いているコンテンツを、どうやって可視化していますか?

福田:コンテンツマーケティングって、なんとなく始める場合や、「認知が高まる」「バズる」とかざっくりした目標を立てる場合も多いと思いますが、弊社では数値的根拠が必要なので、統計分析ツール「XICA magellan」を使って、読み物コンテンツを含めた各メディアを評価しています。オフラインやオンライン、そしてSNSも含めて横並びで統計分析しています。コンテンツを見た後に、自然検索などから流入してきてCVするといったような間接効果も、きちんと評価することが重要だと思います。

各コンテンツのKPIが明確でなければ失敗する

栗田:ありがとうございます。では次の質問です。コンテンツマーケティングとブランディングを混同しないために、どう棲み分けしていますか? 

福田:それもまさにコンテンツマーケティングの闇ですよね。先ほど少しお話した通り、最終目的が曖昧なままコンテンツマーケティングに取り組んでしまうと、闇の始まりです。各コンテンツのKPIを明確に持ち、指針を事業主側がしっかり持っていないと、うまくいきません。たとえば、三井住友カードでは次の図のように各コンテンツの役割を明確にしています。

▲各コンテンツの役割の棲み分けを明確にしている
三井住友カードでは各コンテンツの役割の棲み分けを明確にしている

福田:この図のとおり、コンテンツごとの目的をあえて重ねないようにしています。つまり、「ブランディングコンテンツ」は、「獲得コンテンツ」と被らないわけです。ブランディングのためだったとしても、ついつい、社内決裁を取るときなんかに経営層から詰められて、獲得CV数を握っちゃうとか、皆さん心当たりありませんか? 気持ちはわかるんですが、それをしないということです。

栗田:この全体設計はすごいボリュームですが、最初から設計されていたのでしょうか? それとも、その都度付け足して、どんどん大きくなったのでしょうか?

福田:全体設計は頭の中にはありました。ただ、最初から大風呂敷を広げても誰も乗ってくれないだろうと思ったので、まずは獲得向けコンテンツSEOである「ゼロからはじめるクレジットカード」というコンテンツから着手しました。獲得をKPIとしたもののほうが会社として投資しやすく、まずは始めやすかったので。CINCさんのツール「Keyword Map」も、SEO目的の施策に役に立つものなので、KPIが明確な分、企業は投資しやすいと思います。

 成功体験がひとつできた後は、違う部署でも同じようなことをやりたいと自然発生的に広がりました。どの部署でコンテンツマーケティングをやる場合でも、必ず私が設計士としてジョインするようにしています。そして取り組む順序としては、まず獲得向けコンテンツで成功例を作ってから、認知目的のコンテンツやブランディング向けコンテンツの制作に取り組みます

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この記事の著者

栗田 宏美(クリタ ヒロミ)

Trendemon Marketing Director
Web広告代理店を経て、2014年クレディセゾン入社。オウンドメディアを立ち上げ編集長として、ブランディングと働き方改革の2軸を推進。2018年よりカード購買データの利活用と新規事業を担当。さらにCVCを兼務し、イスラエルのマーケティングテクノロジースタートアップであ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/11/13 09:00 https://markezine.jp/article/detail/34805

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