シリコンバレーのトレンドトップはPWA
ハートコアは2009年創業のCMS(コンテンツマネジメントシステム)を提供する企業だ。現在では、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、プロセスマイニングやタスクマイニングにも領域を拡大し、デジタル経営改革を全面的に支援する体制を整えている。2022年2月に米Nasdaq市場に上場、スピーカーの神野氏もサンフランシスコを拠点としている。
今回のセッションでは、イノベーションの震源地と言われるシリコンバレーの近くで米国のトレンドを肌で感じている立場から、マーケティングに関係するトレンドを7つ紹介した。
1つ目は、PWA(プログレッシブウェブアプリ)だ。4~5年前からある技術だが「現在のトレンドナンバー1候補」と神野氏。その理由として、モバイルアプリの重要性の高まりがある。インターネット閲覧の90%以上を占めるとも言われるモバイル端末だが、アプリを作るのは簡単ではない。PWAを使うことで、高速な読み込み、オフライン操作などモバイルで重要視される体験を備えるWebアプリケーションを構築できるという。
ファーストパーティデータ×AIのパーソナライズがカギに
2つ目のトレンドは、SPA(シングルページアプリケーション)だ。SPAはPWAと同じくアプリケーション開発技術で、単一のWebページでアプリケーションを構成するもの。これにより、ページ遷移をすることなくページやコンテンツを切り替えることができる。
神野氏は「アクセス時に、バックグラウンドでそのページのダイナミックコンテンツを読み込むことで実現している」と解説した。
3つ目に紹介したのは人工知能(AI)と機械学習だ。幅広い用途がある中で、神野氏は今年のトレンドを「AIチャットボット」と述べる。ページを訪問すると画面左下などにポップアップが出てきて、チャットボットと対話ができるというものだ。
AIではもう1つ、パーソナライズに利用する動きもあるという。CDP(Customer Data Platform)を利用して、企業が保有するユーザーデータ、Web・広告データ、購買データ、DMPなど外部データなど顧客についてのデータを統合する。これらの情報から顧客のプロファイルを構築して、AIを使って精度の高いパーソナライズを実現するというものだ。
「サードパーティCookieが使えなくなる中で、ファーストパーティデータを使ったパーソナライゼーションやレコメンデーションをAIで行おうという流れが出てきている」と神野氏は解説した。
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4つ目、5つ目のマーケティングトレンドは?
4つ目のトレンドとして神野氏が紹介したのが、ダイナミックコンテンツだ。常時同じコンテンツを表示するのではなく、適切なタイミングで適切なお客様に最適なコンテンツを表示するもので、「ダイナミックコンテンツの機能を持つWebサイトはコンバージョン率が高くなる傾向がある」という。来訪回数に合わせて最適なコンテンツを表示するのも有効でトレンドとなっている。
なおこのダイナミックコンテンツは、ハートコアのCMS「HeartCore」で13年前から日本でいち早く実現している機能だという。
5つ目はAMP(アクセラレイテッドモバイルページ)だ。モバイルのページ表示を高速化する手法で、AMPに対応していることを示す雷アイコンが付く。2021年GoogleがAMPを利用しているページに対して検索結果の上位に表示するという奨励策をとり、認知が一気に広がった。
神野氏によれば、Googleの奨励策がなくなった後も予想を上回る勢いでAMPを採用したサイトが増えているという。そして同氏は、モバイルの普及にともない「ページの表示速度を速くすることはマスト」とAMPの必然性を強調した。
AMPはSEOの観点でも有効
AMPを使うことでレスポンシブなアクセスが可能となり、高速にアクセスできるがメリットはそれだけではない。SEOにも効果があるという。
Googleの検索結果上位にWebサイトが表示されるようにするには、Googleがサイトの指標として定めるCore Web Vitalsを意識する必要がある。そして、Core Web Vitalsの1つにはページの読み込み時間の指標となるLCPがあり、AMP対応はLCPの改善に役立つ。LCPでは2.5秒未満を「良好」、4秒以上は「不良」としており、「2.5秒以内に表示されなければアウト」と神野氏は語る。
なお、表示速度はページの作り方以外にも、ネットワーク環境、サーバー環境、距離など様々な要因が影響するが、HeartCoreのCMSには表示速度を上げるエッジコンピューティングのような機能が含まれている他、ヘッドレスも有効と付け加えた。
Googleの検索結果について神野氏は、「Googleが最終的に目指しているのはゼロクリックサーチ」と解説する。広告を主たる収益源とするGoogleにとって、広告と検索順位が出ているページでお客様の望むすべての情報を提供することが望ましく、そのために強調スニペット、ナレッジパネル、ローカルパック(地図)などで構成される検索結果画面を用意している。
「ここで重要な速度に起因するのがAMP。なのでAMPを使ってGoogleのランキングも上げるというのは当たり前とも言えます」(神野氏)
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音声検索はキャズム越え、AR・VRはじわじわ進化
6つ目に挙げたトレンドは、音声検索だ。「2022年末には、米国で音声検索を使う人は1.3億人、2025年末のスマートスピーカー市場は233億ドルと予想されている」と神野氏。利用用途の84%が質問だが、ユーザーが音声で質問した時に音声検索エンジンが自社製品を知らなければ機会損失となる。そこで、音声検索の最適化が重要になりつつあるとトレンドを紹介した。
最後のトレンドとして「VR・AR」を紹介した。IDCではこの市場が2022年に1兆5,000億円に達すると予想している。神野氏は、Meta(旧Facebook)が2022年度100億ドルを投じてメタ空間を構築していることに触れつつも、「本当の意味でのVR・ARはもう少し先」と語る。Metaのヘッドセット「Meta Quest」が値上げをし、GoogleのARレンズやAppleの参入も予想されているなど「混沌としている状況」と神野氏は見る。
だが事例も出てきている。ハートコアでは空間撮影(Matterport)技術を用いた3D-VRコンテンツサービス「VR360」を展開しているが、東京都港区が新型コロナのワクチン集団接種会場でVR360を利用して当日の動線確認や事前の注意喚起を行った事例や、村内ファニチャーアクセスが店舗をオンライン上で公開して遠方の顧客に見学できるようにした事例などがあるという。顧客満足度は90%以上に達しているそうだ。
7年連続国内シェアナンバー1のCMS
最後に神野氏はHeartCoreのCMS製品について紹介した。
HeartCoreは13年間の実績を持ち、必要な機能がすべて入っている「オールインワン型CMS」のソリューションだ。現在日本では7年連続シェアトップ(富士キメラ総研調べ)、国内の大手顧客は約650社にのぼるという。
エディタ、アクセス制御・ワークフロー、プレビュー機能など、顧客の要望に応える機能を追加してきたというが、最大の特徴はセキュリティだ。「この10年間、ハッキングされたことがなく、JPCERTのセキュリティアラートも1度も受けたことがない」と神野氏は胸を張る。この強固なセキュリティから、行政機関や公共交通機関、中央銀行からの採用も多いという。
この他にも、「大規模なアクセスにもびくともしない」という可用性・安定性、「世界で唯一」という標準機能としてのサイト内検索、国内サポート体制、管理画面のカスタマイズなども差別化として挙げた。特にサイト内検索については、類似検索やサジェスト、重み付け、レポーティングなどの機能を実現する高度な検索エンジンを搭載。これにより、ユーザーの様々な検索ニーズに対応しているという。多様化するタッチポイントを統合して分析できるプロセスマイニングを提供しているのも特徴。
最新版のバージョン12では、PIM(プロダクトインフォメーションマネジメント)として、大量の製品情報の管理が効率化できる機能も盛り込んだという。同じ写真をWebサイト、カタログ、CMなどと使い分けるのに役立つDAM(デジタルアセットマネジメント)も標準で提供されており、ヘッドレス配信やSEO解析機能も併せ持つ。
このように機能や特徴を説明しながら、神野氏はHeartCoreを「お客様が必要な機能がすべて入っている唯一の製品」と述べた。そして「目まぐるしく変わるシリコンバレーのトレンドを取り入れて顧客経験を改善し、売上や認知の改善をお手伝いできる」とセッションを結んだ。