データ活用は「目的・KPIの明確化」から
また、提案を進める中で顧客からの反応が滞ってしまった場合にもCDPは有効だと小木曽氏は語る。CDPで統合したデータから顧客の状態に合わせて最適なコンテンツを紹介し、再検討を促すことができるからだという。さらに、営業担当者への通知機能によって対応の漏れを防ぎ、顧客ごとのパイプラインを可視化することでマーケティングや営業活動を見直しやすくする効果にも触れた。
「顧客データの活用」と一口に言っても、収集できる情報の種類やボリュームは企業によって異なる。そこで小木曽氏は、データ活用プロジェクトを進めるにあたって重要な6つのステップを解説する。
第1ステップは「目的を定める」。顧客データの利用や統合自体を目的にするのではなく、企業として目指す姿や、顧客に提供したい体験を念頭に目的を設定すべきだと述べる。たとえば小売業の場合は「LTV向上」を目的とし、実店舗とECでシームレスな体験を提供するために顧客データを統合・活用するという順番だ。
第2ステップである「KPIの明確化」について、小木曽氏は「売上の観点のみでなく、業務効率化の観点でも評価できるよう設定しておくこと」がポイントであると指摘。これにより、施策やツールの評価を適切に行えると話す。
第3のステップが「経営者の理解と社内調整」だ。「CDPを使ったデータの活用は、1部署のみで完結しない」と語る小木曽氏。経営企画部門が主導してDX推進部を新設し、そこが中心になって取り組みを進める企業が多いという。
社内調整のポイントは、各事業部に対し「なぜこのプロジェクトを進める必要があるのか」を明確に説明することだと小木曽氏は述べる。これにより、異なるKPIを追うメンバー全員が共通のゴールをイメージでき、円滑に進みやすくなるとした。
施策の実行フェーズでCDPによる細かな設定が効く
いよいよ第4ステップ「施策の実行」へと移る。具体的には「データを集める」「データがどういうものかを把握する」「データを作る(統合する)」「コミュニケーションを行う」「効果測定から施策のサイクルを回す」という順番で進めることになるという。
「この第4ステップにおいて、CDPで統合したデータを利用すると、目標・対象・タイミングなどを顧客単位で細かく設定できるようになります」(小木曽氏)
施策の実行後は、BIなどを用いて第5ステップの「効果測定」に移る。たとえば小売企業の場合、統合データを基にEC向けの施策を実施した後は店舗への影響をチェックすることがポイントだと述べ、「第4ステップと第5ステップを繰り返すことで、施策の精度や顧客理解を深めることができる」と続けた。
最終ステップは「社内リテラシー」だ。より深く、細かく、スピード感を持ってPDCAを回すためには人材の教育が必須だと語る。
では、CDPを導入するベストな時期はいつなのか。小木曽氏は、目安となるタイミングを3つ挙げた。