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事業者目線の支援を実現するために!CCIがメンズスキンケアのD2C「HAUT」を開発・販売

 近年急速に増加しているD2Cビジネス。ShopifyなどのECプラットフォームの登場も盛り上がりを後押ししているが、ブランドを成長させていくためには、製造から集客、販売まで幅広い業務をこなさなければならない。これに対しCARTA COMMUNICATIONS(以下、CCI)は、EC領域を包括的に支援する「Commerce Container(コマースコンテナ)」を提供。さらに自らD2Cブランド「HAUT(オウ)」を運営することで、実践から得られた知見を顧客支援に活かしている。本記事では担当者にその様子をうかがった。

実践から学び、D2Cの支援体制を強化

MarkeZine編集部(以下、MZ):本日は御社が開発・販売しているメンズスキンケア「HAUT(オウ)」のブランドプロデューサーである加藤 潤一さん、HAUTの運営に携わりながら「Commerce Container(コマースコンテナ)」事業を担当する西 奈津紀さんにお話をうかがいます。まずはブランドについて教えてください。

加藤:HAUTは、男性の肌に合わせて開発されたオールインワン型のスキンケア商品です。タイポグラフィのデザインを特徴としていて、2021年度のグッドデザイン賞を受賞しました。

メンズスキンケア「HAUT(オウ)」のイメージ
メンズスキンケア「HAUT(オウ)」のイメージ

 実は今回のブランド運営は、当社が提供するEC領域の支援サービス「Commerce Container」でD2C領域の支援体制を強化していこうと、始まったものでした。実際に商品企画、製造、販売、広告、フルフィルメントのすべてを、自社で対応しています。

MZ:Commerce Containerについて、サービスの説明をお願いします。

加藤:一言で言うと、企業のEC販売戦略を支援するサービスです。日本3大モールから自社EC、ソーシャルコマースまで、ECで販売を行っていく上での戦略構築や市場調査、競合分析に始まり、場合によっては商品企画、モールの運用、SNS周辺のプロモーションや物流までをワンストップで支援します。

 EC領域は「広告集客」「店舗構築」「販促戦略策定」と部分最適になりやすいのですが、それらを個々に最適化してもなかなか売上は拡大しません。そこで包括的に支援できる体制を整えるべくパッケージ化し、提供しました。現在はこの体制を活用して、D2Cブランドの立ち上げや既存D2Cブランドの売上拡大の支援も始めています。

「Commerce Container」のイメージ
「Commerce Container」のイメージ

ソーシャルコマースと顧客体験の改善を同時に進める

MZ:自らブランドを立ち上げることで、どんなことを目指したのでしょうか?

加藤:自分たちに事業者としての経験がなければ、見えてこない課題があると思いました。具体的には、梱包や配送などフルフィルメントの細かい課題にも目を配れるようになること、またソーシャルメディアとECを組み合わせた「ソーシャルコマース」の新トレンドをいち早く把握してトライ&エラーすることを目指しました。

株式会社CARTA COMMUNICATIONS HAUTプロデューサー 加藤潤一氏
株式会社CARTA COMMUNICATIONS HAUTプロデューサー 加藤潤一氏

西:私はHAUTがブランドとして伸びてきたタイミングで、モール領域のコンサルタントとして参画しました。

 ソーシャルコマースは、シェアやバズを活かしてソーシャル上で商品を広めて売っていく方法で、D2Cには欠かせないアプローチです。ですが、ソーシャルでアテンションを高めることができても、良い顧客体験を提供できていなければ、伸び悩む時期がきてしまいます。商品ページの見せ方や配送時の体験を改善していく、モールへ出店し販路を拡大していくといった対応を同時に進めることがポイントになります。

 HAUTはまさにこのやり方で成長してきましたが、企業によって改善ポイントは違いますので、Commerce Containerでは「現状を改善しながらプラスアルファで何を行っていくのか」という視点で、柔軟に対応できる体制を構築しています。

ソーシャルで話題化し、伊勢丹新宿店のポップアップにも出店が決定

MZ:HAUTを立ち上げる上では、どのような点に注意されたのでしょうか。

加藤:ソーシャルコマースの文脈の中でブランドを拡大していきたいと考えていましたので、Instagram上で話題になるようなインパクトのあるデザインやパッケージをつくっていきました。また、メンズのスキンケア商品は増えているので、他商品との差別化としてインテリアとしても成立することやアートブックのようなクリエイティブ性は意識していましたね。

西:そのようなコンセプト設計、ブランドの世界観が伝わったのか、狙い通りアパレル関係やファッション感度の高い方、クリエイティブ系のデザイナーさんやカメラマンさんから多くの問い合わせや反応をいただきました。

 ソーシャルで上手く伝わっていることでオフライン出店の話も増えてきて、その流れでグッドデザインストアに置いていただいたり、伊勢丹新宿店さんのポップアップストアに出店させていただくことも決まっています。

株式会社CARTA COMMUNICATIONS Commerce Container事業担当者 西 奈津紀氏
株式会社CARTA COMMUNICATIONS Commerce Container事業担当者 西 奈津紀氏

MZ:ブランドを成長させる過程の中で、Commerce Containerをどのように使われたのか教えてください。

加藤:D2Cビジネスはやらないといけないことが本当に多いのですが、そんな中でCommerce Containerの支援スキームが役に立ちました。

 たとえばメンズのスキンケア市場は既に競合も存在している領域なので、モール内で商品が検索上位に表示されるようSEO対策などもしなければなりません。そうした販売戦略を考える際に、市場の規模感や競合分析によって事前分析ができることで戦略が立てやすかったです。

西:モール全体のマーケット規模が分からなくて困るのは、実はよくある話なんです。各社の自社ECまで調査するのは範囲が広すぎるため限界もあるのですが、モールでは明確に意識して戦略策定する必要があります。

加藤:Instagramのアカウント運用もしていて、広告やInstagramショップへ誘導する機能を使っていたりするのですが、そういった設定など、ソーシャルコマースでやらなくてはいけないことはCommerce Containerでカバーできました。

正解をいち早く見つけて支援に活かす

MZ:ブランドを運営したからこそ発見できた気づきとして、どんなものがありましたか。

加藤:広告支援をしていただけでは見えなかった事業者側の感覚が身に付き、お客様のビジネスにより深く寄り添った支援ができるようになったと感じます。

 たとえばHAUTを運営したことで、広告を使って1件購入するまでの単価はどれくらいが適正なのか、LTVはどれぐらいで設計すべきで、採算が取れる広告費のラインはいくらなのかなど、現在の相場感覚が身につきました。このことによって、目標設定の部分からお客様と一緒に考えることができるようになったりと、提案の幅が広がりました

 もう一つ、HAUTをトライ&エラーの場として使い、最適解を素早く見つけるという動きが取れるようになったことはとても大きいです。たとえば広告に関して、インフルエンサーの方を起用したPRをしてみたのですが、どのような方にお願いすると相性が良いのか、依頼の際にどんなことに注意すれば良いかナレッジが溜まりました。テクスチャーなども分かるように商品を紹介していただいたり、専門家のように商品の魅力をきちんと伝えてくれる人にお願いすると、商品がよく売れていくんです。逆に、フォロワー数が多くても文脈が合っていない場合は、やはり成果が出にくいことが確かめられました。

MZ:トレンドの移り変わりが激しい業界ですので、その時々の正解を確かめることができるのは、とても役に立ちますね。

加藤:はい。ほかにも、プラットフォーマーのアップデートに対して新しい機能やフォーマットを自社で開発した際、それをテストする環境としても活用しています。これまでそのような場は限定的だったのですが、自分たちのブランドで試せるようになったことで、機能改善や勝ちパターンの把握がスピーディーにできるようになりました。

ECサイトの見せ方や配送、すべてが顧客体験につながる

MZ:Commerce ContainerをD2Cブランドに活用してみて、ポイントだと感じた点はありますか。

西:店舗を運営していく中で、広告以外の部分の重要性を改めて実感しました

 リアルな店舗と違ってECは膨大な商品の中から選んでもらう必要があるので、買ってもらうための価値づくりや商品の見せ方、価格対策以外の基本的な部分でマイナスをつくらないことが大事になってきます。

 たとえば配送の部分。たとえ良い商品であっても、届いたときに箱がきれいではなかったり、梱包がきちんとされていなかったりすると、ガッカリさせてしまいます。でもメーカーさんが店舗に売り方を任せている場合、購入者に届ける経験が圧倒的に少なく、そこに対する知識が不足していることもあります。

 商品の見せ方改善としてできることとしては、できる限りサイズ感や匂いのあるものなら香りがどういったものかを載せる、FAQを用意するといったことです。そのすべてが顧客体験につながると思って取り組むべきだと気づかされました。

加藤:私も配送の大事さは痛感しています。HAUTも、Amazonでなくても最短翌日配送が可能な体験を提供しています。配送のDXが進んでいるので、ShopifyとWMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)の連携なども活用していくと、そのくらいのスピードでできるようになっていますよね。

 また顧客体験のインパクトを出したいと思って、商品の梱包時にブランドブックを入れるという取り組みもしていました。100ページほどのものなのでまさに“本”で、Instagramのストーリーズなどで紹介してくれる方もいらっしゃいました。男性からの評価はとても良かったものの、女性からはその分コストを下げて欲しいという要望もあったので、初版以降は入っていないのですが、こういった試行錯誤ができることも、役に立っています。

オンオフ統合でタッチポイントを増やしていきたい

MZ:HAUTの運営を通じて、これから先のD2Cビジネスの成長において、ポイントになると感じられた点、また事業成長のためにこれから「Commerce Container」を活用して強化していきたい点をお話しください。

加藤:先ほど説明したソーシャルの活用や配送などの“必ずやらなければいけない部分”を前提としてやりつつ、オフラインとの融合はこれから取り組んでいくべき課題です。やはりネットだけで認知を取るのが難しいケースもあると思っています。

 HAUTであれば、ポップアップをはじめとするリアル店舗への展開やプレスルームに置いてもらうことで、タッチポイントを増やして認知を上げていくことが必要だと思っています。

MZ:Commerce Containerのこれからについても、教えていただけますか。

西:Commerce Containerも同様に、オンオフ統合でサポートできる体制を整備しているところです。HAUTのオフラインへの進出も始まっているため、今後そのノウハウも少しずつ溜まっていくのではと考えています。

 ソーシャル周りにも引き続き力を入れていきたいと思っていて、たとえば今BtoCビジネスを成功されているインフルエンサーの方に、SNSアドバイザーのような形でコンサルに入ってもらえる環境を用意しようとしています。

 また先日当社は「Shopify Plusパートナー」に認定いただき、より高機能でハイエンドなクライアント向けのサービスを提供できるようになったことから、お役に立てる場面も増えるかと思います。HAUTのブランド拡大に取り組みながら、Commerce Containerでの支援の質をさらに高めていく。この2つのチャレンジを積極的に行っていきたいです。

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2021/12/08 10:00 https://markezine.jp/article/detail/37763