ゲーマーの心を真に理解できるのはゲーマー
佐藤(MOTTO):続いて、近藤さんが考える「ヒットを生み出すための新定石」を教えてください。
近藤(Colorful Palette):「真の顧客理解」です。新定石というより、ずっと重要視され続けている鉄板とも言えます。中途半端に理解した“ふり”をするのではなく、徹底的に取り組むことが何よりも大事ですし、そこまでできている人はあまりいません。
定量調査やN1分析を実施して、数十名のユーザーに話を聞けばそれっぽい答えは出てきます。ただ、たった1時間のインタビューで「なぜそのゲームに熱狂しているのか」「ゲームのどこに強い魅力を感じているのか」を理解することはできない気がします。
ユーザーは徹底的にゲームをやり込んでいるので、たとえ自身がゲーマーでなくてもアプリゲーム領域でビジネスに挑戦するのであれば、プロとして同じレベルにならなければいけないと思っています。
僕は根っからのゲーマーですが、チームメンバーも多くは何かしらのコンテンツに没頭してきた当事者が構成しています。毎日ゲームやアニメに何時間も没頭してきた人たちとの差を、一から勉強して埋めるのは非常に難しいからです。
佐藤(MOTTO):個人ではなくチーム単位で徹底的な顧客理解に取り組むハードルは相当高いですが、Colorful Paletteさんの場合はそれができる前提でチームメンバーを採用しているからスムーズに回っているわけですね。
近藤(Colorful Palette):そうなんです。マーケターの知人と話していても「結局人事から変えないとダメだよね」という話に帰着します。本当に価値のあるマーケティング活動をするためには、チームの力が必要です。チームで活動の価値を高めたいのであれば、「そこに誰を入れるのか」「どういう役割を担ってもらうのか」から考えないと、徹底できない気がします。
ヒットの可能性をリリース前に把握できるかが鍵
宮本(バンダイナムコ):ちなみに「コンテンツに没頭する人」の具体的な定義は設けているんですか。
近藤(Colorful Palette):「アニメやサブカルが好きかどうか」という物差しではなく「何かを突き詰めて人生を消費した経験があるかどうか」を見ています。実利の先にある「好き」に対して常軌を逸した経験がある人だと、僕たちがお客様としている方々の気持ちを理解しやすいからです。
宮本(バンダイナムコ):当社の場合も、過去にIPにハマった原体験を持つメンバーは多いです。大事なのは、その原体験をきちんと思い出して、言葉にする力ではないでしょうか。何かに熱狂したことがある人の発想は、やはり強いと思います。
佐藤(MOTTO):今お二人にうかがった「売れるものをつくる」「真の顧客理解」という新定石はリンクしていますよね。顧客を真に理解できていればこそ、売れるものがわかる。この本質は恐らくゲーム以外のジャンルにもあてはまると思います。続いて宮本さん、二つ目の新定石を教えてください。
宮本(バンダイナムコ):「出す前にわかる」です。「出す前にわかりたい」という表現の方が正しいかもしれません。数多くのIPとコラボしたタイトルを提供する中で、実績をしっかり見ることが重要だと考えています。
たとえば、同じIPで過去に2作のタイトルを提供している場合、3作目を出す時に最も参考となるKPIは過去の実績です。プラスアルファで、そのIPのマーケットトレンドをチェックし、今の盛り上がりと今後盛り上がる可能性を加味してダウンロード数とLTVを予測しています。
KPI予測自体は約4年前から取り組んでいますが、ようやく予測値と実績を比較できるようになってきました。両者のずれはあまり見られず、予測精度の高さを社内で証明できています。
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