コロナ禍で加速した顧客心理の移り変わりを把握
MZ:Appierのツールを使う上で、今はどのようなプロセスを踏んでいるのでしょうか?
上野:媒体を運営するメンバーからの要望に応じて、我々データ運用のメンバーがセグメントを作成し、AIXONで連携している広告プラットフォームで運用したり、AIQUAでのキャンペーンを作成・実践したりしています。日々、媒体のメンバーと実績を確認しながらPDCAを回しています。
MZ:媒体が多岐にわたるので、分析・活用しやすい形でデータを蓄積していくにも、部署間での相談や調整が必要ですよね。
上野:その通りですね。部署ごとに違う形でデータをもっていたりすることに加えて、やりたいこともデータに向き合う姿勢もやはり違います。データを利活用する視点にどのくらい重きをもってもらいたいか、あるいはユーザー属性を把握する粒度をどのくらい細かくしてもらいたいか、そういった部分で足並みをそろえるのに苦労しました。たとえば「主婦」といってもひとくくりにはできないので、セグメントの類推も難しかったです。
MZ:なるほど。そうした立ち上がりの難しさを超えて、現時点での手応えは?
上野:まだ試行錯誤していますし、Appierさんとも現在進行形でディスカッションや提案をいただいていますが、顧客理解が深まった手応えはあります。本格運用を始めてすぐにコロナ禍に突入したので、生活者の興味関心の幅が広がり、また移り変わるスピードもぐっと加速しました。その変化をリアルタイムでつかめるのは、顧客への貢献という点で力になっていると思います。
他の事業とも連携した全社プラットフォームを見据えて
MZ:では、お二人からそれぞれ今後の展望をお聞かせください。
上野:まずは、Kids & Family事業本部でのタイミングキャッチマーケティングを十分に運用できるように育てていきます。直近では、各セグメントの興味関心を私のチームで読み解くのではなく、AIXONのAIインサイト機能で自動分析する実験を計画中です。他にもロイヤルティのランキングをAIで類推できるそうなので、その機能にも期待しています。
中長期的には、通信教育や介護など他の事業本部にもデータ利活用の知見を共有して、顧客と生涯にわたって接点を持てるプラットフォームの構築を目指したいです。また、広告やWeb接客のパーソナライズにとどまらず、たとえばIoTデバイスやスマートスピーカーなどにも範囲を広げて、5G時代を見据えた顧客体験の向上に挑戦したいですね。そうした新しい動きにも、Appierさんから先進的な技術や活用の提案をいただければと思います。
小林:我々としてもぜひご協力したいと思っています。ベネッセさんの最先端の取り組みに並走することで、機能改善をはじめとして我々の製品全体の進化にもつながっています。
Appierは、お客様の声を製品に反映すると同時に、グローバルでプロダクトをアップデートしています。今後も幅広い企業のマーケティングをお手伝いし、より良い成果を出していただきたいと考えています。パーソナライズされたアプローチは、事業規模を問わず多くの企業で命題になっています。AIのテクノロジーを駆使して、その解決に取り組んでいきます。