テレビCM検証で実現した、3つのこととは?
MZ:今回の分析の仕組みによってどのようなことが実現できましたか。
武井:大きく3つのことが実現できました。1つ目はテレビCMをネット広告と同じような指標と粒度で測定・分析できるようになったことです。今回の取り組みでは、TVCMの視聴数(GRP)とWebサイトへの流入数、発生したコンバージョン(CV)、売上(ARPU/ROAS/ROI/LTV)を新規/既存顧客、クリエイティブ別、テレビ番組・枠別の粒度で見える化することに成功しました。

直接的効果を見える化できた上に、これまで取得していた定量データや定性データと掛け合わせることで、テレビCMの良し悪しを精度高く評価できるようになりました。ネット広告と同じ指標で見られるため、比較も行えます。
さらに、出稿のリターンが見えにくいと言われがちなテレビCMでも、勝ちパターンを見つけて短期回収で出稿できるようになるのでは、と考えています。
2つ目は、テレビCMの結果をリアルタイムに確認し、運用できるようになったことです。データによってはテレビCM放映中にリアルタイムで数値を確認することができます。そのため、効果の良し悪しを素早く判断し、クリエイティブの差し替えなどの改善がいち早く行えるようになりました。
そして、3つ目は誰でも効果を閲覧できる環境を構築できたことです。ダッシュボードを内製で構築したことで、これまで様々なデータを都度取り寄せて手動で分析していたころよりも、分析時間の短縮やクオリティの標準化が実現しました。

DMMブックスと相性の良い番組・枠が見えてきた
MZ:細山田さんは、事業部門の目線から見て今回の取り組みをどのように評価していますか。
細山田:非常に良かったと捉えています。過去の出稿を踏まえ、継続的に改善しながらテレビCMを出稿したほうが、効果も大きくなるはずです。今回の取り組みでは、そこに持っていける座組ができたと思います。
これまでは、テレビCMは非常に大きな投資であるにもかかわらず、どれだけリターンがあったのかわかりにくく、決裁を通す際も「効果は本当に見合っているのか」と聞かれる可能性がありました。しかし、今後は根拠を持って出稿できると思います。
MZ:実際にゴールデンウィークの検証では、どのような結果が見られたのでしょうか。
千葉:先ほど私が説明した指標をもとに分析していった結果、DMMブックスと相性の良いテレビ番組や枠などが見えてきました。さらに、複数パターンのクリエイティブを15秒と30秒で作り、10以上のクリエイティブで比較を行いました。すると、15秒のほうがCPAやCPCが安いものの、CVRは30秒のほうが高いなど、クリエイティブごとの特徴が見えてきました。
今回はきちんと計測・分析できるかの検証が目的だったので、配信期間中は著しく効果が低いクリエイティブ以外は出稿停止や差し替えを行いませんでした。しかし、今後はもっと効果を出すための運用ができると感じています。