外部のサイトでのユーザー行動も捉え、顧客理解を深化
MZ:「AIXON」および「AIQUA」導入のプロジェクトの流れを教えてください。
小林:ちょうど2年前、2019年の2月ごろからプロジェクトを開始して、最初に指定いただいた「出産予定日登録」や「お母さんの誕生日登録」といったカスタマイズ機能を実装したのが4~5月あたりでした。データを蓄積しながら、足りない要件を実装していき、本格的な運用を開始したのが2019年末です。その時点で700セグメント、広告配信の接続先で1,500程度になり、以降は少しずつ改善しながら拡張しています。
MZ:具体的に、2つのソリューションがどう活用されているか、うかがえますか?
小林:データサイエンスプラットフォームの「AIXON」は、名寄せデータから作成したセグメントをGDNやYDN、Facebook広告など各種の広告プラットフォームと連携し、広告のパーソナライズに活用しています。一方カスタマーエンゲージメントプラットフォームの「AIQUA」では、記事コンテンツやポップアップ通知など、Webとアプリ接客のパーソナライズを実践しているという形ですね。
MZ:記事コンテンツというのは、たとえば「たまごクラブ」のサイトを見ているユーザーに、そのセグメントの人が関心を持ちそうなベネッセ内の別の記事をレコメンドする……といった形ですか?
小林:そうですね。別途、外部のメディアでのユーザー行動も細かく把握できるので、各セグメントの方がベネッセさん内ではどんな記事やワードに注目し、外部サイトでは何を閲覧しているのかを掛け合わせて分析し、施策に反映しています。
広告配信のCPAが最大6分の1まで改善
MZ:本格運用をスタートして約1年となりますが、広告配信などにおいて現時点での成功例や成果をうかがえますか?
上野:施策のひとつで、「たまひよの写真スタジオ事業」の広告配信のCPAが大きく改善しています。たまひよで運営している写真スタジオから、妊娠中期・後期の方にはマタニティフォト、妊娠後期~新生児の時期の方にはお宮参り、生後3~6ヵ月でハーフバースデー、7~12ヵ月で1歳バースデーのキャンペーンと切り分けて広告配信をしました。結果、Facebook/Instagram広告のCPAが、通常の妊娠中・0歳向けのオーディエンスターゲティングと比べて2分の1程度まで下がりました。最も効果があったときで、6分の1と手応えのある成果がありました。
上野:別の事業では、同様にお子さんの月齢や年齢と、AIによる閲覧記事文言の類推で「教育」や「記念日」などを掛け合わせたセグメントを作成し、それに合わせたクリエイティブを配信しました。こちらは3分の1程度にCPAが改善しています。
MZ:それは目に見える改善ですね。クリエイティブの改善は、具体的にどのようにされているのですか?
上野:AIXONでセグメントごとに、ベネッセ内の膨大な記事の何を読んでいるかを分析・可視化できるので、そこから媒体の担当者を交えてユーザーの関心や嗜好の変化を読み取っています。それを元に、響きそうな文言を広告に盛り込んでいます。この分析結果は、記事の企画にも反映しています。