デジタル広告のPDCAで感じた限界
MarkeZine編集部(以下、MZ):まず、ウェザーニューズがテレビCMの出稿を始めた理由を教えてください。
渡部:我々の展開する天気予報アプリ「ウェザーニュース」の更なる成長に、テレビCMが必要だと考えたためです。元々ウェザーニュースは、デジタル広告でA/Bテストを行いながら配信を最適化し、着実にインストール数を伸ばしてきました。また、PDCAサイクルを回す中で、クリエイティブや予算、時期などの出稿計画に対してどの程度のCPIでどの程度ユーザー獲得できるかも高い精度で予測できるようになりました。
渡部:その一方で、ここ数年デジタル広告の成果が頭打ちとなりつつあり、改善をしても大きなグロースが見込める結果が得られにくいという課題が浮き彫りになっていました。
そのため、テレビCMを活用して「天気予報アプリと言えばウェザーニュース」という認知形成を狙い、もっと大きくスケールアップできればと考えていました。
MZ:スタートアップやBtoBでSaaSを提供している企業など、デジタル中心で成長してきた企業によくある課題だと思います。しかしながら「効果がわかりにくい」「PDCAが回しにくい」など、テレビCM出稿時の不安はありませんでしたか。
渡部:正直、最初は本当に成果が出せるのか、また広告効果がきちんと測れるのかという不安がありました。ただ、今回はラクスルの運用型テレビCMサービス「ノバセル」を活用したことで、その不安を解消することができました。
運用型テレビCMに欠かせないKPI設計とは
MZ:今回ノバセルを活用したとのことですが、なぜ採用したのでしょうか。
渡部:一番の懸念点であった、広告効果を測るところに非常に強みを持っていたためです。効果分析ツール「ノバセルアナリティクス」を活用することで、テレビCMの効果計測がリアルタイムで行えます。
他社サービスも検討していましたが、レポート提供が1ヵ月後などPDCAを回していくには遅すぎました。測れるだけでなく、デジタル広告のように高速でPDCAを回したかったんです。そのため、リアルタイムで効果が測れ、改善していくことができるノバセルを採用することに決めました。
MZ:では、ラクスルの手塚さんから、ノバセルがどのようなサービスかご説明いただけますか。
手塚:ノバセルは、高速でテレビCMのPDCAを回せる運用型テレビCMサービスとなっています。我々がネット印刷の「ラクスル」のマーケティングで培ってきたテレビCMの制作から出稿、検証のノウハウ、さらにテレビCMの効果分析ツール「ノバセルアナリティクス」などのツールも提供しています。
これにより、これまで効果が見えない、コントロールできないと思われてきたテレビCMに、デジタル広告では一般的な運用するという考えを持ち込んでいます。
MZ:テレビCMを運用するにあたり、KPIはどこに置いていたのでしょうか。
渡部:デジタル広告と同様に、CPIとインストール数を重視しました。そしてそれらが天気や訴求軸、クリエイティブによってどう変わるのかを検証しました。
手塚:テレビCMを出稿する際、認知度や好意度、GRPなどの指標も見ることがあると思いますが、これらはあくまで中間指標にすぎず、ここで判断すると誤ることがあります。重要なのは、きちんと売上に直結するKPIで測ることです。
お客様のサービスによって様々ですが、たとえば不動産企業なら資料請求や説明会参加などをコンバージョンポイントに置き、そのCPAをKPIとします。