デジタル広告は分岐点に来ている
MZ:今回Twitterは独自調査をもとにデジタル広告の現状と課題を洗い出し、Twitter広告の活用法を再定義したと聞いています。まず、その現状と課題について解説いただけますか。
大林:デジタル広告は進化の一途をたどってきましたが、今分岐点に来ていると感じています。テクノロジーの進化とスマートフォンの普及にともない、精度の高いターゲティング広告の配信が可能になりました。
その一方で、生活者のデジタルリテラシーも向上し「広告に追いかけられている」といったネガティブな印象を持たれることも増えてきました。そのため、今広告主と生活者の関係をより良いものにするためにも、一度調査をした上でTwitterなりに広告活用の答えを出したいと考えた次第です。
MZ:分岐点に来ているとのことですが、デジタル広告の現状を大林さんはどのように捉えていますか。
大林:利便性と受け取られ方のバランスが重要になっていると考えています。ターゲティング自体は決して悪ではなく、きちんと情報を求めている人に届いていれば、広告主・生活者双方にとって有益です。しかし、不快と感じれば広告効果は減少するため、これまで以上にターゲティングの仕方には気を使う必要があります。
実際にデジタル広告全般に関するツイートのポジティブ/ネガティブ分析をしたところ、少しずつではありますが、ネガティブの割合が増加しています。
大林:さらに、トピックモデルと呼ばれる手法でポジティブとネガティブでどのようなキーワードが使われているのかを調べると、広告が邪魔、欲しくない情報が表示される、表現的に不快なものが出てくるなど、広告で不快に感じているツイートが出ていることがわかりました。
MZ:Twitterでもターゲティング広告を提供しているので、不快な広告を出してしまうリスクがあると思うのですが、そこに対する対応も行っているのでしょうか。
大林:はい。その点に関しては機能的なところで解消するようにしています。広告に関してもフィルタリングの強化に日々尽力しているところです。
Twitterの広告、実は受け入れられやすい?
竹下:また、Twitterは元々一般的なWebサイトに比べ、広告が受け入れられやすい環境になっているんです。
MZ:それはなぜでしょうか。
竹下:一般的なWebサイトの場合、読んでいるコンテンツに重なる形で広告が表示されたり、ずっと下部に広告が付いてきたりしますよね? また動画サイトの場合も動画を見る際に広告を強制視聴しなければコンテンツを見ることができません。
一方でTwitterはタイムラインがメインになっており、ツイートとツイートの間に広告が入る形となっています。そのため、興味がなければスクロールして他のツイートにすぐ遷移することができ、利用者の方が見たいタイミングで広告に触れることができるのです。
過去に行った調査でも、動画サイトのプレロール広告に比べ、Twitterのインストリーム動画広告のほうが1.5倍邪魔にならないという結果が出ています。また、広告の信頼度や広告内容の理解、ブランド好意度なども高い結果となりました。
竹下:また脳波を使った調査では、Twitterでモバイル最適化動画を見るとモチベーションレベルが上昇し続けました。他のプラットフォームでも調査しましたが、上昇したのはTwitterのみでした。
MZ:これだけ調査でTwitterの広告が受け入れられている結果が出てくるのは、利用者の特徴も関係しているのでしょうか。
竹下:Twitter利用者は86%が情報検索をし、そのうちの74%は「Twitterは新しいことが発見できる場所だと思う」と回答しています。さらに、企業などの公式アカウントの投稿を見ている人が他のSNSに比べ64%高く、3人に2人がTwitterには共感できる話題があると答えています。このように情報に対する感度が高いことも、広告が受け入れられやすい要因です。
広告が受け入れられやすいTwitterを最大限活用する方法とは?
MZ:では、Twitter広告を最大限活用するために必要なことを教えてください。
竹下:大きく2つのポイントがあって、1つが「Launch something new」。これは新商品など何かしらローンチするタイミングでTwitterを活用すると、効果的に活用できるということです。
我々の調査では、他の動画サービスやSNSに比べ、人口の20%に当たるユニークユーザーにリーチするまでの到達時間が圧倒的に早いことがわかっています。Twitterはリアルタイム性が強いイメージをお持ちの読者の方も多いと思いますが、Twitterは新しい情報を届けるのに適したプラットフォームとなっています。
竹下:実際にローンチキャンペーンを調べたところ、広告接触者と非接触者で比較すると認知度は26%、ブランド認知度は17%、トップオブマインド(第一純粋想起)は11%上昇していたので、ローンチキャンペーンをTwitterで実施することには大きな効果があることが証明されています。
MZ:ちなみに、新商品やサービスをローンチするのは年に何回もできることではないと思うのですが、どのようにローンチの機会を増やしていけばよいのでしょうか。
竹下:新商品やサービス以外にも、ローンチのタイミングはいくつか存在します。たとえば、新しいポジショニングや新プロモーション、その他送料無料などのサービス改善に関することなどが挙げられます。そのため、自社でローンチと呼べる変化がないか考えるところが、Twitter広告の成果を上げる上では非常に重要です。
Twitterは知るきっかけを作る役割
MZ:「Launch something new」で実際に上手くいった事例を紹介してください。
竹下:とあるデジタルコンテンツサービスを運営している企業様では、利用者獲得キャンペーンのローンチ時にTwitter広告を活用いただきました。その際にわかったのは、Twitterは獲得を目的としたキャンペーンでも、認知や興味・関心層の上位ファネルに効くということです。
デジタル広告を配信していると、ラストクリック偏重で顕在層向け施策を中心に展開しすぎた結果、効果が頭打ちになるというケースをよく耳にします。しかし同社ではTwitter広告を活用したことで上位ファネルの潜在層にいち早く情報を届け、全コンバージョンのうち約半分がパス1(最初にインプレッションした広告)がTwitterとなりました。
そのため、上位ファネルのアプローチに課題を感じている方は、ぜひTwitterの膨大なリーチと到達速度を活かしたキャンペーンをぜひ行ってほしいと思います。
世の中の出来事とコネクトせよ
MZ:Twitter広告を最大限活用するための2つ目のポイントについても教えてください。
竹下:2つ目のポイントは「Connect with what’s happening」です。Twitterは世の中で起きている出来事と人々をつなげる場所として機能してきました。そのため広告主からのコミュニケーションも世の中の出来事につなげていくことが重要になります。
実際に、ブランドが現在起きていることとTwitterでつながったキャンペーンを調査したところ、メッセージ想起率は18%、ブランド認知度は8%、ブランドの好感度は7%、購入意欲は3%と多くの項目で上昇が見られました。
ここでわかりやすい事例として、サントリー様が行った#令和最初の乾杯というキャンペーンを紹介します。2019年5月1日の改元という大きなモーメントを捉え、Twitterのファーストビューを活用してTwitterを同社ザ・プレミアム・モルツの広告でジャック。
その結果、非常に多くのツイートインプレッションや動画視聴回数を記録しただけでなく、キャンペーンに関連する会話量が通常キャンペーンの3倍となりました。きちんと世の中の出来事とコネクトしながら、最大リーチを獲得したことで、大きな成果を生み出すことができたのです。
MZ:ちなみに、令和の改元はめったにないモーメントだと思いますが、モーメントにコネクトする際のポイントはありますか。
竹下:年間で大きなモーメントはたくさんあります。これからだと2月はバレンタインデー、3月は新生活が代表的です。また、日々のマイクロモーメントを捉えてキャンペーンを企画するのもいいと思います。たとえばサラリーマンが毎朝「お昼ご飯どうしよう?」と考えている瞬間、主婦の方が週に2~3回買い物をするならそのタイミングに新商品の告知ができたらいいですよね。そのように小さなモーメントを活用するのも1つの手です。
広告が届く・伝わる・受け入れられるのがTwitter
MZ:では、最後に今回の調査を通じてわかったことをまとめていただけますか。
竹下:ポイントは3つです。1つ目は広告を受け入れてもらうための努力が広告主や我々プラットフォームに求められているということ。Twitterでは比較的広告が受容される環境が整っていますが、今後も改善して整えていきつつ、広告主様と利用者がポジティブな気持ちになる広告を届けたいです。
2つ目は、広告を記憶してもらうことが非常に重要だということ。それを広くいち早く行えるのがTwitterの強みとなっています。
3つ目は、今起きていることとつながるということ。そうすることで、ブランドと人々の距離が縮まります。これもTwitter上にあるモーメントを捉えればすぐにトライできます。
Twitterは広告が届きやすく、伝わりやすく、受け入れられやすいプラットフォームです。ぜひ、この記事をヒントに、ビジネス成果につながるTwitter広告の活用を進めていただけたら幸いです。