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イベントレポート

Cookieレス時代のマーケティングを支える、アドビの製品戦略

 アドビは、4月27日(米国時間)に「Adobe Summit 2021」を開幕。基調講演をはじめ、400以上のセッション、ライブトークなどがオンラインで行われた。本記事では、サミット前に実施された「クッキーレス時代のマーケティングに関するアドビの考え方」に関するグループ取材の内容と今回発表された新製品および新機能についてレポートする。

「Adobe Summit 2021」オンラインで開催

 米国時間の4月27~29日にかけてオンラインで開催された「Adobe Summit 2021」。今年は、Cookieレスに対応するために設計されたファーストパーティーデータ指向型のCDP「Adobe Real-time Customer Data Platform(以下、Real-time CDP)」の発表に注目が集まった。

 サミット前日に実施されたグループ取材にて、アドビ デジタルエクスペリエンス担当 プロダクトマネジメント ディレクターのAsa Whillock氏は、「新しいデータ活用の流れの中で、顧客のファーストパーティーデータを企業の中心に置くべきである」と強調し、それを支援するアドビのクッキーレス戦略について説明した。

アドビ デジタルエクスペリエンス担当 プロダクトマネジメント ディレクター Asa Whillock氏

アドビ デジタルエクスペリエンス担当 プロダクトマネジメント ディレクター Asa Whillock氏

Cookieレス時代のマーケティングを支えるアドビの新製品

 適切なレコメンド、ターゲティング広告の効率化、顧客体験のパーソナライズなど、さまざまなマーケティングの施策がサードパーティーのCookieによって行われてきた。

 そんな中強まっているサードパーティーのCookie廃止の流れ。Econsultancyの調査によると、Cookieレスが自社や自社の顧客にどのような影響を与えるかを理解しているマーケティング担当者は36%にとどまっており、今後の道筋を立てられていない現状がうかがえる。これに対しWhillock氏は次のように話す。

 「状況は変わっていますが、未知の顧客または見込み顧客をロイヤルカスタマーに変えていくという、マーケターがやらなければならないことは変わっていません」(Whillock氏)

 今回発表されたReal-time CDPは、従来のAdobe CDPがアップデートされたもの。自社サイトでの行動データ、メールや電話番号などを含むファーストパーティーデータ、アプリ上のデータ、外部メディアから提供されるメディアデータなど、さまざまな種類のファーストパーティーデータがここに集約され、企業のデータ活用のハブとして機能する。

 アドビがReal-time CDPに合わせて活用を提案するのは、「Customer Journey Analytics」と「Adobe Target」の2つの機能だ。

1.カスタマージャーニーの分析をする「Customer Journey Analytics」

オンラインとオフラインを横断して顧客データをリアルタイムで集約・分析し、カスタマージャーニー全体を視覚化。より深い理解からマーケティング戦略に役立てることができる。

2.顧客体験のパーソナライズを実現する「Adobe Target」

Real-Time CDPで構築されたプロファイルをもとに、機械学習を用いて見込み顧客をリアルタイムにスコアリングし、最適な顧客体験を自動で提供する。

 Cookieレスにともない、未知の訪問者に対しては特に適切なタイミングで適切なオファーを出すことが難しくなってくる。リアルタイムに顧客が求めているものを理解し、それを顧客体験に反映させる――これを可能にするのが、上の2つの機能だ。

 なお、カスタマージャーニーの管理から適切な顧客体験の提供までの一連の流れで、アドビは「Cost Per Authentication(許諾獲得単価)」という新しい指標を提唱している。ファーストパーティーデータを活かしながら、いかに多くの顧客から許諾を得られるかが重要になるということだ。

 Real-time CDPに搭載された2つの新機能も紹介された。1つ目は「セグメントマッチ」という機能。これにより企業は、他社のファーストパーティーデータを用いて、自社のファーストパーティーデータを拡充することができる。たとえば、アパレル企業がジュエリーブランドと提携すると、両社共通の顧客が許可した場合にのみ、“要配慮”に該当しない顧客データを参照することが可能になる。

 2つ目の「類似(look-alike)セグメント」は、既知の顧客と似た属性を持つ顧客を特定し、その顧客グループに追加することができる機能。特定の既存顧客をサンプルとして指定すると、データベースの中から同様の特徴をもつ顧客で構成される類似セグメントを構築することができる。

プライバシーを尊重した顧客体験が収益最大化につながる

 生活者の中でデータ価値への認識は高まっており、世界でもさまざまな個人情報保護の規制が出てきている。Cookieレスに対応する中で、データの扱いに対するアドビへの期待も変わってきているとWhillock氏。最後に、信頼に基づくプライバシーを尊重した顧客体験を実現するために、アドビが重視している原則が提示された。

 「まず、顧客のプライバシーの尊重と保護がカギになります。これは、ブランド企業にとっても重要なことです。次に、透明性が高く顧客の管理下に置かれた責任のあるデータ運用。ここから企業への信頼とエンゲージメントが生まれます。そして、顧客中心主義でのプライバシーを尊重した顧客体験こそが、最終的に収益の最大化につながるのです」(Whillock氏)

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この記事の著者

松崎 美紗子(編集部)(マツザキ ミサコ)

1995年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、新卒で翔泳社に入社。新入社員として、日々奮闘中です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/05/11 09:00 https://markezine.jp/article/detail/36218

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