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ID連携でセグメント配信を実現 ミロゴスが支援しブロック率を約40%改善したディノスのLINE施策

 長年、通販ブランド「ディノス」を展開し、多くのアイテムを扱うDINOS CORPORATION。顧客IDを利用し、チャネル横断のシナリオを複数走らせることで成果を上げている。潜在層の取り込みと顕在層の満足度向上のために活用しているLINE公式アカウントの友だち登録数は1,180万を超える一方、ブロック率の抑制は喫緊の課題だったという。そこでこの課題に対し、LINE公認の技術支援パートナー(Technology Partner)のミロゴスが支援を行った。本稿ではDINOS CORPORATIONの担当者2名を取材し、ミロゴスとともに実施した、LINEを使った具体的な施策や、ブロック率低下のための取り組みを聞いた。

リテンションと販促、双方でLINEを活用

MarkeZine編集部(以下、MZ):お二人の担当業務について教えてください。

原:私は主に既存のお客様に対するリテンション施策の企画立案を担当しています。当社ではメールやアプリ、DMなど多様なチャネルを活用しており、そのチャネルの一つとしてLINEがあります。

DINOS CORPORATION 顧客戦略セクション リテンションチーム チームリーダー 原義隆氏

宮崎:私は全社的なセールスプロモーションの企画運用をする部署に所属し、DMなどのオフラインやメール、LINEなどのオンラインも活用した施策を考案しています。原のチームとも、月に数回、打ち合わせをして最適な顧客接点とシナリオについて考えています。

DINOS CORPORATION チャネル戦略ディビジョン SP戦略セクション SP推進チーム 宮崎みかん氏

原:私も宮崎もLINEを活用してお客様とOne to Oneのコミュニケーションをとる施策を展開しています。業務の違いとしては、私が既存のお客様へのリテンションを目的としているのに対し、宮崎の主目的は購買動機の喚起や認知の拡大。つまり、購買ファネルでいうと上流のユーザーに対しメッセージを発信しているのが宮崎です。

LINEなら多様な属性にアプローチが可能

MZ:ディノスでは2018年にLINEを使った施策を開始したとうかがいました。LINEを活用される以前は、どのような課題があったのでしょうか?

原:2018年当時はメールやDMを中心にお客様とコミュニケーションをとっていました。そんな中LINEの利用者が拡大し、若年層のみならず当社の顧客層を含む様々な年代の方が利用するツールへと変わっていきました。「LINEがコミュニケーションツールとして多くの世代に日常的に使われている状況を考えると、1つのタッチポイントとして開いておくべき」と考えたのです。

 また、これまでは「新規顧客の獲得は広告をメインとし、既存顧客へのリテンションはDMやメールで」といった具合に、目的ごとにチャネルを分けて活用していました。それが、友だちという枠組みを通して、これまで当社がリーチすることが苦手だった新規顧客層へのアプローチをはじめ、様々な属性の既存顧客にもLINE1つでアプローチが可能になる点もメリットだと考えました。

 さらに、将来的にはLINE本来の特性を活かし、双方向のコミュニケーションができる可能性にも注目しました。これらの理由からLINE施策を展開すると決め、LINEの運用を支援してくれる企業に複数社お声がけさせてもらった結果、ミロゴスさんに支援を依頼しました。

パートナー選定の基準は「提案力」と「柔軟性」

MZ:複数社の中で、なぜミロゴスを選ばれたのでしょうか。

原:ミロゴスさんが最もLINEのビジネス活用に精通していると感じたからです。たとえば、当社が今後手掛けていきたい施策について相談した場合、企業によってはLINE社が提供するメニューやツールの機能の範囲内でできることだけ紹介いただくところもあります。そんな中、ミロゴスさんは「当社で●●のような仕組みを開発すれば、実現可能です」と提案してくださったのです。当社の事業について深く理解した上で、LINEの機能を活かした施策を提案し、開発・実装に関しても柔軟に対応いただけそうだと感じられました。

MZ:ミロゴスから受けた具体的な支援内容を教えてください。

原:ミロゴスさんのご支援の下「LINE通知メッセージ機能」を実装しました。これにより、友だち登録していないユーザーに対しても、商品発送時に「商品発送のお知らせ」を配信することができるようになりました。

商品発送のお知らせ通知時のトーク画面

原:また、ミロゴスさんのDX支援サービスLOOPASSを活用し、ディノスの会員IDとLINE公式アカウントを連携することで、顧客別にOne to One配信ができる環境を整備しました。その後、ミロゴスさんが提供する「Dynamic RichMenu」の機能を活用してお客様ごとに最適化したメニューの出し分けを実現しました。

ID未連携(左)とID連携済み、それぞれの顧客に対するメニュー

宮崎:ID連携を行ったことで、セグメント配信も可能になりました。LINEを運用開始した当初は、メニューはもちろんのことメッセージに関しても同一のものを一斉配信していたのです。LOOPASS導入後は、LINEの友だちの中でも「会員」「非会員」などの属性ごとにセグメントし、内容を変えた上でメッセージを配信しています

ブロック率が導入当時と比べ約40%改善

MZ:ミロゴスのサポートはどのような点が優れていたと思いますか。

原:依頼段階で感じていたミロゴスさんの提案力や柔軟性は、想像通りのものでした。その上で、特に優れていたと感じたのは、やり取りが非常にクイックな点です。パートナー企業によっては、当社から技術的な質問をすると「まずはエンジニアに確認します」という回答があり、施策の検討に時間を要するケースがありました。しかし、ミロゴスさんの場合は直接やり取りする担当者の方が技術面にも詳しく、即答いただけることが多かったのです。これにより、施策改善をスピーディーに進められた点は非常にありがたかったですね。

MZ:ミロゴスの支援を受けたことで得られた具体的な成果を教えてください。

原:ひとつは配信の効率化です。顧客の属性ごとにセグメントできるようになったことで配信数が少なくても大きな売上を作ることができるようになりました。その結果、コスト削減にもつながったと思います。また、セグメント別の配信パターンや配信回数を増やせたことも恩恵として大きかったです。 

宮崎:一斉配信していた当時のブロック率と比較して、約40%改善できた点も大きな成果だと考えています。

ユーザーのコミュニケーションに“お邪魔させていただく”

MZ:ディノスではLINEでユーザーとコミュニケーションをとるにあたり、どのような点を意識しているのでしょうか?

宮崎:個人に最適化されたメッセージを配信するよう心掛けています。たとえば、潜在層向けに新規会員獲得キャンペーンを行っても「自分には関係ない」と思われ、最悪の場合ブロックされてしまうでしょう。LINEの友だちは会員や非会員など様々な層が混在しています。そのため、セグメントした上で内容を出し分けることが、他のタッチポイントに比べて特に重要なのです。

原:メールや他のSNSと比較しても、LINEはユーザーにとって「情報収集のためのツール(メディア)」というよりも「知り合いとのコミュニケーションツール」という使われ方をしています。そのため「見ず知らずの企業がお邪魔させていただく」という前提に立ってコミュニケーションを取るよう心掛けています

 たとえばメルマガの場合は「複数のバナーを用意して、そのどれか一つが読者の関心を引いてCVにつながれば良い」という考えで原稿を作るケースもありますが、LINEのメッセージを考える際には別の視点を持つ必要があります。「なぜ私にこのメッセージを送ってくるのだろうか」という疑問をユーザーに抱かせない、納得感のある内容であることが一層重要です。精緻なセグメント配信とコンテンツの質の向上が、結果としてブロック率の減少につながったのではないかと思います。

テレビショッピングやカタログとも連携

MZ:最後に、今後のLINEを活用して取り組みたいことをお聞かせください。

宮崎:今はID連携によって得られた情報を、LINEのメッセージに十分反映しきれていないと感じています。たとえばお客様の購入商品の情報を基に、個人に最適化したおすすめの商品をご紹介できれば、ユーザーの満足度はより高まると思います。

 最近は、DMを送ったお客様にLINEを通じてリマインドメッセージを送っているのですが、反応が非常に良いです。今後もID連携で得た情報を基に、お客様に喜んでいただける施策を提案していきたいと思います。

原:当社は、他社にはない強みとしてテレビショッピングというチャネルを持っています。テレビで紹介した商品をWeb上でご覧になっている方に、セール期間が終わるタイミングでリマインドするメッセージをLINEで配信しました。この施策はCVRの向上につながっています。

 今はカタログの配布先に対し、LINEを通じて何かできないか検討しているところです。当社独自のオフラインチャネルとも連携させることで、LINEのコミュニケーションを一層進化させたいと思います。

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この記事の著者

中村 祐介(ナカムラ ユウスケ)

 株式会社エヌプラス代表取締役

 デジタル領域のビジネス開発とコミュニケーションプランニング、コンサルテーション、メディア開発が専門。クライアントはグローバル企業から自治体まで多岐にわたる。IoTも含むデジタルトランスフォーメーション(DX)分野、スマートシティ関連に詳しい。企業の人事研修などの開発・実...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/01/27 10:00 https://markezine.jp/article/detail/40681