SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

特集:リテール最新動向

業界キーパーソンに聞くイチオシの買い物体験

ワクワクを体験できるオンラインフルオーダー

★紹介した商品・ブランド

LIBERTA Perfume(リベルタパフューム)

――最近の買い物体験の中で「良い!」と思ったもの、印象に残っているものについて、具体名とともに教えてください。

 ECで香水を調合できる「LIBERTA perfume(リベルタパフューム)」のオンラインフルオーダーがとても良い体験でした。実際にパフューマーの方とオンラインで打ち合わせをし、サンプルをもらってそこから選んでいくというもので、実店舗においては既に存在していたサービスですが、それをオンラインでやりきっている点が新しいと感じました。

 ECの購買においては、購入する商品がある程度事前に決まっていることが想定され、とにかく遷移数を減らすなどシンプルに寄せている反面、少しドライな購入体験が多いと感じます。一方このサービスは、「どんな商品が届くんだろう」とワクワクしながら購入することができました。

 オンラインフルオーダーは対応コストがかかる点、それが商品価格に上乗せされてしまう点に難しさはありますし、実店舗の販売方法をそのままオンラインにもってくる以上のことができるかどうかも不明瞭です。それらを抜きにしても、店舗で買い物しているかのような感動体験をECで提供できるという点において、アイデアのきっかけをもらえる購買体験でした。

――顧客の行動・心理が日々変わっていく中、良い顧客体験を届けるためにどんなことに気を付けて仕事をしているか、教えてください。

 お客様のスマートフォンの利用も含めて、生活時間にいかに溶け込みながら便利でワクワクする購入体験が提供できるかどうかを日々考えています。お客様が日々どのようなことに時間を使うかは、ここ1〜2年の間でほぼ確立されつつあると思います。コミュニケーションツールはLINEがメインで、InstagramやTwitterのSNSをウォッチしつつ、欲しいものは店舗で見たり、並行してネットで検索してみたり、というように、オフラインの行動とオンラインの行動をシームレスに行き来しながら生活しています。

 その中でECも店舗も含めて、本質的な意味でその行動に対して溶け込めているサービスはまだ少ないと思います。たとえば連絡や自分だけの情報はLINEに欲しいし、TwitterやInstagramでは新しい情報を発信して欲しい。そして店舗では、これまでのオンラインを含めた自分のパーソナル情報を踏まえた上で接客してもらいたいはずです。まだまだECと店舗の垣根は高く、それぞれが独立している状態です。それらを別のチャネルと捉えるのではなく一つの同じサービスとして、お客様がストレスなく日々の生活の中にサービスが溶け込んでいくように、これまで以上に一つ高い段階からサービス設計を落としていくよう心がけています。

株式会社Sparty Tech Group Data/QA Section Chief 西田将之氏

株式会社Sparty Tech Group Data/QA Section Chief 西田将之氏

空間やエンタメの提供が顧客体験の新しいステージ

★紹介した商品・ブランド

ラルフローレン銀座

――最近の買い物体験の中で「良い!」と思ったもの、印象に残っているものについて、具体名とともに教えてください。

 ラルフローレンの銀座店に買い物に行きました。店舗の1階部分がカフェになっており、その奥には自分でTシャツやポロシャツのデザインがカスタマイズできる大きなモニターが設置されていました。さらにその奥には銀座の中心地と思えない芝の空間が広がっており、銀座の喧騒にいながらもゆったりとした時間を過ごすことができました。大きなモニターを使って一点ものを創作できる体験はエンターテインメントにもなり、空間やエンターテインメントを提供することが顧客体験の新しいステージとして確立されつつある、というのを感じました。

――顧客の行動・心理が日々変わっていく中、良い顧客体験を届けるために、どんなことに留意しているか教えてください。

 私たちはオンライン試着サービスを提供しており、2021年のデータからは、前年対比で利用率が急激に伸びていることが見えています。要因の一つには、コロナ禍によってアパレル業界のEC化率が高まったことがあると思います。またネット広告に関連する各種規制が強化されていく中で、いかにサイト内における体験を高めることができるか、というオンライン接客について、より予算が集中していくとも考えられます。

 実店舗を展開されているクライアント様からは、いかに店舗での体験とオンラインでの体験を融合させるか、というテーマも常に議論に上がります。たとえばECサイトで購入されたいお客様と、実店舗に行って購入したいお客様とでは接客に対する要望も様々です。また、買いたいものが検索で見つかる世界(オンライン)とスタッフからのレコメンドやマネキンが着ている新着アイテムとの偶然の出合いができる世界(オフライン)と、それぞれ素晴らしい体験が提供されています。しかしその境目がより近くなっていき、融合されていく世界観を消費者は求めているような話も聞きます。

 最近ではInstagramなどのSNSでお気に入りのモデルが着ていたコーディネートをスクリーンショットして来店する、などの若者特有の購買行動があると聞きます。それに対してとある企業ではそのスクリーンショットを見て現場スタッフが即座に対応するのが難しいため、スクリーンショットの中に品番が必ず収まるようサイト内UIを変更した、という話も聞いています。小さな一歩に見えるかもしれませんが、大きな前進だと思います。

株式会社Virtusize CRO,最高売り上げ責任者 高橋君成氏

株式会社Virtusize CRO,最高売り上げ責任者 高橋君成氏

次のページ
最新アルバムをストリーミング配信しなかった米国のアーティスト

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
特集:リテール最新動向連載記事一覧

もっと読む

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2022/04/26 10:40 https://markezine.jp/article/detail/38829

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング