マーケティングの枠を超えプロダクト開発にも参加
MarkeZine編集部(以下、MZ):まずは、お2人のこれまでのご経歴と現職でのミッションをお聞かせください。
髙橋:新卒でセブン‐イレブン・ジャパンに入社し、店長やスーパーバイザーを務めたのちサイバーエージェントに転職しました。サイバーエージェントでは代理店事業などのマネジメントに13年ほど従事し、2019年にタップルへ移って今に至ります。
髙橋:現在はCMOという立場にいますが、社として掲げている「業界ナンバーワン」という目標に向けて、マーケティングだけでなくプロダクトの設計などにも必要に応じて携わっています。
米原:私は新卒で入社したマイナビでキャリアを重ねてきました。営業や商品企画を経て広告部門に配属され、オンラインとオフラインの両方を担当した後にコンテンツマーケティングの部署へ異動。再び商品企画へ戻り、3年前にマネージャーとして広告部門に戻ってきました。
米原:現在は「マイナビ転職」のサイトおよびアプリのユーザー増と利用促進をミッションに掲げ、求職者向けの広告制作領域で企画から管理までを担当しています。
男女比のバランスを考慮した広告配信
MZ:お2人がマーケティングを担当されているアプリについても紹介いただけますか。
米原:マイナビ転職は会員数が約700万人、掲載求人数が約1万5,000件(2021年12月時点)の総合転職情報サービスです。アプリをリリースしたのは6~7年前で、当初は検索機能を実装しただけのシンプルな仕様でした。求人情報を閲覧しようとするとWebサイトに飛んでしまっていたので、5年前に機能を拡充し、アプリ上で応募や企業とのやりとりができるように整備しました。
髙橋:「タップル」はアプリファーストの恋活・婚活マッチングサービスで、2014年に提供を開始しました。会員数は偶然にもマイナビ転職と同じ約700万人です。毎月約1万組のカップルが“幸せ退会”しています。
髙橋:マッチングアプリには、年収などの条件を指定して選ぶ「検索型」と、ランダムに選ぶ「フリック型」があります。タップルはオフラインでの自然な出会いに近づけるためフリック型を採用していますが、2021年の5月から「ウィッシュカード(2021年12月より『デートプラン』に名称変更)」という新機能を搭載し“コト軸”でも相手を探せるようにアップデートしました。たとえば、男性の「野球をやりたい」というウィッシュに対して、女性が「私もやりたい」という意思表示をすることでマッチングを促す仕組みです。
MZ:マッチングサービスのアプリマーケターだからこそ経験できることはありますか?
髙橋:男性と女性のマッチングを促すタップルでは、会員の男女バランスを考える必要があります。アプリの収益を支えているのは男性会員の会費ですが、だからと言って男性ばかりを集めても女性が少なければビジネスが成り立ちません。逆も然りなので、黄金比を探りながら広告を配信しています。
また、媒体によっては男性にセグメントしても30%ぐらいは女性に広告が配信されてしまうんです。男性向けに作り込んだクリエイティブを見た女性が不快感を抱くことのないよう、訴求方法にも気を配っています。