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MarkeZine Day 2026 Spring

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なぜ欧米ブランドは「夜」を狙うのか?ナイトタイムエコノミーの現在地と日本の勝機

 都市の夜が、これまでになく“使われ始めている”。観光客が街を歩くピーク時間は日中から夕方・夜へ移り、気候変動の影響で「昼より夜のほうが過ごしやすい」時間が増えた。SNSでも夜景やライトアートの投稿は極端に反応が高く、夜の光そのものがコンテンツになっている。欧州では、夜の文化や産業をどう再設計するかをテーマにした政策が本格化し、夜の時間帯を「都市が創る価値」として扱う動きが進む。そこに企業がどう乗るか——この視点が、今世界のマーケティングで重要なテーマになりつつある。本稿では、海外で実施された最新事例を軸に、“夜を前提にしたマーケティング”の現在地と、日本での応用可能性を整理していく。

「気候変動」と「SNS」が後押し——夜が消費の主戦場へ

 夜が「選ばれる時間」になりつつある背景には、いくつかの構造的な変化がある。

 まず、気候変動による生活リズムの変化である。欧州では観測史上最高クラスの高温を記録し、日中の屋外活動が制限されるケースが増えた。これにより、外出・外食・イベント参加のピークが夕方から夜に移動しつつある

 次に、観光行動の夜型化だ。観光客の行動ピークは夕方以降に移っている傾向があり、夜は可処分時間が長く、昼間よりも“目的消費”になりやすい。夜景・イルミネーション・屋外ライトアートなど、夜のビジュアルはSNSと極めて相性がよく、ブランド露出の価値を押し上げている。

 さらに近年は、夜間経済そのものをどう位置づけるかが政策テーマになりつつある。EUはInterreg Europeの枠組みで「NITIES(Night-Time Economy Strategies:夜間経済戦略)」を正式に開始し、夜間の文化・消費・安全・規制を包括的に扱うプロジェクトが進行中である。夜を“問題”として抑制するのではなく、“価値”としてデザインする方向に舵が切られている点が重要だ。

 このような都市・政策・生活行動の変化を背景に、ブランド各社が夜の時間を“新しい市場”として捉え、戦略の一部として活用し始めている。

 以下に紹介する三つの事例は、いずれも2025年に実際に実施された最新施策であり、単なるイベント協賛ではなく、夜という時間帯の特性を前提に設計されている点が共通している。

Nike「After Dark Tour」——夜のランニングを“エンタメ”に変える文脈設計

画像を説明するテキストなくても可
出典:Nike「After Dark Tour」

 Nikeによる女性向けランニングシリーズ「After Dark Tour」は、夜を舞台にした体験づくりの成功例である。

 イベントはシドニー、ソウル、上海、ムンバイ、ロサンゼルスほか複数都市で夜間に行われ、街路はライト演出で照らされ、音楽・映像と融合した“夜のランニングステージ”をつくり出す。

 Nikeが行ったのは、夜の安全をブランド単体で担保することではない。重視したのは、参加者が夜でも行動しやすくなる“状況と文脈”を設計することである。複数人で走る形式、視認性を高める照明、事前のアプリ案内、ルート共有など、夜の行動ハードルを下げる細かい工夫が随所にある。

 さらに特徴的なのは、リアルの熱量をデジタルに引き継ぐ点である。走行データはNike Run Clubアプリに蓄積され、参加者同士がその記録を共有し、イベント後もコミュニティが自然に維持される。つまり“夜間体験 × デジタルコミュニティ”の二層構造を作っている。

 日本では、夜の商店街イベントのスタンプラリー化、夜のアート巡り×アプリ連動、夜限定クーポン配布など、多くの応用可能性がある。“夜に行動を起こす理由”を作り、その後をデジタルで支える設計は、どの地域・業種にも展開できる考え方である。

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Bega Cheese「Night Cheese」——“夜の食行動”という新市場の開拓

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この記事の著者

岡 徳之(オカ ノリユキ)

編集者・ライター。東京、シンガポール、オランダの3拠点で編集プロダクション「Livit」を運営。各国のライター、カメラマンと連携し、海外のビジネス・テクノロジー・マーケティング情報を日本の読者に届ける。企業のオウンドメディアの企画・運営にも携わる。

●ウェブサイト「Livit」

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/01/30 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50194

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