印刷会社の「情報加工」ノウハウを活かした新サービス
MarkeZine編集部(以下、MZ):様々な事業を展開されている凸版印刷において、穂積様はどのような業務やミッションを担っていらっしゃるのか、まずは伺えますか。
穂積:私は凸版印刷のDXデザイン事業部の新事業推進室で、2020年12月にリリースした動画マーケティングサービス「movring(モブリン)」のプロモーションを担当しています。
MZ:なぜ、動画活用のサービスを始められたのでしょうか。凸版印刷というと印刷はもちろん、マーケティング領域でもソリューションを提供している印象はあるのですが、動画に関するサービスは少し意外に感じます。
穂積:凸版印刷は印刷から出発し、そこから多様な技術を発展させてきました。その中で、企画やプロモーションといった幅広い事業に取り組んできた経緯があります。そうした経験で培ってきた一番の強みは「情報加工」のノウハウだと考えています。
凸版印刷の情報加工のノウハウをデジタルでも発揮できないだろうかと考え、動画マーケティングサービス「movring」を立ち上げました。
痒いところに手が届く、カジュアルな動画とは?
MZ:動画と一口に言っても様々な種類があります。御社が活用を提唱しているカジュアルな動画とはどのようなものでしょうか?
穂積:movringで制作できる動画は、これまで印刷物で伝えていた情報を既存の素材を組み合わせて動画にして伝達する、“リッチ過ぎない”動画コンテンツです。
いわゆるCMなどの動画制作は、アイデア出しからコンテ、ロケハン、撮影、編集……とたくさんの工程を重ね、ハイクオリティを目指すのが当然です。しかし最近では、一般のユーザーでもSNSに動画を投稿するのが当たり前になっているように、手軽に発信でき、受け取れる動画コンテンツが一般的になってきています。
企業においても、従来のようなリッチな動画ではなくもっと身近で頻繁に発信できるカジュアルな動画へのニーズが非常に高まっています。しかし、カジュアルな動画とはいえ、企業が動画を作ろうとするとハードルが高いことも確かです。動画クリエイターを社内で抱えている企業は少ないです。最近は動画編集のクラウドツールもありますが、自社で作るには時間やノウハウが不足していて「本当に作れるの?」と導入を見送り、結局「動画はやれないよね」と諦めてしまうケースもあります。
そこで、動画の制作から配信、効果検証までワンストップで提供する「movring」におまかせいただきたいと考えています。当社は約30年以上前から映像制作も行っており、ノウハウが蓄積されています。また、先ほど申し上げたように、印刷会社として既存の素材……たとえば、カタログやチラシ、ポスター等の印刷物をはじめ、Webサイトや広告バナーなど、お客様のニーズに沿ったプロダクトを制作する技術にも長けています。movringでは、こうした印刷と映像制作で培ったノウハウを掛け合わせることで、カジュアル動画でありながら高い品質を実現しています。