ロイヤルティ構築の理想形は企業規模や業界によって異なる
──ここからは、ロイヤルティや顧客エンゲージメントを軸としたマーケティングについてうかがいます。既存顧客との関係構築の重要性はよく知られていますが、御社が理想とするあり方とはどのようなものでしょうか。
ロイヤルティマネジメントの理想形は、企業規模や業界によって大きく異なります。たとえばスモールビジネスにおいては、メーリングリストの作成、SMS送信のための電話番号リストの作成、あるいはInstagramアカウントの取得など、人々に効果的にアプローチするためのリストを構築することに重点が置かれます。
ビジネス規模が拡大していくと、自動化が必要になります。基本的にはオーディエンスのセグメンテーションを自動化することで、さらなる規模の拡大に備えることになります。最終的には、お客さまとのOne to Oneの対話を実現することを目指します。ここまで到達できると、お客さまは、企業とのやり取りをとても素晴らしいものだと感じるようになります。
──御社のビジネスにおける日本市場のポテンシャルについて、米国市場との違いも含めて教えてください。
日本はロイヤルティマネジメント構築の初期段階にある企業が多く、大きなビジネスチャンスがあります。米国と比べると未成熟ですが、日本が後れをとっているとお伝えしたいわけではありません。チーターデジタルはすでにスターバックスやVans、THE NORTH FACEといったグロ-バル企業と取り組みを進めており、そういった企業が日本でロイヤルティを軸とした関係構築を進めています。
米国においても、すべての企業がロイヤルティの成熟期にあるわけではなく、一部の先行企業が大きな成功を収めている状況です。当社が目指しているのは、そうした企業から得た学びを他の地域でも活用できるようにすることです。
One to Oneのメッセージングは危機や不況にも強い
──コロナ禍以降、多くのマーケターにとって不透明なビジネス環境が続いています。
Eメールをはじめとするメッセージングソリューションは投資対効果が高く、厳しい環境においても効果を発揮します。実際にパンデミックの期間中、当社の収益は驚くほど安定し、お客さまの成功事例も多く生まれました。
たとえば、チーターデジタルのロイヤルティソリューションを採用した米国のある大手レストランチェーンでは、パンデミックに突入した頃、一部のお客さまを除き、来店の頻度が減ってしまいました。当時は大規模なテイクアウトやデリバリーサービスもなく、ビジネスは危機に瀕しました。
そこで、このレストランチェーンはチーターデジタルのソリューションを使い、来店の可能性がより高いお客さまを自動的に見つけ、アプローチしていったのです。そのお客さまはすでにレストランに行く可能性が高いため、大きな割引オファーは不要であり、レストラン側は収益を確保できるようになります。
また、店舗で食事をしていなくても、レストランに高いロイヤルティを抱いているお客さまが存在することもわかりました。そのようなお客さまには、テイクアウトやデリバリーサービスをおすすめすることで、関係を維持することができました。