ガートナー ジャパン(以下、ガートナー)は、2021年の日本のIT支出総額が、2020年から2.6%増の27兆9,730億円に達するという見通しを発表した。業種別では、成長率が最も高いと見込まれているのは教育(6.8%)であり、政府官公庁/地方自治体(6.1%)が続いた。
2020年のIT支出は、高い成長率を示した2019年からの反動に加えてコロナ禍の影響により、2019年に比べて2.7%減少した。一部の業種では業績回復の兆しも見られているが、流行の長期化を背景に、多くの企業が当面は手元資金の確保を優先するため、IT投資の回復が本格化するのは2021年秋以降となると同社は予測した。
そのため2021年のIT支出は前年を上回ると予測されるものの、2020年の減少分を取り戻すまでには至らず、支出規模が2019年の水準に戻るのは2022年以降になる見通しだ。
産業によって業績の明暗が分かれており、その影響はIT支出にも表れている。2020年に特に深刻な影響を受けた業種は運輸、小売り、製造/天然資源だ。同年の成長率はそれぞれ―12.0%、―11.3%、―9.0%であった。これらの業種は2021年の成長率も―0.4%、1.5%、1.6%と、市場全体を下回ると予測されている。
一方で、2020年の成長率が最も高かった教育(6.8%)、政府官公庁/地方自治体(4.3%)は、2021年もそれぞれ6.8%、6.1%と高い成長が見込まれている。続いて電力/ガス/水道(5.0%)、保険(3.4%)、銀行/証券(3.3%)だ。
業種間での二極化が鮮明になりつつある中、ニュー・ノーマルに適合した新たな製品やサービス、オペレーションの実現に向けたIT投資を行う業種とそうでない業種の差は、今後さらに広がり定着すると指摘。業種間だけでなく、同一産業内でも二極化傾向が生じており、今後の感染状況と経済活動の再開時期によっては地域間での格差が拡大する可能性もあると指摘した。
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