前回は、消費者のパーセプション(認識)がビジネス成果に直結する理由について説明しました。商品やサービスに対する消費者の主観的な評価である「パーセプション」をコントロールし、消費者との関係性を構築できるか否かは、競争の激しい市場において成否を分ける分岐点になります。この商品やサービスの価値は、客観的な品質で決まるのではなく、消費者一人ひとりの異なる主観的なフィルターを通して認識されます。よって、消費者と意味のある繋がりを築くには、消費者が認識する価値をマネジメントすることが必要不可欠である――ここまでが第1回の内容でした。
では、消費者は、商品やサービスに対してどのような価値を認識するのでしょうか? 第2回となる本稿では、消費者のパーセプションに関する研究から、そのメカニズムを紐解いていきます。
パーセプションが生まれる4つの側面
まずは、消費者が認識する価値に関する研究で、多くの支持を集めている代表的な消費者研究から、パーセプションの性質について理解を深めていきましょう。
「個人の感情」に焦点を当てる消費者研究は、1980年代以降に発展してきました。その研究の礎を築いたM.B.ホルブルックは、パーセプションの性質として、次の3つを挙げています。
パーセプションの性質
・比較的:ほかの商品・サービスと比較することで価値を認識する
・個人的:個人の嗜好によって評価は異なる
・状況的:状況や文脈によって評価は変化する
そして、消費者が認識する価値は、消費行動の「手段」と「目的」、その有用性の基準が「自分」か「他者」の、4つの側面から整理できると主張しています。
パーセプションの側面
・手段価値(手段):何らかの手段としての評価
・実現価値(目的):消費行動の結果としての評価
・内的価値(自分):自分にとっての有用性の評価
・外的価値(他者):他者や外界との関係にとっての有用性の評価
つまり、消費者が認識する価値をマネジメントするには、商品やサービスを使用する状況や文脈に着目し、パーセプションが生まれる側面に基づいて価値を伝えることが大切だと言えます。