テレビCMの成否が判断できる仕組みを作る
MarkeZine編集部(以下、MZ):DMMグループがテレビCMの効果の可視化に取り組んだ背景を教えてください。
武井:DMMグループでは現在58の事業を運営しており、1年を通して何かしらの事業がテレビCMを出稿しています。しかし、テレビCMがどの程度購買や事業収益に貢献しているかという効果検証がきちんとできていないことに課題を感じていました。当然効果がわからないとテレビCMをやる理由、やらない理由ともに証明ができず、実施の意思決定が曖昧になってしまいます。
そのため、この状況を打破しテレビCMもネット広告と同様に運用できる仕組みを作り上げたいと考えました。
私と千葉が所属する各事業部門を支援する横断組織のマーケティング部門では、2020年夏ごろにテレビCMの効果可視化に関するプロジェクトを立ち上げ、いくつかの事業で検証を始めました。
細山田:会社全体でプロジェクトを推進する中で、ある程度形になった仕組みを検証したのが、DMMブックスが2021年のゴールデンウィークに行ったキャンペーンです。ゴールデンウィークは生活者の可処分時間が高まり、集客しやすいタイミングだったので、テレビCM出稿による差分がはっきりと出やすいことから、実施に至りました。
データ統合で、CM出稿後のLTVを視覚化
MZ:では、どのようにしてプロジェクトを推進してきたのか教えてください。
武井:目指したのは、テレビCMのデータと出稿によって得られた成果のデータがきちんと取得でき、それらのデータを集計・分析できる状態です。そのために私たちは、まずデータの利活用でよく使われるPPDACサイクル(※)にのっとり、スケジュールとマイルストーンを決めました。
※PPDACサイクルとは
P(problem、問題)、P(plan、計画)、D(data、データ収集)、A(analysis、分析)、C(conclusion、結論)の順でデータ利活用を進めていくフレームワーク。
千葉:次に進めたのがテレビCMに関するデータの取得、DMMが持つデータとの統合です。テレビCMのデータに関しては、運用型テレビCMサービス「ノバセル」を展開するラクスル様に、これまで配信したテレビCMの日時や地域、番組名などのデータを提供いただきました。
千葉:そして、テレビCMのデータを弊社のデータと連携することにより、内製したダッシュボード上でテレビCM出稿後のユーザーの行動データや購買データ、テレビCMによって獲得したユーザーのLTVを閲覧できるようにしました。
外部データとの連携は例がなく、データの表記統一などを目視で行う必要があり、非常に難航しましたがなんとか実現することができました。