リピート喚起施策として行ったアンケート付きDM
リピート喚起、奥行拡大に向けて行った、「焼肉のたれ」購入者に汎用メニューに関するDM告知を実施するとともにアンケート調査では、「ハレの日」の休日メニューを訴求したパターンA、「日常使い」におすすめな平日メニューのパターンBの2軸に分けて、それぞれの反応を検証していった。

アンケートでは、「DMを見て実際に作った(または作ってみたいと思った)レシピはあるか?」という質問を投げかけたところ、パターンB「平日メニュー」のほうが高い傾向は出たものの、実際に作ってみた実施率は1割と低く、汎用メニューが購買には寄与しないと判明する結果になった。

一方で、汎用メニューの継続意向は、作りたいと思っている人が9割を占めていることから、「現状購買要因に寄与しないものの、伸びしろはあるので、商品が手元にある状態で、どのように継続意向を高めていくかが今後のポイントだと考えている」という。
2022年のマーケティング部門の課題と目標
今回の取り組みからいくつかのポイントが見えてきたが、その中で藤原氏は、まずは「自社の戦略が外部環境と整合しているか」を分析することが大切だと話す。
「戦略やマーケティング施策を考える上で、外部環境との整合性を考える必要があると思っています。重要なのは、『自社の戦略が外部環境と整合しているのか』、『自社内の施策間に整合性はあるのか』、『優先順位が明示され、何を行い、何を行わないか』、この3点が明確であること。その際、どうしても内部環境に比重が偏りがちなので注意する必要があると思います」(藤原氏)
最後に藤原氏は、マーケティング部の今後に関して、現状設定している3つの切り口の目標・手段・課題を紹介した。

1つ目の目標は、「情緒的な価値の創造」と「生活者インサイトの深掘り」。従って、今回のようなリアル店舗による検証を行っていくが、情緒的価値の定着には時間がかかることが大きな課題になる。
2つ目は、「ROIを可視化した最適なリソース配分の実現」で、多様なプロモーション手段がある中でどのような指標の影響度が高いのかを検証していくのが目標なのに対し、重要指標の可視化と意思決定への関与を進めるが、独自のビッグデータとその連携が課題となっている。
3つ目は、「全社的なデータ活用のための環境とスキルのセットを持続し、差別優位性を作る」こと。この目標を達成するためエバラ食品のマーケティング部では、データ環境の開発と整備、勉強会などを続けていく。その上で、各部署に寄り添ったデータ環境の整備が課題だ。
エバラ食品では、これらの目標を達成することで「最適なマーケティングシステムへの転換」という目的を実現していく展望を見据えている。