抵抗感は「小さな成功」の積み重ねで払拭
最初に実施したのはメール施策だった。だが、スヴェンソンでは、メールの活用が進んでいないだけでなく、「メールはお客様にとって煩わしいものだ」という先入観が広がっていたという。「半分、私も思っていました」と圷氏は語る。
ところが、Marketo Engageを活用したメール施策により、こうした社内のメールへのバイアスが少しずつ取り除かれていくことになる。
「まずは、キャンペーン案内のDM送付後に未反応の方への後追いのメール施策を行いました。メールに『キャンペーン終了まで残りわずかです』と記載して、来店予約を促す非常にシンプルな施策です。郵送のDMに加えてこの経路を開拓できると、既存施策の上積みになります。それが契約数の増加という結果にしっかり結びつきました。さらに、思いのほか配信停止も少なく、メール施策に兆しが見えました」(圷氏)
来店率の向上や、来店前アクションの可視化を実現
デジタル施策への可能性を感じはじめた圷氏は、さらにデジタル施策を2つ実施した。
1つは、既存のアナログ施策のすきまに差し込む施策だ。スヴェンソンでは、これまで資料請求をした顧客に対して1週間後と4週間後に、新規の相談を受け付けるコールセンターであるサポートセンターから手書きのDMを送付していた。このペースは崩さずに、その間である資料請求から2週間後のタイミングでメールを送信することにしたという。
DM後のメール施策がある程度成果を挙げていたため、この時には社内からの逆風はあまりなくなっていた。
差し込みメールの結果として、来店率が1.25倍に向上し、配信停止率は0.3%と低く抑えられた。これを通して圷氏は、「タイミングを合わせれば、お客様にとっては快適なコミュニケーションになると感じました」と語る。
もう1つ行ったデジタル施策は、見込み顧客の動きに合わせて郵送物(手紙)のタイミングを計るというもの。先に行った2つの施策の知見を生かし、「アナログ施策のタイミングを最適化できないか」と考えた。
スヴェンソンのWebサイトの閲覧履歴をトリガーに、来店を促す手紙を送付することで来店率向上を図ったが、これについては「半分失敗、半分成功」だと圷氏はいう。
この施策での来店者は良くて全体の4割だった。その代わりに、「手紙の送付→Webサイトを閲覧する」という顧客の流れが可視化されたという。
「今までは、お申し込みいただかない限りお客様のリアクションがわかりませんでした。手紙を送った後にWebを閲覧いただいているという、来店前のアクションが見えるようになりました。これはひとつの成果だと思います」(圷氏)