「BtoBマーケティングの役割=リードジェネレーション」だと考えていませんか。確かに大事な役割の1つではありますが、固定観念にとらわれすぎるのは考えものです。本来マーケティングは、会社全体のビジネス成長を実現するための仕事であるはず。だとすると、事業の成長にともないマーケターに求められる役割も変わるはずです。今回は、SaaSビジネスのマーケティングに詳しいユーザベースの酒居さんをゲストに迎え、BtoBビジネスの立ち上げからグロースに至るまでのプロセスを伺いました。
BtoBビジネスのあらゆる業務を経験
祖谷:まずは自己紹介と、現在担当されている業務の内容からお願いします。
酒居:BtoBマーケティングプラットフォーム「FORCAS」や「NewsPicks」など、複数の事業を展開しているユーザベースにおいて、BtoB領域のマーケティングとブランディングを統括しています。2021年からはコーポレートPRを兼任し、2022年1月に事業責任者として動画配信事業「NewsPicks Stage.」を立ち上げました。
酒居:ユーザベースに入社してまず担当したのは、FORCASのマーケティング&インサイドセールスチームの立ち上げです。事業が本格的に立ち上がろうとしている2017年のことでした。
祖谷:ユーザベース以前のキャリアについても伺えますか。
酒居:新卒で入社した銀行では、法人営業を担当していました。退職後は独立し、ネット通販やWebコンサルタントを経験。その後SaaSのスタートアップ企業に入社し、本格的にマーケティングの仕事へ関わるようになりました。
前職でのキャリアは、インサイドセールスから始まりました。しばらくして既存ユーザー向けのリニューアルセールスチームを立ち上げることになったんです。このチームのリーダーが、現FORCAS事業のCEO・田口槙吾で、現職での縁につながっています。
人手不足や営業のパンクを乗り越えABMにシフト
祖谷:BtoBビジネスにおいて、全ての顧客接点に携わった上でユーザベースに移ってきたわけですよね。新規事業の立ち上げに、一連のご経験を活かせたのではないでしょうか。
酒居:最初は課題が山積みでしたね。僕が入社した頃のユーザベースは、既に複数の事業を展開していました。とはいえ各事業の成熟度はバラバラ。経済情報プラットフォームの「SPEEDA」は多くのユーザーから支持されていたのに対し、FORCASは事業が立ち上がったばかりです。アプローチできる母集団もなく、いわばリードプールがない状態でした。
何よりインサイドセールスが1人、営業が2人と人手が足りない状況で。営業からは「とにかく商談をつくってほしい」と頼まれました。僕が入社する前は専任のマーケティング担当者がおらず、他の事業からの紹介や展示会で獲得したコンタクト情報へのアプローチが限界だったようです。
祖谷:人数が少ないと、やりたいことができませんよね。
酒居:そうなんです。まずはリードプールの充実を優先しました。即効性が必要だったため、ホワイトペーパーを制作し、Web広告でダウンロードを促す施策を実施。『実は知られていない、良いターゲティングと悪いターゲティングの違い』というタイトルのホワイトペーパーは、多くのお客様に読んでもらうことができました。
リードが増え、インサイドセールスの人数も増やし、多くの商談化につながった──ここまでは良かったのですが、今度は営業がパンクしてしまいました。今振り返ると、成約確度が高くない案件まで渡していたんですね。
祖谷:ABM支援を強く訴求している今のFORCASを考えると、意外な気がします。
酒居:当初はマーケット自体が確立されていなかったんです。プロダクトを成長させながら、プロダクトの価値を実感してくださる方が誰なのかを暗中模索。ユーザーが徐々に増え、データと顧客の解像度がようやく高まってきたタイミングでABM戦略へと移行していきました。
祖谷:プロダクトとレベニュープロセスの洗練を同時に進めてこられたわけですね。
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祖谷 考克(ソタニ タカヨシ)
アドビ株式会社 DXインターナショナルマーケティング本部 執行役員 本部長
広告会社にてマーケティング領域全般のプロデュース業務に約15年従事。ブランドマーケティングだけでなく、デジタルコミュニケーション戦略立案、施策最適化など、デジタル領域でのプラニング/プロデュース業務も担う。2013年よりアドビに...
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