レプリゼンテーションの姿勢は株価をも左右?
レプリゼンテーションを追求することで、企業はより幅広い消費者たちとつながり、マーケットを拡大できることがすでにいくつかの調査でわかっている。
Heatが2019年末に行った調査では、米国で最も広告に費用を投下した企業トップ200のうち、50のブランドを抽出して分析したところ、ダイバーシティを考慮した企業の株価には上昇傾向が見られたという。
これは、プロダクト自体の収益増加だけでなく、ダイバーシティを企業内で実践していくことで、社内の生産性向上やマーケットへの新しいアプローチ方法の発案が起き、それが業績アップへとつながるサイクルが生まれたことを示唆している。

たとえば、前出のDoveは、2004年当時のマーケティングキャンペーン「Real Beauty」ですでにダイバーシティとインクルージョンをより体現した「レプリゼンテーション」を追求していく姿勢を表明。
2019年に実施した同ブランド史上最大のオンラインキャンペーン「Project #ShowUs」では、ストックフォト大手のGetty ImagesとGirlgazeと共同で、世界39カ国から多様な女性179人を起用した。
ブランド戦略コンサルティング会社Prophetが計測した、消費者が感じている自身とブランドとのつながりの度合いを示す指数「Prophet Brand Relevance Index(BRI)」でも、Doveは2017年以降パーソナルケア部門で一位の座を保ち続けている。
「企業の顔」である広告には、企業の価値観がそのまま反映される。実際に包括的なアプローチを実践している企業であれば、広告にもそうしたインクルーシブな価値観が自然とにじみ出てくるだろう。
今日あなたが目にした広告、あるいは自社が作った広告は、消費者を「リプリゼント(代弁)」できているだろうか?