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デジタルマーケ思考で、CPIを30%削減!ウェザーニュース×ノバセルに聞く、運用型テレビCMのススメ

 これまで、大きな予算が必要で、検証も難しいとされてきたテレビCMだが、昨今運用が可能になる流れが起きつつある。本記事では、ラクスルが提供する運用型テレビCMサービス「ノバセル」を活用し、CPIを30%下げながら、インストール数を大幅に伸ばした「ウェザーニュース」の事例について、ウェザーニューズの渡部氏とラクスルの手塚氏に話を聞いた。

デジタル広告のPDCAで感じた限界

MarkeZine編集部(以下、MZ):まず、ウェザーニューズがテレビCMの出稿を始めた理由を教えてください。

渡部:我々の展開する天気予報アプリ「ウェザーニュース」の更なる成長に、テレビCMが必要だと考えたためです。元々ウェザーニュースは、デジタル広告でA/Bテストを行いながら配信を最適化し、着実にインストール数を伸ばしてきました。また、PDCAサイクルを回す中で、クリエイティブや予算、時期などの出稿計画に対してどの程度のCPIでどの程度ユーザー獲得できるかも高い精度で予測できるようになりました。

株式会社ウェザーニューズ トランスプラットフォーム事業部 マーケティング/データ分析担当 渡部 一真氏
株式会社ウェザーニューズ モバイル・インターネット事業部 マーケティング/データ分析担当 渡部 一真氏

渡部:その一方で、ここ数年デジタル広告の成果が頭打ちとなりつつあり、改善をしても大きなグロースが見込める結果が得られにくいという課題が浮き彫りになっていました。

 そのため、テレビCMを活用して「天気予報アプリと言えばウェザーニュース」という認知形成を狙い、もっと大きくスケールアップできればと考えていました。

MZ:スタートアップやBtoBでSaaSを提供している企業など、デジタル中心で成長してきた企業によくある課題だと思います。しかしながら「効果がわかりにくい」「PDCAが回しにくい」など、テレビCM出稿時の不安はありませんでしたか。

渡部:正直、最初は本当に成果が出せるのか、また広告効果がきちんと測れるのかという不安がありました。ただ、今回はラクスルの運用型テレビCMサービス「ノバセル」を活用したことで、その不安を解消することができました。

運用型テレビCMに欠かせないKPI設計とは

MZ:今回ノバセルを活用したとのことですが、なぜ採用したのでしょうか。

渡部:一番の懸念点であった、広告効果を測るところに非常に強みを持っていたためです。効果分析ツール「ノバセルアナリティクス」を活用することで、テレビCMの効果計測がリアルタイムで行えます。

 他社サービスも検討していましたが、レポート提供が1ヵ月後などPDCAを回していくには遅すぎました。測れるだけでなく、デジタル広告のように高速でPDCAを回したかったんです。そのため、リアルタイムで効果が測れ、改善していくことができるノバセルを採用することに決めました。

MZ:では、ラクスルの手塚さんから、ノバセルがどのようなサービスかご説明いただけますか。

手塚:ノバセルは、高速でテレビCMのPDCAを回せる運用型テレビCMサービスとなっています。我々がネット印刷の「ラクスル」のマーケティングで培ってきたテレビCMの制作から出稿、検証のノウハウ、さらにテレビCMの効果分析ツール「ノバセルアナリティクス」などのツールも提供しています。

 これにより、これまで効果が見えない、コントロールできないと思われてきたテレビCMに、デジタル広告では一般的な運用するという考えを持ち込んでいます。

ラクスル株式会社 アドプラ事業本部 事業本部長補佐 手塚 裕亮氏
ラクスル株式会社 ノバセル事業本部 手塚 裕亮氏

MZ:テレビCMを運用するにあたり、KPIはどこに置いていたのでしょうか。

渡部:デジタル広告と同様に、CPIとインストール数を重視しました。そしてそれらが天気や訴求軸、クリエイティブによってどう変わるのかを検証しました。

手塚:テレビCMを出稿する際、認知度や好意度、GRPなどの指標も見ることがあると思いますが、これらはあくまで中間指標にすぎず、ここで判断すると誤ることがあります。重要なのは、きちんと売上に直結するKPIで測ることです。

 お客様のサービスによって様々ですが、たとえば不動産企業なら資料請求や説明会参加などをコンバージョンポイントに置き、そのCPAをKPIとします。

3つの軸でテレビCMクリエイティブを120種以上制作

MZ:では、どのようにノバセルを活用してテレビCM運用を行ってきたのか教えてください。

手塚:まず、今回運用を回していくにあたり、大きく3つの軸で検証を行っていました。1つ目はクリエイティブでの差分、2つ目は台風などの突発的な天気の変化による差や日々の天気の変化による差分。3つ目は、「ノバセルアナリティクス」を活用した番組単位での差分です。

 これらの3つの軸をもとに120種類のクリエイティブを制作し、効果検証を行ってきました。また、いきなり関東での出稿だと高い費用が発生してしまうため、先に放映料が安価な九州から出稿しPDCAを高速で回していくことで、そこでの知見をもとに関東での成功確率を上げる方針を取っていました。

渡部:具体的には6月に九州、7月に関東でテレビCMを放映しましたが、非常に良かったのは6月中に様々な軸で検証できたことです。先ほどもお話ししたように、一般的なテレビCMの効果計測サービスでは次月の配信に分析が間に合いません。

 しかしながら、ノバセルアナリティクスではその分析をリアルタイムかつ番組ごとに行えるため、配信初月から高速でPDCAを回せました。これにより、7月の配信ではある程度確信に近い仮説を持って放映できました。

地域性のあるテレビCMクリエイティブで自分ごと化

MZ:では、120種のクリエイティブはどのようなことを意識して作っていたのでしょうか。

渡部:一番意識していたのは、地域性をクリエイティブに反映することです。地方局のテレビ番組では、その地域が中心となった地図上に天気予報が掲載されます。そのため、テレビCMのクリエイティブでも「福岡の皆さん!」など放映地域ごとに呼びかけ方を変えてみたり、各地域のランドマークや観光名所を入れてみたりと、その地域の皆さんにとっての天気予報に対するイメージに合ったクリエイティブを作り検証していました。

 また、天気には台風や猛暑などの季節性のもの、雨雲レーダーなど普段から気にすることが多いものなどがあり、それぞれ訴求軸も異なります。そういったことも加味したクリエイティブを用意していました。

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CPIが30%近く減少、インストール数も大幅増加

MZ:では、ノバセルを活用した運用型テレビCMによって得られた成果を教えてください。

渡部:KPIであるCPIは約30%減少し、インストール数も大幅に増加しました。また、10月末に一旦放映を終了したのですが、その後もインストール数のベースが上がっていることもわかっています。テレビCM期間中にダウンロードしなかった方たちにきちんと印象を残すことができており、天気に関して何か調べたいと思ったときに、ウェザーニュースをインストールしていただけているのだと考えています。

MZ:テレビCMを出稿している間、デジタル広告も同時並行で配信していたと思いますが、変化はありましたか。

渡部:デジタル広告のみだったころに比べてCPIが下がりました。テレビCMとデジタル広告を合わせたROASで見ても、デジタル単体だったころより良かったです。

デジタルマーケターなら、テレビCMは怖くない

MZ:普段渡部さんはデジタルマーケティングやデータ活用・分析が主な業務だと思いますが、今回テレビCMを担当してみていかがでしたか。

渡部:正しい計測の仕組みやツールを用いれば、効果も測ることができ、デジタル広告で培ってきたノウハウが活かせるのを感じました。デジタル広告ほどではまだありませんが、それでもデイリー単位でPDCAサイクルが回せるようになりつつあります。

 テレビCMに対して怖いイメージを持つ方もいるかもしれませんが、デジタル広告同様に検証できる仕組みが整ってきているので、デジタルマーケターこそテレビCMにチャレンジしてほしいですね。

MZ:ちなみに、今回のノバセルでの運用型テレビCMの取り組みによって、得られた学びや知見はありますか。

渡部:ビジネスと天気に大きなつながりがあるということですね。天気を軸にクリエイティブや放映する放送局などを変化させたことで、今回大きな成果を出すことができました。今回のテレビCMもまさにそうですが、我々は気象データを活用してビジネス課題を解決していくウェザーテック(WxTech®)というサービスを提供しており、その認知も広げていきたいと考えています。

 その中で、我々自身が天気をもとにビジネスを伸ばすことができたので、ここで得られた知見を我々のお客様にも共有していきたいと考えています。

成功事例をもとに天気連動型のテレビCMで協業

MZ:最後に、今後の展望をお願いします。

手塚:先ほど渡部さんからもありましたが、天気とビジネスには大きな関係があることが今回の取り組みでわかったので、ラクスルとウェザーニューズの両社で協業し、「天気連動型テレビCM」の提供を2020年の7月より開始しました。

 ノバセルアナリティクスによる放映番組単位での効果分析データとウェザーニューズの持つ気象データを掛け合わせ、各広告主にとって効果の高い天候条件とテレビCMの放映枠を見つけ出し、運用を回していけるサービスです。2社が提供する放映効果と気象データの分析を強みとし、企画から制作、放映、分析までを一気通貫で提供しています。さらに、11月からは効果の高い番組に絞り、最短7日前からピンポイントでの出稿を可能にしました。今回の事例で天気と特定の放映枠に合わせたテレビCMの効果が高いことは明らかです。

 さらに実際の購入検討に先駆けて、一定の条件はありますが過去放映の分析からご対応することも可能となっています。これにより活用いただける機会が一層広まっておりますので、ぜひ他の広告主の方にもご利用いただきたいですね。

MZ:渡部さんはいかがでしょうか。

渡部:現在協業で提供を始めたサービスでは、天気によってクリエイティブを差し替えるだけでなく、自社のビジネスにとって最適な天気の日に出稿量の強弱を付けることができます。

 テレビCMは発注したら手を付けられないイメージをお持ちの方も多いと思いますが、今回の事例でも明らかなように、柔軟な運用が可能になりつつあります。そこに可能性を感じたデジタルマーケターにはぜひ今後テレビCMにチャレンジしてみて欲しいですね。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2020/12/18 10:00 https://markezine.jp/article/detail/34977