CVR132%を記録!ユーザー心理に応じたWeb接客の実施例
実際に、リアル店舗と同じような接客をオンライン上で実現している例として、奥田氏は東京ソワールの事例を紹介した。婦人既製服の製造・卸売メーカーである「東京ソワール」は、現代女性の様々なニーズに応えるレディースフォーマルウェアを展開。百貨店や量販店、ショッピングセンターなど全国で販売店を有している。
オフラインと変わらないWeb接客を実現するためには、ユーザー心理に応じて接客内容を変える必要があるが、東京ソワールは、TOPページ/商品詳細ページ/試着案内ページ/カートページと、ページごとにチャットボットを変えることで高精度なWeb接客を可能に。Web接客ツール「SYNALIO」を導入した結果、CVRが132%、滞在時間は120%、セット購入率は105%へと上昇したという。ページごとの具体的なチャットボット活用のイメージは以下だ。
1.TOPページ
TOPページでは「何を買えばいいかわからない」というユーザー心理があると想定。「あなたにピッタリのフォーマル服をご案内します」といった会話のキャッチボールを行うことで、ユーザーの要望を絞り込み、おすすめの商品提案までつなげた。
2.試着サービスページ
試着サービスでは、そもそも「オンライン試着がどんなサービスなのかわからない」といった心理があると考え、FAQ形式のチャットボットを設置。ユーザー自ら、悩みや疑問を解決できるチャットボットを設置することで、問い合わせ件数の削減につながった。
3.カートページ
最後のカートページでは、リアル店舗で商品購入する直前のユーザー心理を想像。「ほかに何か必要なものがないか?」と考えるユーザーに向けて、「シーン別アイテム紹介」を行うチャットボットを設置し、買い忘れ防止やセット購入率の上昇に成功した。
Web接客1.0は、人的リソースを要する「人力ツール」である
東京ソワールの事例から、オンラインにおいても店舗と同じような接客設計を行うことで大きな効果が得られることがわかった。しかし、Web接客を導入する際に、課題がまったくないわけではない。Web接客には、導入と継続の2つの観点で課題が存在しているという。
「まず導入時の課題は、Web接客の設計自体が難しいというものです。Web接客は、リアル店舗で行っていた接客をオンラインに持ち込むという思考から始まっています。そのため、リアルでの接客経験を持ちながら、ECサイトを運営できるノウハウも持ち合わせた人材がいると理想的なのですが、そういった方はとても少ないのが現実です」(奥田氏)
次に、Web接客を継続していく際の課題として、PDCAを回していくにはかなりの工数が必要になる。人気商品の更新、販促状況や季節に応じて展開するキャンペーン情報の更新、新規or既存などユーザーごとに表示するコンテンツを出し分ける……など、Web接客ではECサイトのコンテンツと同様にPDCAを回していくことが求められるのだ。
さらに、Web接客の担当者が知見とノウハウを蓄積しても、異動や退職などによって現場を去ってしまう可能性もある。社内で人的リソースを確保できない場合、外部に委託する手もあるが、この委託費が高額であるというのもWeb接客における現状の課題だ。
ここまでで、現状のWeb接客、いわば「Web接客1.0」はデジタルツールであるにも関わらず、多くの工数や専門知識を要する人力ツールとなってしまっていることがわかったのではないだろうか。ギブリーは、これらの課題に対し、Web接客の初期設計から並走したり、運用ノウハウを共有したりすることで対応してきた。しかし、活動していく中で、根本的な解決法を提供する必要性を痛感。Web接客2.0に行き着いたのだ。