予算獲得プレゼンにおけるCPAの算出方法
栗田:コンテンツマーケティングを始めるときに、経営層にどんなプレゼンテーションをしたのでしょうか。
福田:そもそものSEOについての啓蒙が必要と感じたので、プレゼンの前に、部長陣にSEO勉強会をさせてもらってSEOの重要性を説き回りました。「SEOっていうのは、新規獲得だけではなくて、顧客が検索するキーワードを予測して、そのキーワードに対してサイトを表示させるというある種UXであり、当然やるべきことですよ」とまず話し、そこから、SEOによる施策の事業貢献の可能性を話しました。
経営層が気にするのは、「それをやるといくら使ってどの程度の効果があるのか」ということです。そこで、すごくシンプルなのですが、SEOのキーワードの目標ランク・検索ボリューム予測を出して、そこにCVRをかけて予測CV数を算出し、CPAをかけ算して、「これくらいの費用が必要です」とプレゼンしました。
栗田:そのプレゼン時のCPAは、どう設定しましたか?
福田:リスティング以上Web広告(DSP)未満、で設定しました。
コンテンツマーケティングのKPIを可視化せよ
栗田:では、次にRepro赤司さんにコンテンツマーケティングのノウハウを伺っていきます。赤司さんのご経験から見えてきた、コンテンツマーケティングのKPIの立て方や成果を可視化する取り組みについて教えてください。
赤司:手段は何でもいいので、直接・間接CVは絶対に取るべきです。あと重要なのは、読了率です。コンテンツの読了率が高いユーザーは、記事のシェア数やコンテンツへの再来訪率が高いと言われています。
コンテンツを最後まで読了したユーザーと、していないユーザーの行動差異を比較し、それを評価指標にするというやり方も良いと思います。コンテンツの読了率が高いユーザーの記事のシェア率と、読了率が高くないユーザーの記事のシェア率を比較するとか。コンテンツの読了率が高いユーザーと読了率が高くないユーザーで、初回訪問から再訪する確率はどれくらい違うのかとか。コンテンツによる行動変容を可視化するという視点です。
栗田:読了率が高いユーザーのエンゲージメントを可視化するということですね。ところで、先ほど福田さんが成果が出るまでの「闇の時代」についてお話されていましたが、コンテンツマーケティングをやるなら最低何年の視点を持ち、同時にどの程度のボリュームのコンテンツを作る前提で動くべきなのでしょうか。
赤司:先ほどの福田さんのご経験が、まさにぴったりだと思います。つまり、1~2年くらいの期間がかかることは、最初に社内説得して欲しいです。そして、最低でも200記事を目指していただきたい。これもWACULさんがデータを出しています。
そのデータによると、コンテンツには情報ノウハウ提供型のコンテンツと、読み物型のコンテンツ2種類あって、情報ノウハウ提供型は最低60本以上、読み物型のコンテンツは170本以上制作しないと、コンテンツページへの入口訪問数が増えません。つまり、コンテンツを制作して230本必要ということになります。だから、私としてはひとつの目安は「200本くらい」と考えています。
福田:そのデータすごく良いですね。自信がつくというか、目標があると手を動かしている人が頑張れますよね。私も、コンテンツを一人で20本作っていた時代に、よく上司から「何本コンテンツを作ったら成果が出るの?」って聞かれて焦りまくっていました。自分の経験を振り返ると、一番最初に始めたコンテンツで初めて成果を実感できたのが55本目くらいでした。だから、そのデータは結構正しいんじゃないかなと感じます。
KPIを持たなければ、すべてがただの作業になってしまう
栗田:赤司さんに質問です。私自身、Trendemonの仕事をしていて、日本企業ではKPIを持たないチームがコンテンツマーケティングをやってることがよくあると感じています。たとえば、オウンドメディアを運用しているチームにはビジネスゴールへの貢献度やCVの目標数値をもっておらず、なんとなくPVを追っているだけ、CVの数値目標は別部署が担っているケースが多いように感じています。赤司さんのご経験でも、これはよくあることなのでしょうか?
赤司:非常によくありますね。それによって引き起こされる悲劇のパターンがあります。まず、KPIがないと、すべてがただの「作業」になってしまうんですよ。更新が目的化するんです。加えて、成果を測る指標がないと、自分の評価、チームの評価につなげることができません。その結果、ただのコストセンターになってしまうというパターンです。
栗田:そうならないように、どうすればいいのでしょうか?
赤司:私なりに、コンテンツマーケティングを成功させるポイント10選をまとめてみました。