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イベントレポート

マーケターにも必要な「みんながクリエイター」という視点。識者に聞く、クリエイターズエコノミーの今


 コロナ禍を機に、デジタルメディアにおけるクリエイターの経済圏は大きく成長している。2022年10月20日(木)~21日(金)に開催された「ad:tech tokyo」では「クリエイターズエコノミーの現在と未来」をテーマにセッションが開催。モデレーターのピンタレスト・ジャパンの榊原アリー氏、パネリストのワンメディア・明石ガクト氏とアドビ・竹嶋拓也氏、特許庁・外山雅暁氏の4名によるディスカッションの内容を、本稿でレポートする。

様々な立場でクリエイターと関わるスピーカーが集う

榊原:本日は日々クリエイターをサポートする立場のスピーカーの皆様それぞれの目線から、クリエイターズエコノミーの現状と将来を議論してまいります。まず、皆様がどのようにクリエイターに関わっているかご紹介ください。

明石:ワンメディアという会社でクリエイターを支援しています。数年前までは動画クリエイターとしての仕事が多く、会社としても2019年までは8割がいわゆる自分たちでコンテンツを作る仕事でした。

 しかしコロナ禍をきっかけに、TikTokやYouTubeなどそれぞれのプラットフォームでクリエイターさんが沢山新しく出てきました。彼ら彼女らと一緒に動画やSNSのクリエイティブを作っていくという方針にしてから、今年は逆に8割がそういった社外のクリエイターさんと一緒に行う仕事になっていますね。

ワンメディア株式会社 代表取締役 明石ガクト氏 2014年にワンメディアを創業し、独自の動画論をベースにYouTube・TikTok・InstagramなどのSNSプラットフォーム向けコンテンツを1,500本以上プロデュース。2018年に著書『動画2.0 VISUAL STORYTELLING』を上梓。
ワンメディア株式会社 代表取締役 明石ガクト氏
2014年6月に新しい動画表現を追求するべくONE MEDIAを創業。これまで1,000人以上のクリエイターと共に、YouTubeやTikTokなどSNSプラットフォーム向けのコンテンツをプロデュースしている。2018年に、自身初となる著書『動画2.0 VISUAL STORYTELLING』を上梓。YouTube Works Awards 2022ではクリエイターコラボレーション部門代表審査員を務める。

竹嶋:アドビの主力製品の一つ「Creative Cloud」でクリエイターの皆様をサポートさせていただいております。私の立場としては特に、企業向けに弊社の製品の導入・活用のソリューションを提供しております。

 付け加えさせていただくと、私自身インディーズでミュージシャンを40年ほど続けております。ですから、いちクリエイターとしての立場としても本日お話ができればと思います。

アドビ株式会社 デジタルメディア事業 執行役員ビジネスマーケティング本部長 竹嶋拓也氏2019年アドビに入社、2020年にデジタルメディア 執行役員ビジネスマーケティング本部長に着任。アドビ以前には、アマゾンの広告事業にてセールスマネージャー、株式会社medibaにて広告商品の開発・運用の責任者を務める。また、博報堂にて営業職・インタラクティブマーケティング職・ビジネス開発職、大手レコード会社でデジタルビジネスマネージャーなど、デジタルマーケティング分野での要職を歴任。
アドビ株式会社 デジタルメディア事業 執行役員ビジネスマーケティング本部長 竹嶋拓也氏
2019年アドビに入社、2020年にデジタルメディア 執行役員ビジネスマーケティング本部長に着任。アドビ以前には、アマゾンの広告事業にてセールスマネージャー、株式会社medibaにて広告商品の開発・運用の責任者を務める。また、博報堂にて営業職・インタラクティブマーケティング職・ビジネス開発職、大手レコード会社でデジタルビジネスマネージャーなど、デジタルマーケティング分野での要職を歴任。

外山:我々特許庁は、特許権や意匠権、デザインの権利、商標権などの登録審査を行っています。特許というと自分のものとして権利を取る、他の人の利用を制限して守る、というイメージが強いかと思います。

 しかしこの特許を含む知的財産という考え方を、クリエイターが作ったものを「権利」という形にして世の中に出す準備をすることだと捉えると、もっとクリエイターにとって便利で安心につながるものになるのではないでしょうか。そういった観点から権利の大切さや、ユーザー思考になって物事を考えることが今の経営に必要だというデザイン経営の考え方を発信することが、今の私の仕事です。

特許庁 デザイン経営プロジェクト 外山雅暁氏美大修了後アーティスト活動を経て、2001年に特許庁入庁。意匠審査官、総務部国際課、留学等を経て、2012年から経済産業省にてデザイン政策とクールジャパンを担当。経営にデザインを導入するために、デザイン思考の研究会の立ち上げなどを行う。2018年2月から特許庁でデザイン経営プロジェクトの立ち上げを担当、同年8月から所属。
特許庁 デザイン経営プロジェクト 外山雅暁氏
美大修了後アーティスト活動を経て、2001年に特許庁入庁。意匠審査官、総務部国際課、留学等を経て、2012年から経済産業省にてデザイン政策とクールジャパンを担当。経営にデザインを導入するために、デザイン思考の研究会の立ち上げなどを行う。2018年2月から特許庁でデザイン経営プロジェクトの立ち上げを担当、同年8月から所属。

榊原:私はピンタレスト・ジャパンで現在クリエイターマーケティングを担当しており、自身もクリエイターとして活動しています。ピンタレスト以前はエンジニアをやったり、Googleアドセンスやアドエクスチェンジに関わったりしていました。

 その後YouTubeの事業に関わったことでクリエイターの世界に入り、YouTuberの育成に携わっておりました。それを経てCS放送の番組の制作やマーケティング、出演などをしている中で、クリエイターによく関わるようになった形になります。

ピンタレスト・ジャパン合同会社 シニアリード クリエイターマーケティング 榊原アリー氏日本オラクル、グーグル、YouTubeを経てディスカバリーチャンネルで複数の番組制作・出演、コンテンツマーケティングを担当。3年半で6メディアのYouTubeチャンネルの立ち上げ、オーガニック総再生回数5.3億回を記録した。2022年2月よりピンタレスト・ジャパンクリエイターマーケティングリードに就任し、すべてのクリエイターにピンタレスト活用の大切さを伝えることをモットーに各種キャンペーンを担当している。
ピンタレスト・ジャパン合同会社 シニアリード クリエイターマーケティング 榊原アリー氏
日本オラクル、グーグル、YouTubeを経てディスカバリーチャンネルで複数の番組制作・出演、コンテンツマーケティングを担当。3年半で6メディアのYouTubeチャンネルの立ち上げ、オーガニック総再生回数5.3億回を記録した。2022年2月よりピンタレスト・ジャパンクリエイターマーケティングリードに就任し、すべてのクリエイターにピンタレスト活用の大切さを伝えることをモットーに各種キャンペーンを担当している。

クリエイターの定義とはなんなのか?

榊原:まず、皆さんはクリエイターをどのように定義されますか?

明石:私にとって現在のクリエイターは、SNSなどのプラットフォームで発信し続けて自分の持っているアテンションを高める人たちを指す言葉ですね。こういう人たちって、ひと昔前の裏方として物を作るような職人気質なクリエイターからすると、いわゆる邪道だったわけです。でも私自身はそうではないと思っていて、アクティブに自分のものを発信していく形がこれからの時代のクリエイター像なのかなと感じます。

外山:ドイツのアーティストでヨーゼフ・ボイスという方が「社会芸術」という概念を唱えていて、「社会に参加する皆がクリエイターであるべき」とおっしゃいました。これについて私の解釈ですが、たとえば教員や経営者であってもその仕事の中でクリエイティブな発想する人がクリエイターだと考えます。

 解決すべき課題があるとクリエイティブにならざるを得ないですから、アイデアって「誰かのために」「課題を解決するために」生まれると思うんですよね。「誰かのために何かをクリエイトする人」がクリエイターなのかなと、個人的には解釈しています。

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この記事の著者

吉永 翠(編集部)(ヨシナガ ミドリ)

大学院卒業後、新卒で翔泳社に入社しMarkeZine編集部に所属。学生時代はスポーツマーケティングの研究をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/12/21 16:44 https://markezine.jp/article/detail/40715

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