SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第100号(2024年4月号)
特集「24社に聞く、経営構想におけるマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

MarkeZine Day 2022 Spring(AD)

たったの3ステップで成果を出す!顧客段階に合わせたMA活用術とは

 デジタルマーケティングを強化するにあたり、企業はまず何から始めたらいいのだろうか? 実際、デジタルマーケティングと一口にいっても、選択肢が無数にあり、どこから始めればいいのか優先順位をつけあぐねている企業も少なくない。2022年3月9日に開催された「MarkeZine Day 2022 Spring」ではシャノンの藤井里名氏が登壇。顧客段階に合わせ、MAを活用してデジタルマーケティングを強化する方法を紹介した。

役職者以上に効果的に訴求!休眠顧客へのアプローチ

 デジタルマーケティングを強化したいと考える企業の多くが「何から始めればよいかわからない」ではなく、「選択肢が多すぎて選べない」と悩んでいる。

 「まず必要となってくるのが、Webとメールを出し分けることです」とシャノンのマーケティング部である藤井里名氏は主張。続けて「顧客の段階を『休眠顧客』『新規顧客』『既存顧客』の3つに分け、それぞれに合ったステップを踏むことが大事」だと語った。この3つの顧客段階のアプローチについて、例を交えつつ説明した。

株式会社シャノン マーケティング部 藤井里名氏
株式会社シャノン マーケティング部 藤井里名氏

 多くの企業は複数事業部がある中で、ある事業部から「パイプラインが足りないから、マーケティング部と企画を出したい」と相談されることも多いだろう。ここで重要なポイントは、「急いで増やしたい」「商談まで早く進む人から優先的にアプローチをする必要がある」点だ。こういったシーンでは休眠顧客へのアプローチが効果的だ。

 「BtoBの企業の場合、担当者が情報収集し、社内で検討して上司に報告、稟議を通すといった、購入に至るまでのフローにおいて関係者が多くなるという特徴があります。気をつけたいことは、役職者以上の人に対して効果的にアプローチすることです」(藤井氏)

 具体的には休眠リストを役職者とそれ以外に分け、役職者以上にDMの配信をしていく。DMはそもそも郵送費・印刷費がかかるため、メールほど手軽に使えないが、役職者以上に効果的に訴求したい場合には有効な手段だ。

クリック/タップで拡大
(クリック/タップで拡大)

 「DMを組み合わせる大きなメリットは、一度DMを送ってからメールを送ることでメールからのアクセス率がアップする、という点です」と藤井氏。

 コロナ禍で対面での営業が難しくなったこともあり、DM使用は増加傾向にある。事実、電通が2022年2月に発表した「日本の広告費」ではDMを使っている企業は広告費が増えていると報告されている。またインターネット広告だけはアクセスしにくい無宛名便(マーケティング担当者宛)も増加傾向だという。

DM×Web×メールで商談につなげる方法とは?

 続いて藤井氏は、DMを交えて実際に施策を行う際のポイントを解説した。役職者以上の方のリアクションが生まれるよう、DMの封筒などに「マネージャー必見」といった役職者がより興味を引くようにアレンジ。内容も「マネージャーの方限定の案内」など特別感を出し、続きはWebにと促していく。Web来訪時には「DMをお送りしました」などポップアップを出し、パーソナライズをかけていくことが重要だ。その後、営業からコンバージョンした人・Webに来た人・メールが届いた人の順番にフォローし、商談につなげていく仕組みだ。

クリック/タップで拡大
(クリック/タップで拡大)

 「役職者以上とそれ以外の分岐をどのように実現するのか? 疑問に思うかもしれませんが、MA(マーケティングオートメーション)の『役職付与・職種付与』の機能を使うことで、自動でデータを強化できます。職種の場合、プロダクトマーケティング・マーケティング企画部・営業推進部・営業企画部などいろいろな部署がありますが、こちらもMAで自動振り分けが可能です」(藤井氏)

 また、MAにはシナリオ機能もあり、DMやメールも自動で配信されるように設定できる。どの担当者に何のポップアップを出すかなど、出し分けもMAで自動化が可能だ。

 まとめると、以下3点のアプローチにより効果的に役職者以上へのアプローチが実現可能となる。

・MAにデータを登録→役職情報は自動でグループ化
・DM、メールに連携するシナリオを作成する→役職者以上にDMとメールを自動配信
・ポップアップを出し分けるタグを埋める→Web来訪時、特定の人に特別オファーを表示

熱い顧客の獲得に欠かせない手法を解説!

 新規顧客へのアプローチは、顧客の中でも「熱い顧客」を獲得しなければならない。藤井氏は「熱い顧客を獲得するには、資料請求からの商談獲得を強化する必要があります」と言い、その方法を説明した。

 「会社名で検索し、Webサイトへ来訪している顧客は、すでに課題が顕在化した状態です。製品・サービスにおいても興味があります。ただ、担当者独自の判断で購入に至ることはなく、社内で検討するための資料を競合にも請求している状態です。そこで、ポップアップを活用して資料請求に誘導していきます」(藤井氏)

クリック/タップで拡大
(クリック/タップで拡大)

 顧客は製品名・会社名で検索しているため、多くは製品紹介ページに遷移する。この製品紹介ページで熱い顧客を獲得していくわけだが、Webの変更は即対応が難しい。しかし、ポップアップの追加であれば、大きな変更をさせることなく、より高い効果へと引き上げるための導線改善が可能だ。

 実際に顧客が資料請求すると顧客データがMAの中に入り、自動でデータを強化。過去の設定履歴が紐づき、名刺交換やメールの閲覧履歴などもMAにデータが蓄積されていく。

再来訪した人は商品理解を深める動画に誘導

 過去に接点がある人が、時間を置いて来訪するパターンはどのように対応したらいいだろうか。再来訪なので、既に過去に接点があり資料請求は完了していることも多い。そういう場合は、ポップアップを使い製品の説明動画へ誘導。動画を視聴した顧客に対し営業から連絡、また視聴しなかった場合は次の日に自動メールで再度、動画視聴の案内をするなどのシナリオも検討できる。

 MAを活用すると、Webサイトに公開している動画を誰がどのくらいの時間視聴したか特定することが可能だ。

 「再来訪の目的は“社内推進のヒントが欲しい”といった状況です。資料請求した方は動画に誘導していきましょう。また、動画の視聴はフォーム登録なしでそのまま見られるものをイメージしています」(藤井氏)

 まとめると、以下3点のアプローチで新規の顧客に対し、タイムリーにフォローが可能となる。

・MAのフォーム登録→一元管理を行い、履歴情報が自動で強化される
・過去の履歴情報を活用してポップアップを設定→来訪者の目的に合わせたオファーを自動で表示
・シナリオメールを組み、動画視聴者をフォロー→動画の未視聴者に対してはフォローメールを配信、視聴者は社内の担当営業へ通知

認知状況を把握し、別製品をレコメンド!既存顧客へのアプローチ

 すでに自社のサービスを使っている既存顧客であっても、それ以外の自社商品の認知度がない場合がある。また、新製品をリリースしても既存の顧客になかなか浸透しないといったケースも少なくない。このようなケースに対し、藤井氏は「複数商材に関して、認知状況を把握することが重要です。その上で認知がない商材に対し顧客が興味を持ってもらえるよう、Webとメールを連動させていく必要がある」と語った。

クリック/タップで拡大
(クリック/タップで拡大)

 実際に行う施策は3つある。1つ目はアンケートをとっていく施策。MAで手軽に作ることができる。アンケートを送付して課題や認知している商品、興味のある商品を把握していく。

 2つ目はメルマガを配信し、ブログ記事に誘導していくことだ。3つ目は、メルマガからWebに来訪した顧客に先ほどのアンケートの内容をふまえてバナーを出し分けていく。同じWebページでも顧客の認知状況に応じて表示させ新しく訴求することが可能だ。MAが顧客の興味範囲についてデータを自動で補強するので、履歴などに基づき興味フラグを管理することができるのだ。

 「データを活用することで、同じWebページに訪れても、バナーやHTMLを埋め込み、入れ替えることができます。この出し分けもMAで自動化できる部分です」(藤井氏)

 まとめると、既存顧客に対しては、以下の2点のアプローチで自社の他商品の認知を広げることができる。

・顧客へアンケートを実施→興味範囲を管理するフラグのデータが紐づく
・バナーを出し分けるタグを埋める→興味範囲に応じて自動でバナーを出し分け

すべてのアプローチは3ステップで実現可能

 休眠顧客・新規顧客・既存顧客の3つのシーンについてアプローチを解説してきたが「シャノンのMAでは、すべてのシーンのアプローチを同一ステップで実現できます」と藤井氏は説明。

 「ステップ1は、MAで顧客情報をご登録いただきます。するとステップ2、MAが自動でデータを強化します。ステップ3として、顧客に合わせてWebとメールの出し分けを行っていきます。今回はお話しできなかったのですが他にも強化されるデータがいくつかあります」(藤井氏)

 3つのステップでMAを活用することで、顧客の段階にあわせたアプローチができる。「Webとメールを効果的に使い分け、成果を出すことが可能となりますので、ぜひMAを活用し、デジタルマーケティングを加速させていってください」と藤井氏は呼びかけ、セッションを締めくくった。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
関連リンク
この記事の著者

西原 小晴(ニシハラ コハル)

 京都府立大学農学部出身。前職は大手印刷会社にて化学物質管理のシステム開発&管理者。退職後、化学・建設・環境法規制などの知識を活かして大手企業のライティングを行う。現在はリードナーチャリング、セールスライティングをメインとするマーケターとして活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2022/04/20 11:00 https://markezine.jp/article/detail/38693