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“モバイルヒーロー”と考えるアプリマーケターのキャリア(PR)

大事なのは疑う姿勢 タップルとマイナビ転職のマーケターが語る、マッチングサービスの苦労と挑戦

 マーケティングの手法が多様化し、マーケターのキャリアプランは選択の幅が広がっている。本連載では、アプリマーケティングの第一線で活躍するマーケターを取材し、業務の醍醐味や事業成長のヒントを探る。第4回のゲストは、マイナビの米原氏とタップルの髙橋氏だ。マッチングサービスのアプリマーケターである両者が抱える共通の課題や、その解決に求められる資質について話を伺った。

マーケティングの枠を超えプロダクト開発にも参加

MarkeZine編集部(以下、MZ):まずは、お2人のこれまでのご経歴と現職でのミッションをお聞かせください。

髙橋:新卒でセブン‐イレブン・ジャパンに入社し、店長やスーパーバイザーを務めたのちサイバーエージェントに転職しました。サイバーエージェントでは代理店事業などのマネジメントに13年ほど従事し、2019年にタップルへ移って今に至ります。

タップル CMO 髙橋正俊氏
タップル CMO 髙橋正俊氏

髙橋:現在はCMOという立場にいますが、社として掲げている「業界ナンバーワン」という目標に向けて、マーケティングだけでなくプロダクトの設計などにも必要に応じて携わっています

米原:私は新卒で入社したマイナビでキャリアを重ねてきました。営業や商品企画を経て広告部門に配属され、オンラインとオフラインの両方を担当した後にコンテンツマーケティングの部署へ異動。再び商品企画へ戻り、3年前にマネージャーとして広告部門に戻ってきました。

マイナビ 転職情報事業本部 サイト運営・March統括本部 広告企画部 広告企画1課 米原宏明氏
マイナビ 転職情報事業本部 サイト運営・March統括本部 広告企画部 広告企画1課 米原宏明氏

米原:現在は「マイナビ転職」のサイトおよびアプリのユーザー増と利用促進をミッションに掲げ、求職者向けの広告制作領域で企画から管理までを担当しています。

男女比のバランスを考慮した広告配信

MZ:お2人がマーケティングを担当されているアプリについても紹介いただけますか。

米原:マイナビ転職は会員数が約700万人、掲載求人数が約1万5,000件(2021年12月時点)の総合転職情報サービスです。アプリをリリースしたのは6~7年前で、当初は検索機能を実装しただけのシンプルな仕様でした。求人情報を閲覧しようとするとWebサイトに飛んでしまっていたので、5年前に機能を拡充し、アプリ上で応募や企業とのやりとりができるように整備しました。

マイナビ転職
マイナビ転職

髙橋:タップル」はアプリファーストの恋活・婚活マッチングサービスで、2014年に提供を開始しました。会員数は偶然にもマイナビ転職と同じ約700万人です。毎月約1万組のカップルが“幸せ退会”しています。

タップル
タップル

髙橋:マッチングアプリには、年収などの条件を指定して選ぶ「検索型」と、ランダムに選ぶ「フリック型」があります。タップルはオフラインでの自然な出会いに近づけるためフリック型を採用していますが、2021年の5月から「ウィッシュカード(2021年12月より『デートプラン』に名称変更)」という新機能を搭載し“コト軸”でも相手を探せるようにアップデートしました。たとえば、男性の「野球をやりたい」というウィッシュに対して、女性が「私もやりたい」という意思表示をすることでマッチングを促す仕組みです。

MZ:マッチングサービスのアプリマーケターだからこそ経験できることはありますか?

髙橋:男性と女性のマッチングを促すタップルでは、会員の男女バランスを考える必要があります。アプリの収益を支えているのは男性会員の会費ですが、だからと言って男性ばかりを集めても女性が少なければビジネスが成り立ちません。逆も然りなので、黄金比を探りながら広告を配信しています。

 また、媒体によっては男性にセグメントしても30%ぐらいは女性に広告が配信されてしまうんです。男性向けに作り込んだクリエイティブを見た女性が不快感を抱くことのないよう、訴求方法にも気を配っています

マッチングサービスの宿命「ユーザーの卒業」にはメリットも

米原:転職市場のニーズと求職者数は全く釣り合っていないですね。たとえば、建築技術者の求人倍率は非常に高い一方、該当する求職者の数がかなり少ないんです。求職者の母数が少ない職種を集めるためにマーケティング予算を割くと全体の獲得数が減ってしまいますし、数を重視してジャンルを問わずに広く集めた結果、意外と欲しい職種を獲得できるケースもあります。市場ニーズと求職者ニーズのマッチングは「できる時もあればできない時もある」というのが現実です。

米原:一方で、全ての働く人がユーザーになり得るとも考えています。働く人のクラスターやペルソナを分類しながら仮説を立ててクリエイティブを検証すると、急に数倍のユーザー数を獲得できることもあるんです。そういう瞬間は「ユーザーに良い機会を提供できた」という達成感を覚えますね。

MZ:「企業と求職者」「男性と女性」という対象の違いはあるものの、マイナビ転職とタップルにはどのような共通項があるとお考えですか。

米原:マッチングサービスには必ず「ユーザーの卒業」がありますよね。マイナビ転職でも転職先が決まったユーザーは卒業していくので、新規ユーザー獲得のための予算が確保されていて、色々な施策を試しやすい点はマーケターにとってアドバンテージと言えるのではないでしょうか。

髙橋:卒業に関してはジレンマも少し感じています。長く利用してもらう方がビジネスにとってはプラスですが、ユーザーは早く相手を見つけて退会したいはずです。継続利用をしてもらいたい運営都合の不自然な工作は、今の時代ユーザーに支持されなくなってしまうので、ユーザーの立場に立って真摯にサービスをやるしかないと思っています。

USPを出しづらい人材サービスは広告の訴求方法で差別化を図る

MZ:マッチングサービス業界にはどのような課題があるのでしょうか。

髙橋:弊社が感じている足元の課題は、マッチングアプリに対するネガティブイメージです。一昔前に比べると市民権を得てきたものの「利用していることを人に言いたくない」と感じるユーザーはまだまだ多く、ポジティブな情報が拡散されにくい構造を呈しています。実は、私がタップルに異動した目的の1つが「マッチングアプリのイメージ改革」なんです。世の中の受け取り方を変える取り組み自体には楽しさややりがいを感じています。

米原:求人情報サービスは「USP(Unique Selling Proposition)」を出しづらいため、どのサービスも同じに見えてしまうという課題があります。画期的な機能を開発したところで他社から簡単に真似されてしまうので、いかにクリエイティブで突出するかという点を意識しながら広告を運用しています。

 たとえば、多くの企業が「年収●●万円」「休日●日」という引きになりそうな条件を組み合わせてクリエイティブを作っていますが、それだと独自性は出せません。そこで「こういう風に使うとあなたの転職活動に役立ちますよ」という機能訴求の動画広告をメインに配信したところ、獲得増加につながりました。

髙橋:我々はプロモーションに加えてプロダクトの中身でも差別化を図っていますね。幸い私はプロダクトの設計にも関わることができるので、プロダクトアイデアを作った上で、広告などを中心にコミュニケーションアイデアを考えるようにしています。

疑う姿勢を持ちユーザーの建前を崩す

MZ:お話しいただいた課題を踏まえ、マッチングサービスのアプリマーケターにはどのような資質が求められると思われますか。

髙橋:ユーザーの「本音」と「建前」を読み解く力です。たとえば、ユーザーテストを実施して「友達が欲しいからマッチングアプリをやっている」という意見を得られたとします。その意見を鵜呑みにして「友達が作りやすいプロダクトを作ろう」ではダメだと思うんです。「友達が欲しい」はあくまで建前であり、本音は「恋人が欲しい」かもしれませんよね。

髙橋:今はソーシャルで色々な声を拾えますが、本音が言いにくい時代でもあると思います。ユーザーの本質的なニーズを掴む力と、そのニーズに刺さるコミュニケーションを設計する力がマーケターに求められているのではないでしょうか。その2つが備わっていれば、極論あとはアウトソースできると思います。

米原:本音を引き出すためには疑う姿勢が大切ですよね。疑う姿勢は業務全体にも必要だと感じています。たとえば、過去に成果があったからと同じアロケーションで広告を回し続けていると「1年かけて数パーセントの改善しか達成していない」という事態が起こり得るんです。アロケーションを大幅に変えて獲得数を2~3倍に増やせる場合は往々にしてあるので、過去の成功も失敗も疑った方が良いと思います。

 またアプリはIDFAの使用制限など、OS側の都合で手法の変更を迫られることがあります。月単位ではなく年単位で施策や計画を立てられる大局的な視点も必要ですね。

活躍の場は無限!若くて偏見のないマーケターは強い

MZ:お2人はLiftoff Mobileが運営するアプリマーケターのためのコミュニティ「Mobile Heroes」に参加されていると伺いました。コミュニティの活動に寄せる期待をお聞かせください。

米原:これまでなかなか機会がなかった違う業界のアプリマーケターとの交流を楽しみにしています。他社の悩みを聞きながら、自社との共通項や将来的に起こり得る課題の発見につなげたいです。

髙橋:私は自分から積極的にコミュニティへ飛び込むタイプではなかったので、Mobile Heroesからのお声がけはすごく貴重な機会だと捉えています。興味のあるトピックがあれば、ぜひ参加したいですね。

MZ:ネクストキャリアとしてアプリマーケターを志す人や、駆け出しのマーケターに向けてメッセージをお願いします。

髙橋:CMOという肩書きを持つ私ですら、どういう職種なのかを明確に定義できないほどマーケターの業務領域は多岐に亘っています。そのぶん活躍の場が無限にあり、自分の“色”を出せる仕事でもあると言えるのではないでしょうか。

 弊社ではそれぞれが得意分野を活かし、業界ナンバーワンを目指して日々熱量高く取り組んでいます。常に門戸を開いているので「熱量を持て余していて何かを成し遂げたい」と思う方にはぜひ仲間になってもらいたいです。

米原:過去の正解が今の正解とは言えない不確実な世界において「若くて偏見のない人」が1番強いはずです。たとえ根拠がなくても積極的に提案して、仮に失敗したとしても「この方法はCPAが悪かったから改善方法を考えました」と言えば誰も怒らないと思います。トライアンドエラーを恐れずに挑戦して欲しいですね。

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この記事の著者

末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)

フリーライター

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/01/14 11:00 https://markezine.jp/article/detail/37948