「ファネル機能」により仮説検証を迅速化
高野:似たような行動特性を持つユーザーを束ねて可視化してくれる機能も、重宝しています。au PAYのユーザー一人ひとりのジャーニーを追っていては、それこそ時間が圧倒的に足りません。
似たような行動特性のユーザーをペルソナ化し、各ペルソナに対してどのようなフォローを行えば、より良い体験をしてもらえるのか。これまで時間がかかっていたファネル分析が瞬時にできるようになったことで、仮説検証のサイクルを早めることが可能になりました。
川口:さらに、私たちはKDDI全体としてこれまで蓄積してきた膨大なデータを保有しています。従来持っていたデータとUSERGRAM経由で取得したデータをかけ合わせることで、より精緻なお客様の行動分析が可能になるはずです。
高野:ペルソナとしては、たとえば、当社のクレジットカードをお持ちでもau PAYのコード支払いはご利用でない方、当社のキャリア決済をお使いでもau PAYの決済はご利用でない方といったものが考えられます。それぞれどのような方なのか、定量と定性の両方で分析し、そのフォローを検討するといったことが可能になっています。
USERGRAMによる分析をもとにUIやアーキテクチャを大幅に刷新
――改めて、USERGRAMを活用したUXグロース活動の成果、手応えをお聞かせください。
高野:おかげでグロース活動は着実に成果が上がってきています。チャージ率全体が120~130パーセントほど向上してきました。さらなる改善のため、2022年1月25日には大きなアップデートを施してリリースしています。最初は慣れていただくための時間が必要だと思いますが、新しいau PAYアプリによってお客様の体験価値がどう変わるのか、とても楽しみです。
また、ユーザビリティの向上だけではなく、ユーザーに「利用したい」と思ってもらうための動機づけも重要な要素。より魅力的なアプリに改善すべく日々取り組んでいます。
川口:数字がただ羅列されているマーケティングツールとは異なり、USERGRAMは実際のユーザーの行動がひと目でわかるため、経営層や他部門に説明し企画を通す際にも説得力があると感じています。また、ビービットさんのUXグロースコンサルタントがフォローしてくれるのも、非常に助かっています。
これまではある意味属人的な感覚や経験に頼っていた改善策の企画が、USERGRAMによってデータをもとに言語化して説明できる業務になってきています。実際、チームの一員である新人メンバーもUSERGRAMを使って施策立案に取り組んでいます。
高野:企画人材育成へのさらなる活用には期待しています。現在メインで取り組んでいるテーマはチャージ率の増加ですが、他にも課題は山積なので人手が欲しいところです。
また、USERGRAMの導入によって、メンバーにユーザー起点で物事を考える習慣が身についたことが何よりの大きな変化だと思っています。思い込みでユーザーを捉えるのではなく、数字やデータ、ユーザーの行動といったファクトを通じて考えるようになったのは良い変化です。
――最後に今後の展望をお教えください。
高野:ユーザーの行動を捉え、改善し続ける。このサイクルを迅速に回すことで、au PAYはお客様にとってストレスなく無意識的に使っていただけるアプリとなることを目指します。その結果として、冒頭にお話したような文化・インフラとして当社のキャッシュレス決済サービスが広まっていくよう、より一層改善に努めていきます。
川口:さらにはau PAYにおけるグロースチームのような活動を、他のプロダクトやサービスにも展開し、広げていきたい。そうすることでKDDIの全サービス・プロダクトをより良い方向に改善し、新たな価値や体験を創造したい。そんな未来が実現できればいいなと、考えています。