大日本印刷(以下、DNP)は、東京工業大学、ファシリティジャポン、リアルタイプと連携し、文字の読み書きに困難がある人(ディスレクシアを含む)にも見やすく読みやすい「じぶんフォント」のプロトタイプを開発した。
また、「じぶんフォント」の読字体験ができ、多様なフォントと比較しながら、自分に合うフォントを見つけられるWebサイトも公開。様々な利用者からの意見を収集し、「じぶんフォント」の改善や社会実装、さらなる研究開発を目指す。
「じぶんフォント」の主な特徴として、読み書き困難の特性に合わせた、3種類の形状のフォントがある。読み書き困難の症状は様々で、人によって症状が異なる。朱助教は、文字の読み書きに困難がある人の協力のもと、自身が開発したフォントの評価・分析を行い、(1)文字の下部が太い、(2)全体が細め、(3)全体が縦長で太め、といった3つの傾向のあるフォントが好まれることを発見。今回の「じぶんフォント」の開発に当たっても、これらの特徴を活かした形状とした。
また、同フォントは研究によって判明した読み書きに困難がある人に好まれる形状をもとに、画線がシンプルで、先端や角が丸い「秀英丸ゴシック」をベースに開発。ひら仮名は形状や大きさを整え過ぎないようにしている。例えば「い」は平たく、「く」は縦に長くなど、手書きの形状に近いデザインで、字間にゆとりがある。
今回の4社共同プロジェクトでは、多様な見え方の特性を持つ人の協力を得て、より見やすく読みやすいフォントの開発・実用化に取り組んでいる。実用化に向け、公開したサイト上でアンケートを実施し、その結果から研究を進め、開発フォントのブラッシュアップを図っていく。
DNPは今後、参画企業・大学とともに、「じぶんフォント」の評価と改善を繰り返し、より有用なフォントを開発する他、ユーザーが自分の読みやすい文字の形へ自由にカスタマイズできるフォントの開発や普及にも取り組んでいく。
開発の背景として、知的能力に関係なく文字を読むことが困難な学習障がいディスレクシアの存在がある。日本では学齢期児童の約8%、英語圏では約10~15%にこの症状があると言われるが、フォントの変更が読み難さの軽減に役立つ場合があることが知られている。
国内では朱助教によるディスレクシア対応の日本語フォントの試作・評価が進んでおり、その有用性が確認されているが、一方で日本語の情報処理で少なくとも必要とされる約7,000字(JIS第1・第2水準)のフォントの開発には、高い負荷がかかっていた。こうした課題の解決に向け、同社は秀英体の開発で培ったノウハウを活かして「じぶんフォント」の開発を開始した。
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