近年、企業のブランディングにおいて「ダイバーシティ」への責任が問われる場面が増えている。背景にはデジタル広告市場の拡大、多様化とグローバル化の進んだデジタル社会で育ったZ世代が消費者として増加していることなどがある。しかし、Facebookが先日発表した調査によると、消費者の54%が「企業が掲出するデジタル広告は自分のアイデンティティを代弁していない」と感じているという。本記事では、ダイバーシティの本当の意味を吟味しながら、デジタル広告市場が今後どう成長していけるかを考察する。
求められる、ダイバーシティへの対応
近年、「ダイバーシティ」という言葉が、企業の理念やミッションで頻繁に掲げられるようになった。しかし、実際にそれらを体現、遂行している企業はどれほどいるだろうか?
Adobeが2019年6月に発表した調査結果によると、米国の広告界でダイバーシティを体現しているブランドトップ5はナイキ、コカ・コーラ、Google、Apple、Doveとなっている。
特にナイキはヒジャブのスイムウェアなど、ムスリム女性アスリートのための特別ラインを発表し、広告のみならずプロダクトにおいてもダイバーシティへのコミットメントを示している。
しかし、それはかぎられた一部の企業のようだ。というのも、私たちが多くの時間を費やすオンライン上で表示される広告は、企業自体が謳っているほど多様ではないというデータが出ているからだ。
Facebookが先月発表した調査結果によると、71%の消費者が「企業はオンライン広告にダイバーシティを導入するのが当たり前」と考えている一方、54%は「オンライン広告は自分のアイデンティティを代弁していない」と感じているというのだ。
ダイバーシティはジェンダーだけではない
「ダイバーシティ」という言葉をビジネスのコンテクストから眺めた際、真っ先に想起されるのは、企業における「ジェンダー」の問題、男女平等な社会での活躍を推進する活動ではないだろうか。
具体的には、女性社員のエンパワーメントや職場でのハラスメント防止システムなどが挙げられる。
しかし、ダイバーシティという言葉が指すものは幅広く、企業が真に重きを置くべきは、ありとあらゆる多様性を受け入れていく「インクルージョン」である。インクルージョンとは、それぞれの違いを認めながらも包括的な関係を築いていく姿勢のことだ。
つまり、多様性というのは、ジェンダーのみならず、年齢や国籍、宗教、文化的背景、障害、社会・経済的背景、ボディサイズにまで及ぶ大きな考えを指す。企業のプロダクトや文化を代弁する広告には、企業の現状が自然と投影されることになる(参考)。
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佐藤 麦穂(サトウ ムギホ)
ニュージーランド・オークランド在住。現在、大学でマオリ文化の発展・社会学・都市計画について学ぶ傍らライター・翻訳家として活動中。テクノロジーと社会の関係に関心がある。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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