ソーシャルで話題化し、伊勢丹新宿店のポップアップにも出店が決定
MZ:HAUTを立ち上げる上では、どのような点に注意されたのでしょうか。
加藤:ソーシャルコマースの文脈の中でブランドを拡大していきたいと考えていましたので、Instagram上で話題になるようなインパクトのあるデザインやパッケージをつくっていきました。また、メンズのスキンケア商品は増えているので、他商品との差別化としてインテリアとしても成立することやアートブックのようなクリエイティブ性は意識していましたね。
西:そのようなコンセプト設計、ブランドの世界観が伝わったのか、狙い通りアパレル関係やファッション感度の高い方、クリエイティブ系のデザイナーさんやカメラマンさんから多くの問い合わせや反応をいただきました。
ソーシャルで上手く伝わっていることでオフライン出店の話も増えてきて、その流れでグッドデザインストアに置いていただいたり、伊勢丹新宿店さんのポップアップストアに出店させていただくことも決まっています。
MZ:ブランドを成長させる過程の中で、Commerce Containerをどのように使われたのか教えてください。
加藤:D2Cビジネスはやらないといけないことが本当に多いのですが、そんな中でCommerce Containerの支援スキームが役に立ちました。
たとえばメンズのスキンケア市場は既に競合も存在している領域なので、モール内で商品が検索上位に表示されるようSEO対策などもしなければなりません。そうした販売戦略を考える際に、市場の規模感や競合分析によって事前分析ができることで戦略が立てやすかったです。
西:モール全体のマーケット規模が分からなくて困るのは、実はよくある話なんです。各社の自社ECまで調査するのは範囲が広すぎるため限界もあるのですが、モールでは明確に意識して戦略策定する必要があります。
加藤:Instagramのアカウント運用もしていて、広告やInstagramショップへ誘導する機能を使っていたりするのですが、そういった設定など、ソーシャルコマースでやらなくてはいけないことはCommerce Containerでカバーできました。
正解をいち早く見つけて支援に活かす
MZ:ブランドを運営したからこそ発見できた気づきとして、どんなものがありましたか。
加藤:広告支援をしていただけでは見えなかった事業者側の感覚が身に付き、お客様のビジネスにより深く寄り添った支援ができるようになったと感じます。
たとえばHAUTを運営したことで、広告を使って1件購入するまでの単価はどれくらいが適正なのか、LTVはどれぐらいで設計すべきで、採算が取れる広告費のラインはいくらなのかなど、現在の相場感覚が身につきました。このことによって、目標設定の部分からお客様と一緒に考えることができるようになったりと、提案の幅が広がりました。
もう一つ、HAUTをトライ&エラーの場として使い、最適解を素早く見つけるという動きが取れるようになったことはとても大きいです。たとえば広告に関して、インフルエンサーの方を起用したPRをしてみたのですが、どのような方にお願いすると相性が良いのか、依頼の際にどんなことに注意すれば良いかナレッジが溜まりました。テクスチャーなども分かるように商品を紹介していただいたり、専門家のように商品の魅力をきちんと伝えてくれる人にお願いすると、商品がよく売れていくんです。逆に、フォロワー数が多くても文脈が合っていない場合は、やはり成果が出にくいことが確かめられました。
MZ:トレンドの移り変わりが激しい業界ですので、その時々の正解を確かめることができるのは、とても役に立ちますね。
加藤:はい。ほかにも、プラットフォーマーのアップデートに対して新しい機能やフォーマットを自社で開発した際、それをテストする環境としても活用しています。これまでそのような場は限定的だったのですが、自分たちのブランドで試せるようになったことで、機能改善や勝ちパターンの把握がスピーディーにできるようになりました。