ブランド広告の効果を高める「クリエイティブの三原則」
「好きと欲しいをつくる はじめよう、Instagramでブランド成長と獲得」のセッションでは、Instagramを活用したブランディングのメリットと効果的なクリエイティブを作るコツが共有された。
はじめに自身もブランドマーケティング、獲得重視マーケティングの両方を経験してきた同社の宇津井氏が、マーケターのよくある疑問に答える形で、ブランド広告の重要性を説明した。
宇津井氏が最初に話題としたのは「なぜブランド広告が必要なのか」。端的に言えば、安定的な成長のために欠かせない。獲得重視の広告のみを配信し続けた場合、潜在層を刈り取ってしまうと効果が悪化し始め、やがて獲得単価が下がらなくしまうことが少なくない。ニールセンの調査によると、コロナ禍でビジネスが打撃を受けた中でも、継続的にブランド報告を続けた企業は、そうでない企業に比べて回復スピードが2倍以上早かった。ブランド広告は、ビジネスが窮地に追い込まれた時の底力にもなるのだ。
しかしながら、ブランド広告は効果が可視化しにくいという悩みが聞かれる。これに対して宇津井氏は、「可視化のための手法が開発され、成功事例も出てきている」と事例を紹介。
たとえばNTTソルマーレの電子コミック・電子書籍ストア「コミックシーモア」では、獲得広告に15%分のブランド広告予算を追加したキャンペーンと、獲得広告単独で実施したキャンペーンを比較した。すると前者では、会員登録が2.4倍増加、獲得単価が約半分になったことがわかった。このように、ブランド広告に適切に予算を投下すると、獲得広告の土台を押し上げることができる。
こうした傾向は幅広い業界に見られる。Facebook社が172のブランドを2年間にわたって分析したところ、ブランド施策を長期的にすればするほど、どの業界でもROASが上がっていくことが証明されたという。
では、Instagram上でブランド広告を展開するメリットはどこにあるのか。まずは前述の通り、ビジネスが自然に受け入れられる基盤があり、潜在層を掘り起こすのを得意としている。また、ビジュアル中心のクリエイティブで多面的なストーリーが展開できる点も強みだ。そして、Instagramでの広告出稿では目的に合わせてファネルを選べるが、獲得キャンペーンとリーチ目的配信は重複率が10%以下に抑えることが可能になっている。
動画クリエイティブのコツ
ブランド広告にチャレンジするのであれば、少しでも高い成果を挙げたい。そう考えた時力を入れるべきなのが、Instagramに最適化されたクリエイティブを用意することだ。クリエイティブがデジタル広告の成否を左右することは、すでに様々な調査で示されている。
Instagramにおいても、テレビCMの素材をそのまま配信した場合と最適化されたクリエイティブを配信した場合を比べると、ファネルのすべての段階において、最適化されたクリエイティブのほうが高いパフォーマンスを発揮した。
同社の田内氏は、クリエイティブ制作の際には「利用者の視聴態度を踏まえることが重要」と解説。少なくない利用者が、他のことをしながら操作したり、他のアプリと切り替えながら視聴したりしている状況において、ブランドのメッセージを的確に伝えるための3原則を紹介した。
原則(1)冒頭2.5秒勝負 起承転結なし
冒頭のみ視聴された場合でもメッセージが伝わるよう設計する。その後の尺はメッセージを伝えきることに使う。
原則(2)縦型のスクリーンをフル活用
モバイルデバイスの縦型スクリーンをフルに使って表現する。スマートフォンのスクリーンはそれほど大きなものではない一方、顔からデバイスまでの距離が近いため、全画面を使うことでインパクトを創出できる。
原則(3)音がなくても伝わる設計
一部の利用者は音声オフで視聴していることを常に念頭に置く。字幕のようなかたちでメッセージを出すのがお勧め。
「まずはこの3つを満たして、最適化されたクリエイティブ作っていただければと思います」と、田内氏。本セッションではさらなるステップとして、より広く・効率的にメッセージを伝える方法を紹介している。その詳細はアーカイブ動画(20:49~:視聴期間は2021年12月31日まで)でご確認いただきたい。
以上、House of Instagram 2021の様子を駆け足でレポートしたが、ここでは取り上げられなかった内容が数多くある。各セッションの動画はアーカイブ配信されているので、ぜひご視聴いただきたい。
視聴期間は2021年12月31日まで!House of Instagram 2021のアーカイブ配信はこちらから(視聴登録不要)