情報共有の精度が低いと、支援者側はコミットしにくい
栗田:では、赤司さん目線から、コメントいただけますか。
赤司:普段は言わないベンダー側の本音を言うと……ベンダーは、事業部で抱えているリソース×一人当たりの売上生産性つまり売上になるので、誰にどの案件を担当させてどのくらいリソースを割くかの最大化最適化が、売上の最大化最適化につながります。
なので、ベンダー側からすると、最初お客さんを慎重に選ばないといけないんです。そこで、自分がベンダーの責任者としてお客さんと相対するときに、「このお客さんは踏み込んでいいのか、それとも踏み込まないほうがいいのか?」というジャッジメントで、それはそのお客さんがどれだけ情報を開示してくれるか、並びにその開示いただいた情報を諸に売上ポテンシャルがどうなるかを試算して判断するようにしています。なので、あまりベンダーを信用せずに情報を開示してくれない場合、こちらも踏み込めません。
福田さんとは一緒にお仕事させていただいたことがありますが、福田さんはめちゃくちゃ情報共有してくれるんですよ。情報共有してもらえると、売上が立つ見込みがあるから、ベンダー側はリソースを割くという判断をしやすい。ベンダーがリソースを割くと、施策の成功確率は上がるので、結果としてうまくいきやすいと思います。だからNDAを結んでその範囲で可能な範囲で、包み隠さず情報共有をしていただくと良いと思います。
栗田:事業主からすると、ネガティブな情報は共有しづらかったり遅れがちになるんですが、そこもきちんと共有することが大切ですよね。
赤司:はい。あとは定量的な数字がわかりやすいので、マーケティング施策全体の情報や数字を出したほうが、ベンダーは動きやすいと思います。たとえばコンテンツマーケティングにしても、一部の最適化ではなく全体最適のためのひとつの手法なので、リソースや予算のアロケーションを含めて共有してもらい、ベンダーが役割期待をきちんと認識して動くほうが、成功確率は上がると思います。
コンテンツマーケティングで最も重要なこと
栗田:ありがとうございます。では、最後にお二人に私から質問して終わりたいと思います。「コンテンツマーケティングで最も重要なのは〇〇だ」と掲げて、〇〇にはどんな言葉を入れますか?
福田:最後まで暑苦しくて申し訳ないんですけど、「愛」です(笑)。3つの愛を定義したいです。
まず、自社サービスへの愛です。コンテンツマーケティングの始まりって、自社のサービスを誰よりも知ることだと思うんですよね。自社サービスを愛をもって語れない人が良いコンテンツを作ることはないと思いますし、逆に愛がないとそれがコンテンツに出ちゃうと思っています。私も、入社した時は自社サービスを研究して、半年くらいで誰よりも自社サービスの良いところを語れるようになりました。
次に、ユーザーへの愛。いいサービスは人に伝えたくなりますよね。ちゃんとユーザーに届くように、ユーザーが欲しい情報を心を込めて伝えること。
最後はチームの愛で、これは社内だけではなく社外のパートナーを含めて、ワンチームとしてやっていくということです。NDAを結んだのに、なぜか情報公開をしない事業主は多いです。契約を結んだということは「このチームでやっていくぞ」という覚悟なので、ワンチームとして情報公開を惜しみなくすること。この3つの愛が揃わないと、コンテンツマーケティングはうまくいかないんじゃないかと思います。

栗田:赤司さんはどうですか?
赤司:私はベンダー側として、先ほど福田さんもおっしゃった3つ目の愛でもある、ワンチームとしての信頼関係が重要と思っています。信頼関係が成り立てば、ベンダーはコミットしやすくなり、責任を持ちやすくなります。「その施策はやめといたほうがいい」とか厳しいことも、ベンダーはプロとしてアドバイスしやすくなるし、事業主企業と同じ目線にも立てます。コンテンツマーケティングをやる上では、コンテンツ制作会社さん然り、ツールベンダーさん然り、ワンチームで成功に持っていくための信頼関係が一番重要だと思います。

栗田:赤司さん、福田さん、ありがとうございました。単なる成功体験の紹介では、その前提条件に左右されて視聴者の参考にならない場合が多いので、今回のセミナーでは、失敗の本質にスポットライトを当てました。お二人とも惜しみなく体験談と知識を共有してくださり、ありがとうございました!