CV獲得はクリアした。しかし「商談につながらない問題」が立ちはだかる
MAツールを用いても、商談数が自動で増えるわけではない。まずは展示会やイベントなどのオフライン施策や、Web広告・オウンドメディアなどを活用して、リードを獲得することが必要だ。
SATORI社では、Web広告の開始直後は指名検索やその商材の一般的なキーワードでの検索広告を中心に、顕在層向けに注力した。キーワードを精査しながら、ユーザー属性や都道府県別のCPA、受注率なども見て広告運用を改善していった。
より多くのCVを獲得するため、オーディエンスターゲティングなど、新規顧客向けの施策も実施した。しかし、広告予算の増加や広告運用の改善を繰り返した結果、リードは順調に増えていく一方で商談の伸び率は鈍化。商談につながらないCVが増えていったという。
「当初、配信や属性を分析し、配信を止めたり入札を調整したりしました。しかし目立った改善にはつながらず、頭を悩ませました。広告運用担当者だけでは解決できないと思い、商談状況をヒアリングしたところ、営業からも商談転換率が良くない点を指摘されました。」と棚橋氏は当時の状況を述べる。
実は、その原因はおそらくSATORIを活用しないと考えられる顧客もリードとして入っていたことだった。そこでリードの質が重要な要素だと再認識し、これまでリード数をKPIに運用していたのを、商談につながる有効なリードを定義し、判定することで広告運用を最適化して行く方針へと切り替えた。
有効リードを判定し、広告運用を最適化
Web広告でリードの獲得を重視する場合には、広告データのCPAを見てより単価の低い媒体に予算配分を変更するのが定石だ。しかしどの媒体で有効リードを獲得でき、商談に最も貢献したのかは、CPAだけでは知ることができない。そのためSATORI社では、まず「有効リード」について営業と協議し定義づけをした。その上で、CV経路から有効リードを追える仕組みを作った。
手順としては、はじめに資料請求・セミナー申し込み・問い合わせなどが達成された際に、SATORIの識別用IDをユーザーに付与。そのデータをGoogleタグマネージャーで取得し、広告効果測定ツール上でも組み込めるように設定した。商談化している顧客のIDから遡り、広告効果測定ツール上の経路をたどって媒体を特定し、重複を除いた有効リード単価を明らかにしたのだ。
リードの有効率を加味した「有効リード単価」が判断基準に変わったことで、予算配分のアクションも変わった。直近ではデータテーブルに「商談数」を追加し、受注に近いところに評価の基準を変更して最適化に努めているという。
また、有効リードタグを持つユーザーの中から「商談決定」の意味を持つ「タグ」を持つユーザーデータを取得し、ダッシュボードに表示した。これにより広告グループごとやLPごとに、どの施策が商談への貢献度が高いかを測れるようになった。その結果、商談までのCV経路でどの媒体に配信強化の余地があるかどうかを素早く判断できるようになった。